農園日誌ーこの国の行方

26.3.5(水曜日)雨後晴れ、最高温度11度、最低温度6度
 
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                   七番、玉葱の畑の風景
 
今年は玉葱だけで約38千本植えた。長引く寒い冬のため成長がやや遅れ気味。
雑草だけはたくましい。この草取り作業を思うと気が遠くなる。
有機や自然栽培でも昨今は黒マルチで土を被い、除草作業をしないようにして
いる。確かに除草作業は大きな手間が懸かり、農業者の精神や体力を消耗させる
それでも自然とのやりとり(呼吸)を止めてしまう事に抵抗感があり、多くの産業
廃棄物の山を築くこともあり、未だに手作業の除草を選ぶ。
 
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人参の草取り作業中。
 
春はごぼう・にんにく・人参・玉葱の除草作業に追われることになる。
出荷作業の合間に、夕方
から一人5番の畑でごぼう
の草取り作業を行っていたら、スタッフ全員が出荷・
発送作業を終え、手伝いに
加わる。本の30分程度だが、その気持ちや好しとし
て、夕方から冷え込んできて
 
おり、5時半で切り上げを指示。少し甘いのかな?
 
例年この時季、越冬野菜や春野菜の成長は遅く、出荷量とのバランスが悪くなり、品不足になってしまう。やりくりしてどうにかして帳尻を合わせてはいるが、やはり
間に合わない。ついつい、小さくとも出荷を優先してしまう。そしてまたしても
品不足、こうしてさらなる悪循環を繰り返す。
野菜が畝から消えていくのが早い。来週は育苗ハウスで緊急対策として育てた
ほうれん草の出荷を行うしかない。
 
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そのほうれん草がこれ!
 
いささか小さいが立派な
姿をしており、きれい。
出荷作業も整理をしなくて
良いだけ、かなり楽。
 
それでも来週は後ろめたい
気持ちになっての出荷となる
露地栽培ものと比べて味香り
が落ちる。止むを得ないでは
ないか!と自分に言い聞か
せる。
 
 
このほうれん草は同じ草木堆肥で育てているにもかかわらず、ハウスの中で
ぬくぬくと育つため、露地ものと比べて倍ほど成長が早いし、きれい。
ここでふと考えてしまう。
 
マーケットでは、極く当たり前にハウスものが出回っている。有機栽培野菜も
同じ。むしろ、露地野菜よりみてくれがきれいで、均質な形をしているため、
価格も評価も高い。
「野菜はみれくれではない!味と栄養価だ!」と農園開設以来、維持し続けてきた
有機農業者としての矜持が、自分に罪悪感を植えつけているのだと今更ながらに
思ってしまう。
 
昨今、消費者が気がつかなければ良い、とか、低価格が価値基準の一つに
なっている時代に、むかしから日本人は宗教での罪悪感を感じているのではなく
自分に偽るようなことを「恥」として自らを戒めてきた精神が生きていたように思う。
その「恥」の文化が次第に薄れていることに危機感を覚えるのは私だけでしょうか
 
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除草作業を終えたレタス系
の畝。
色とりどりの野菜が並ぶ。
お花畑より美しいと思う。
この畝には7種類の
レタス系野菜がある。
二三週間後には出荷となる
越冬して生き残ったレタスは
柔らかく、歯ざわりは良く、
肉厚で味香り豊か。隣は
三段階の出荷を終え、今週
レストランのミニ野菜として
全出荷する。