農園日誌ー謹賀新年

25.1.6(日曜日)晴れ、最高温度8度、最低温度ー2度
 
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                   久住牧ノ戸の樹氷
 
珍しく暖かい日だしに誘われて孫達を連れて久住に雪を見に少し登ってみた。
滑りながら登り、第一展望台にて、雪合戦をして、雪だるまを作り、又、滑りながら、
下りました。
 
皆様には申し訳ないが、農園始まって以来の長いお休みを頂き、すっかり体がなま
っている。朝早く畑に出かけても土は凍り、野菜は凍てつき、作業ができない日々が
続いており、農園は静寂の中に眠っている。
 
それでもトンネルの中では命の息吹があり、耐えながらもゆっくりと成長している。
化学肥料や畜糞肥料であれば、もっと成長も早いだろうが、味香りや栄養価を考え
と止むを得ないこと。野菜達に頑張れと声をかけて回る。
 
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ほうれん草
亀さんのような成長スピード
この「ゆっくり」が肉厚・筋のない野菜
糖質・ビタミンを蓄え、草木堆肥によって
地中に補充されたミネラル分を多く吸収
小さくとも味・栄養価の濃い野菜となる。
 
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小松菜;もやもやと水蒸気が立ち込む。
晴れた日などはトンネルを剥ぐり、太陽
と風や寒さに当てる。
そうすることによって、寒暖の差を感じ、
成長→厳しさ→成長→寒に耐える、を
繰り返し、生き残り競争を繰り広げる。
 
 
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紫大根(味一番)
 
こちらは無トンネルの露地野菜
地面にしがみつくように育つ。
葉や茎を広げると夜の氷点下の
寒さに耐えられないため、できる
だけ体を小さくしようとする。
根の部位は凍てつき、痛めつけ
られながらも歯を食いしばり踏ん
張る。
 
 
今年は甲斐君という新人が農園に加わるが、彼には常々、「佐藤自然農園に就職
したとは思うな!自分で農園をやっている。自分でお客様を開拓する。自分の言葉
で草木堆肥による野菜の意味とその取組の意義を語りかけろ!」と、言っている。
彼が独り立ちするには数年を要する。自分で生きていく場を作るしかないと思う。
そうなると、すでに数年前からここで手伝ってくれている「寛子さん」「茂登子さん」
達とほぼ同世代となり、第二世代グループ(後継者)が出来上がるのだが。
 
彼から昨日電話があり、新設の保育園が野菜を求めているとのこと。
保育園の園児達には是非この栄養価の高い野菜を食べてもらいたいのだが、
そこには難しいハードルがある。
 
先ずはオーナーの理解度とその意思、栄養士の考え方、調理担当の方々の理解度
市販の野菜は皆大きく調理が簡単であり単価も低い。それらへの抵抗感が根強い。
 
次に市役所や保健所の指導の矛盾。
40年も前の野菜の栄養価の基準でビタミンやミネラル分含有度のリストが存在する
今や化学肥料・畜糞(有機野菜と言えども)農薬・ハウス栽培全盛の時代にはその
基準値は当てはまらない。例えば、ほうれん草には鉄分が○○程度ある、人参には
ビタミンAが○○程度含まれているなどは、この時代には難しい。
 
糖質やビタミンなどの含有量においては、高窒素栽培(化学肥料や畜糞の多投)
により、野菜は急成長しデンプン質や炭水化物しか含まれない野菜が出来上がる
低窒素土壌ではデンプン質などがやがて野菜が完熟するにつれ糖質やビタミンに
変化してくるのだが・・・
 
まだ深刻なことは、ほとんどの野菜作りの畑は、ミネラル分を補給されずに数年も
経過するとほとんど野菜が吸収し尽くし、残存値が極端に減る。
多少有機野菜であれば補給されてがはいるが、それも草木を加えていない畑は
化学肥料よりは幾分ましな程度でしかない。
 
それでも官公庁は昔の栄養価の基準を保育園などに押し付けてくる。
そうするとありきたりの野菜しか使えなくなり、露地栽培ではありえないシーズンに
人参やほうれん草の使用を求めてくることに繋がってしまう。
 
さて、これらの社会の歪に新人甲斐君はどのように立ち向かっていくのだろうか?
私はこれらの交渉・折衝には加わらないと決めている。かれが独り立ちするために!
 
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半巻きの白菜
 
成長時期を逸し、どうやら
巻ききらないままの出荷に
なりそうな雲息。
待っていると少し暖かくなった
頃には、花が咲き始める。
この白菜を当農園のスタッフ
達は狙っている。
美味しいのを知っている。
あくまでもお客様が先。
余れば食べられるが?
 
 
 
この小さな実に栄養価と
美味しさが詰まっている
9月に定植し、寒い寒い
日を耐えて、ようやく
出荷の可能性が見えてきた。
例年より半月遅い。
年が明けて珠には新しい
野菜も欲しいと思われている
頃に出てくる。
 
 
今年も厳しい年になりそうですが、野菜達でも耐えて耐えて生きております。
皆様も頑張って生きてください。佐藤自然農園の野菜には栄養価だけはぎっしりと
詰まっておりますので、きっと皆様を、ご家族を健康にしてくれると信じております。
 
比較的最近、お客様に(いえ!仲間でしたね)加わって頂いた数人の方々から
真に恐縮しておりますが、年賀状を頂きました。
特に子供さんがよく野菜を食べてくれるとか、こんなに存在感のある野菜があった
なんてとか、家族皆が楽しんでおりますなどなど、新年早々から、うれしいお便りを
頂き、農園一同ありがたく感謝しております。こんな便りが私達の大きな支えにな
っております。新しい年もどうかよろしくお願いいたします。
 
皆様方のご健康とご多幸をお祈りしております。
                                             敬具、