農園日誌ー美味しい料理とは?

26.5.21(水曜日)晴れ、最高温度26度、最低温度15度
 
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          グリーンベルトに覆われた晩春の畑(四番の畑)
 
4月末頃から5月半ばまで二週間の農園休園の間に春野菜達は急激に大きく育ち
畑は野菜で溢れている。
四季を通してうまく均等に育ってくれれば良いのだが、農園を休んだのが嘘のように
葉物野菜を中心にして出荷ラッシュが続いている。
例年と確かに気候は違っている。春の豆類は絹さやえんどうが4月中旬から出始めると、スナップエンドウが4月下旬から、5月初旬頃から実えんどう、5月中旬から
空豆と来るが、今年はほぼ一斉に出揃っている。
中々成長しなかった葉物野菜も時を同じくして出荷時季を迎えてしまった。
 
イメージ 2出荷準備が整った
グリーンレタス。
 
時間差を設けた筈なのに
同時期にサンチュ・半結球
レタス・サニーレタス・コス
レタスが出荷適期に
なってしまった。
 
人間が思ったとおりに
ならないのが自然条件の
中で育つ露地野菜達。
 
 
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トマトの畝(5番)
4月の20日前後に植え付け
たものの、中々成長しなかったが、最低温度が15度
前後になると急激に大きく
なってきた。やはり夏野菜
だな!と思う。
 
これは常々感じていることだが、うちのお客様達は偉い!ということ。
 
最近は若いお客様(子育て世代)が急速に増えてきているが、当農園の野菜を選ぶには慎重に考えてのことだろうが、むかし野菜が他と違うことにすぐに気がつく。
これが熟年の方であれば、何となく違うとは感じておられるのだろうが、若い方の
様にストレートではない。最もうちのお客様は熟年といえども感度は高いので楽を
させてもらってはいるが。これは一般的にと言う意味。
 
子育て中の方は、子供さんがうちの野菜であれば苦も無く、ぱくついてくれると先ず
驚いている。小さければ小さいほど味覚が汚されていないせいですが・・・
美味しい物は素直に美味しいと感じてくれる。
そこで余り調味料などを使わずにシンプルに焼く・炒める・煮ることと、火を通し過ぎないようにお願いすると、素直に試してくれる。
そして必ず、むかし野菜の美味しさや美味しい食べ方を見つけていただける。
なにより素直に感じて喜んで頂けること。
 
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幻と消えた8番の畑?
 
由布市の議員さんの持ち
畑を、空いたので貸して
くれるととの申し出があり
早速堆肥を振りに出かけた
 
ところが前は放置したような
形跡があったが、その日は
耕した形跡があり、偶々、
知り合いが通りかかり、
○○さんが牛糞を振って
いたよ!と教えてくれた。
 
偶々、○○さんのご親戚の家が近くにあり、お尋ねした処、○○さんはまだ作る
のではないかね。とのご回答。早速電話してもらい、確認した処、正式にこの畑は
議員さんにお返ししたわけではないとのこと。
悪夢の一日となり、結局8番の畑は幻に終わり、仕方なく今植えられるものは南瓜
しかなく、苗を園芸店に頼んで(通常は自己で仕立てる)いたため、植え場所を無くした南瓜は7番の畑に植え込むことになった。これがその写真。
その議員さんにどのように伝えたものか・・・疲れる一日ではあった。
 
むかし野菜は露地栽培。このことは繰り返し述べてはいるが、自然に四季に順なり
というのが当農園のもっとうですが、それ故、メディアで作られた旬菜とは異なる。
市場では、早採りの野菜即ち走り旬の野菜が今では一般的。これが本当は未完熟で美味しくない。しかもほとんどがハウス栽培のため、見え形は良いが味が薄い。
うちのお客様はそれを肌で感じていただいていること。
その事は知らないまでも、良くこんな風な表現で伝えてくれる。
「スーパーに行ってはみたものの、野菜を眺めては手を出せずに帰ってくる」
「店頭に並んでいる野菜が何だか余所者のようで、手が出ない」
「今まで店頭に並んでいる野菜がきれいと感じていたのですが、急に気持ち悪く
なってきた」
それは自然な姿の野菜を一度見てしまわれたからでしょうが、「自然に順でない」
と感じるようになったのだと思われる。
 
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左はスイス
チャート
 
右は
トレビス
 
いずれも
洋野菜
 
 
畑は野菜の色で満ち溢れている。よく観察すると葉の色合いも皆異なり、同じ緑
ではなく、濃淡あり、赤・黄・紫と多彩な色彩で覆われている。
ゆったりとその日の仕事が終わった日は夕暮れ時など帰り難く畑をしばし眺める。
 
露地栽培野菜をお客様にお届けすると言う事は、お届けする野菜を農園主が選んでいる訳でもなく、その時季に育った露地栽培での旬菜を育った都度、出荷しているということであり、自然や野菜達に選択権があると言うことになる。
そのため、あれが欲しいということは当農園では禁句であり、お客様は届けられた
野菜を食べてもらうしかない。
 
スーパーや市場に行けば、九州から北海道までの様々な地域の旬菜(走り旬野菜)
が手に入る現在、人は余りにも便利に慣れすぎており、自然のありがたみや感謝
の念を忘れてしまっている。
 
この土で育ったからむかし野菜が美味しいのであり、産地や品種ではない。
その事を改めて思い知らされるのが、レストランのシェフとのやり取りに現れる。
「私が(シェフ)欲しいのは△の野菜です」とか、「旬菜はないの!」とか、「お客様
は美味しいとは行ってますけども」とかの会話には、「美味しい野菜」の価値感は
どこにも現れない。ここでも「季節に順なり」の概念はなく、素材を活かすという
工夫より、料理は味付けと思い込んでいるのかもしれない。
 
その意味ではまさしくうちのお客様は偉いと改めて感心するし、理解して頂いて
ありがたいとも思う。「貴方方は料理のプロです」と声高々にお伝えしたいし、
家族のために、子供のために日夜頑張っている貴方は偉いと言ってやりたい。