農園日誌ー春近し?

26.2.20(木曜日)晴れ、最高温度9度、最低温度0度
 
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    二月の大雪によりトンネルの80%は雪の重みで押しつぶされていた
 
金曜日の出荷は急遽取りやめ、(流通も動いておらず)早速復旧作業に丸一日
追われる。
先ずは、雪を取り除いて、押しつぶされている野菜を救出。
トンネルの支柱はその70%が折れてしまい、その除去作業と合わせて、新たに
竹を切り出し、二日間で約200本の支柱作りを行いながら、ビニールを押し上げて
やる作業に三日間を要する。
 
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雪に足をとられながらの作業に全員、腰に痛みが走る。
折角厳冬期を乗り越え、ここまで育った野菜達。何とか助けてやらねば・・・
 
イメージ 4日目に何とか全員救出
完了。
 
ニュースでは大分県でも
孤立集落が多数とのこと。
 
ハウスが押しつぶされる
被害が続出している。
 
それに比べれば、軽便な
露地栽培の利点か!
復旧作業は人力さえ
かければ何とかなる。
 
 
イメージ 5子供達は大雪に大喜びで遊びまわる
ここは南国の九州にしてこの有様。
 
 
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押しつぶされた白菜。全体では野菜の
20~30%が圧死寸前。懸命の救出
作業大きな被害だけは免れた。
 
当農園は年間を通してお客様に端境期を感じさせないほどに、野菜を出し続けて
いる。自然のなせる業とはいえ、一年間で見るとこのような被害も度々起こる。
よくこの12年間続けてこれた、と改めて思う。
今は若い力が加わり、一生懸命に復旧作業をしている姿を見ると、年月を重ねる
重みを感じる一方、彼らの頑張りにエールを贈りたい。
 
今月、ようやく「むかし野菜の邑」が立ち上がる。
一人農業からグループ営農へ移っていく。今は小さい集団だが、組織作りという
作業が待っている。自分自身が組織という言葉を嫌っていたのだが、組織の全て
が悪いのではなく、どのようなグループ(組織)を作るかによる。
昨日も関東から大分の杵築に移住してきたSさん夫婦と寒いハウスの中で、夜の
九時頃まで話し合う。
 
彼もグループに属すことに若干の躊躇があるようだ。
いまの若者達の苦悩を垣間見るような言葉の応酬が行われた。
この国の形を、ひいては組織に対して嫌悪感を感じているようだ。組織の中の
権力や押し付け、欺瞞に満ちた人の有様に嫌気が差しているようだ。
この国を、大人たちを、信じられない若者達の姿は、闘う事を避けて、逃げることで
しか生きていけない人の弱さも同時に感じてしまう。
彼らは言う。「佐藤さんに巡り合ったことは喜びであり、信じられる人との出会いに
は感謝している。佐藤さんあってのグループであり、たばこは止めていつまで
気でいてください」
確かに、組織は、若しくは国もそうだが、そこでの宰相が公平であって、秤のような
人がいれば、活力を保ち続けられるが、もし、そうでなければ、一石に瓦解してしま
う。この国の有様も危険な方向に向かっている。
彼らも、放射能汚染や原発リスクの拡大を避けて、群馬や栃木からの疎開組で
あることを始めて知った。
私が目指すべき組織(グループ)は、一人で束ねていくことではなく、それぞれが
得意な分野を持ち、野菜生産を分業するように、役割を分業できるような仕組み
を作り上げることが急務だと思う。
これら若者の話を聞いていると、古代中国の尭・舜のような傑出したリーダー(帝)
のみが理想の国やグループを作れるのか?と・・
古びた組織が活力を失ってしまう現実を知っており、組織を嫌ったはずの自分に
自問自答を繰り返す。
人の欲を止めることは難しく、自然の圧倒的な力の前では、些細なことなのに。
 
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あの大雪が
嘘のような
晩冬の夕暮れ
 
寒々しさは残るが
太陽は日一日に
温かみを感じる。
トンネルの中で
暖かい春を待つ
野菜達。
 
暗くて辛いことだけ
ではないのだよ!
必ず春はやって
くると言っている。
 
 
彼らに言う。「この国を脱出しても生きていくところはないよ。貴方達も自然農の世界
に入ってきて、食の安全を,希求しようと決心したのであれば、放射能だけではなく、化学物質汚染に囲まれた食の分野で一人で闘うことは難しいのではないでしょうか?同行の仲間がいて、それを支持してくれる消費者がいて、そこでのコミュニケーションを図ることでしか生きられないのでは・・そうであれば、もっと積極的に皆で
闘っていくことを考えるべきですよ」と・・・