農園日誌ー農業の難しさ

24.8.22(水曜日)晴れ、時折にわか雨、最高温度33度、最低温度25度
 
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今年の夏は梅雨明け以降もよく雨が降り、去年に比べて水遣り作業がなく楽をさせて
もらっている。その反面、草がよく伸び、草刈・除草作業に追われる毎日となる。
トマトを例年に比して多めに植え込んだため、剪定誘引作業を毎日しなければ、
すぐに繁茂してしまい、虫が付き、受粉もできず、ダメになってしまう。
今からはトマトと茄子は毎週出荷になりそうだ。
 
今年はトマト・茄子・オクラが特に美味しく感じる。太陽が強いせいかもしれない。
それに反してピーマン・万願寺とうがらし・パプリカ・セニョリータなどが例年になく不作
の年になった。長雨が続き、おそらく相当に根が傷んでいるのだろう。
 
イメージ 2金時生姜
(幻の生姜と言われ、主に和食
レストラン専用に植え込んできたが
今ではすっかり定番野菜になる)
 
当農園の秋の季節を告げる
代表的な作物になった。
 
来週はまだ小さいうちに第一回目の出荷をしよう。
根元が柔らかく、葉も青い。
 
 
 
イメージ 3大人の背丈ほどに成長した
筍芋(京芋)
 
雨が多いたため、成長が著しい。
再来週頃に初出荷かな!
 
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ヌメリが少なく、さっぱりとした味わい。くせがなく
和風・洋風いずれでも可能。素揚げなどは最高
 
 
 
最近、農業に関して考えさせられることが多い。
今日も農業資材屋さんが来て、「最近、農家さんは泣いていますよ。ピーマンなどの
夏野菜が出来すぎて暴落しているそうですよ。農協を通している先などは半額しか
手取りがないそうです」 農協→市場→卸し→小売と流れるためだそうです。
 
「佐藤さんとこは関係ないでしょうね」「内は市場で溢れている時も、市場にほとんど出回らない時も、いつも価格はほとんど一定ですから、流通は介せず、消費者直接販売に
しているのでね」
 
それでも問題なのは「野菜の等級が見え形で決まり、量目で収入の多寡が決まる今の
流通市場では味香り・食感・旨みなどはまったく評価されない」ことだよね。
 
「こんな野菜作りは大変なのでしょう?」
「それが実は頭が痛いところなんだよね」「ほとんどの有機農家がハウス栽培をやり、
堆肥はどこから買ってくるからね」「自分の処で堆肥は作らねば有機農家とは言えないのでは」と聞くと、「そんな手間がかけられますか、それでも大変にきついのに」と
言う始末です。
去年から草木堆肥を使ったこの農法をやり始めたところも、こんなにきついとは思っていなかったようで、最近、続くかどうか迷っておられるようで、何より、こんなに手間を
掛けて作っても野菜が安く、農業が続けられないのではと考えているようです。
 
「その点、慣行農法はもっと楽でしょうが、その代わり、流通から買い叩かれ、野菜の
価値が品質でもなく、量目の多い、リスクのないやり方でないとやっていけないといった
問題を抱えますよね」
 
こんなやり取りを聞いて、皆さんはどのように感じられるのか。
 
有機農家と言っても今の流通市場の評価基準(見え形・量目)があり、楽な農法に行かざるを得ない。だからリスクの無いハウス栽培に走らざるを得ない。堆肥は買ってくる
まして慣行農法を行っている農家はまさしく食ってはいけない。
 
この「むかし野菜」は堆肥原料から作らねばならない。
草を刈り取りそれを集める重労働、剪定枝を破砕する作業、そして堆肥作りの作業
を経て、堆肥撒き作業となる。
労力の塊りであり、露地栽培は又リスクとの戦いでもあり、こんな野菜作りに果たして
何人の人が耐え切れるのか?
実はこれが今の私の大きな課題であり、それに加えて消費者への啓発啓蒙活動をやりながらの自然循環農業です。
これが、最近、考えさせられることが多いという理由です。
 
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除草後、剪定し、支柱立て作業中の4番の畑、見違えるように美しくなった。
作業前は、草に覆われ、枝葉は伸び放題、絶望的な情景でしたが・・・
 
つかのま、見とれ、やり終えた満足感に浸り、やがて何事もなかったかのように、トマト
の剪定・誘引作業に移る日常的な情景となる。
これが農業です。それを楽しいと感じるか、ただただ、きついと感じるか、この農法を
やり続けられる人はよほど鈍感な人か、または、相当に強い信念を持つ人かのいずれでかしょうか?
 
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              久住の雄大な自然の風景です