農園日誌ー価値観の変化進まず

26.10.3(金曜日)晴れ、最高温度27度、最低温度19度
 
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       一瞬、パプリカかと思ってしまいそうな赤く染まったピーマン
 
永年、農業をやってきて、このピーマンの変化に驚いている。
今年は、夏に雨が多く、日照時間が極端に少なく、秋が急にやってきた感じ。
この気候がおそらく影響しているんだろう。
いくら完熟野菜を目指していると言っても、畑のピーマンが一斉に赤く完熟して
しまった。勿論、これはこれで甘さが増し美味しいのだが、折角今年はみんなに
パプリカを出そうと、栽培面積を増やしたのに、その必要も無かったか。
女性陣からは、ピーマンの青があるから、パプリカが引き立つのにと頗る不評。
かわいそうなピーマン達ではある。彼らのせいではないのに・・・
 
そんなことより、現在は深刻な堆肥不足に陥っている。秋は来たというのに、堆肥
がなく、畑を作れない。大根・蕪・ほうれん草・キャベツなどの秋野菜は第一陣しか
まだ種を蒔いていない。
秋も10月になってしまい、この時季は例年であれば、すでに第二陣の種蒔きは
終わり、第三陣の種蒔きを終えている頃。
急遽作った草木堆肥は現在一時発酵を終え、切り返しを行ってまだ一週間しか
経過していない。来週の終わり頃にはまだ早かろうが堆肥撒きを行わねば・・
 
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7番の開拓地。
 
今年はにんにくの畑になってしまった。一斉に芽吹いた感があるにんにく達。
わずか10日間でこんなに
畑の風景が変わった。
新芽が一斉に芽吹いた
風景は中々に良いものだ
これは全部手作業で一粒
一粒種を植え込んだもの
これから春にかけて雑草
除去作業が大変。
 
 
前日、福岡への展示会を終えたばかり、翌日には、県西部振興局一行様が6人、
畑の視察と勉強に訪れる。
さすが、農政の担当者達であり、質問は的を得たものが多かった。
但し、いつもの通り、その目的が定かではないし、なんら方策を立てようとする気概が感じられない。気になるのは、むかし野菜の邑という会社を立上げ、グループ化することによって、農業等しか産業がない地域の活性化を行いたいとの説明と、
消費者への個別対応により、美味しい野菜への啓発活動と知識を広めようとしているとの説明に対して、物流や大量流通のこと、及び量の確保しか、念頭にないらしく
当グループのお客様が200余名であり、徐々に増えていくだろうと伝えた後に、
「それではそんなに大きくはならないでしょうね」と言った部長の一言がそれを現しており、相変わらずの反応ではあった。
 
良質な商品開発は個々の細かな作業や試行錯誤がひたすら続くことになり、さらに
消費者との徹底したコミュニケートが続き、その地道な努力が結集した後に大きなモーメントが起こるというマーケティングの発想がなく、お役人達の限界ではある。
国の進める地域創生事業も、はや、先が見えていることになる。
 
このひたすら行う努力や作業の中で、ある段階まで進むと(生産や消費の量)、急速にこの事業が進み始める。これを事業のダイナミズムと言う。
 
「質より量」を求めるのでは、地域活性には程遠いことになる。
同じことが飲食関係者にもつきまとう。福岡でも飲食関係者の反応は、「うん、美味しいね」それだけで終わってしまう。
これでは飲食業界のイノベーションは絶対に起こりえない。
飲食業界では型にはまったセオリーが幅を利かせており、例えば、野菜は味付けをするものであり、見え形が良い物を選び、肉魚の飾りしでしかない。
これでは内の個人のお客様の足元にも及ばない知識と経験しかないことになる。
 
農園の研修生達もこの実態が自ら販売や説明実践を行うことによって、実感したことだろう。そのことだけでも大いに展示会出展の意味はあったと思う。これからも
地道に努力し続けることが一番の近道であることに気づいてくれたと思いたい。
 
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二番のセロリと芽キャベツ
 
彼らは、定植してから20日
ばかり立つ。土中には草木堆肥が入っており、まだまだ窒素分の供給は少ない
この間、彼らは根を張り
茎を太くし、今からの成長の準備に入っている状態
草木堆肥施肥後、一ヶ月ほどすると(定植後一ヶ月)
窒素分が供給されはじめ
充分に根を張った彼等たちは急速に成長を始める。
これが草木堆肥(低窒素)の特徴ではある。
 
昨日は、不足している堆肥作りや剪定枝の破砕作業を丸一日行った。
ようやく高さ1.5m、幅3m、長さ10mの草木堆肥の赤ちゃんが出来上がった。
これでようやくリッチな気分で過ごせそうだ。
堆肥が少なくなってくると、気が滅入る。これは自然循環農法を行う農人でないと、おそらく分ってはもらえないだろう。気持ちはすでに有機物を餌にする微生物や
放線菌に近づいているのかもしれない。