24.2.8(水曜日)雪、最高温度3度、最低温度ー1度
「古きを尋ねて、新しきを知る」
雪が舞い落ちる寒い一日、今晩あたりは、雪が積もるかな!
間断なく訪れる寒気団、いつになったら、暖かくなるのか!野菜も縮こまり
寒さに耐えている。だんだんに、野菜の在庫が底を突き始め、不安がよぎる。
寒さに凍えながら、野菜の収穫を行う。葉野菜ばっかりになってしまった。
巻かない白菜も終わり、葱も、後、二週間持つか。ほうれん草は一列を収穫し終わり、次の畝のものが未だ小さい。四段の備えをしていたが、成長より出荷の量が
上回り、追いつかない状況となる。
(季節野菜について)
現在農業では、施設園芸(ハウス農業、加温と常温がある)が全盛であり、冬季に
露地栽培・トンネルの風景はついぞ、見かけなくなってしまった。
生産者は、いかに、楽に、見栄え良く、ノンリスクで、規格野菜で、高収入を得るか
が一番の関心事であり、市場は、季節に関係なく規格サイズの野菜を求める。
そんなこんなで、畑から露地栽培やトンネルの風景が消えてしまった。
露地栽培では冬季の野菜に備え、9~11月にいかに多くの種を蒔き、定植ができ
ているかがポイントとなる。今、出荷している野菜がそうです。
2月初旬頃までは何とか持つが、それ以降の出荷分は、11~12月に種を蒔いた
ものであり、当然に成長が遅く、3月下旬頃にならないと出荷できないのが通常。
当農園の今から3月末までの出荷分はその間隙を縫って、種蒔き・育苗を行った
野菜達となる。
いかに冬季の露地栽培が難しいか少しわかってもらえたかと思う。
そのために、葉野菜ばかりになってしまった。(根菜類は地温が下がり成長が
停止状態となる)
それとて、様々な工夫を凝らしてでやっと出荷に至った葉野菜達です。
何故、そんなに露地栽培にこだわるのか?
実は今までそれこそ何回も失敗というより、当然のリスクである厳冬期の野菜の生産管理の難しさで、全滅になったこともしばしば。その度に、ハウス栽培への移行
を考えたが、思い止らせたものは、自然環境で育った野菜の美味しさでした。
同じ草木堆肥で育てても、ハウス物は、味香り、何より食感や旨みがでない。
(厳冬期の野菜達)
地面に這いつくばって耐えている
キャベツ。暖かくなると、葉を張り
始め、小さく巻き始める。
(成長しそこなうと、莟立ちする)
それより、1カ月早く定植したキャベツ
これも厳冬期に無トンネルで、ゆっくりと
成長している春キャベツ
何だか分かりますか?
わけぎです。寒い中、無トンネルで
過ごす。
これも暖かくなり始める3月初旬
頃から球根が成長し、葉を伸ばし
始める。
地中ではしっかりと根を張っている
自然の中で頑張る野菜の強さです。
サラダセットの幼苗達
12月初旬に種蒔き。
頑張らせたが、成長が止まり、
止む無く、トンネルの二重被覆
と被覆布をかけ、ようやくここまで
育った。
これから、少し暖かくなると、昼は
トンネルを剥ぐり、夜はかけるの
毎日によりしっかりとした葉が育つ
(むかし野菜について)
今から19年前、まだ農業に取り組み始めた頃、
最初は、牛糞や鶏糞による有機野菜、大きくはなるが、味は大味、香りは薄い。
食感はそこそこだが、筋が目立ち歯切れが悪く有機野菜なのに何故美味しくない。
次に、米糠・油粕・魚粉を試す。大きさはほどほど、甘みは出てきた。それでも
畜糞ほどにも味香りが出ない。小さい時に食べたあの味香りが出ない。
その次に、牛糞+落ち葉や草を混ぜて堆肥を作った。追肥に油粕・米糠を施す。
ようやく甘みや味や香りが出始めたが、やはり筋は口の中に残る。
最後に思い切って、追肥(油粕など)を止めた。牛糞を少なめに葉と草を主体に
変えてみた。最初は成長不足で野菜の成長が悪いが、味香りに加えて見違えるほどに、筋が気にならなくなる。
3年経った。
今度は成長は遅いが、格段に美味しい野菜になった。加えて旨みが口の中に
広がり、筋が消えた。
寒椿です。私の好きな花。その潔さが気に入っている。
「むかし野菜」と名づけたが、正確には古きを尋ねていたら、新しい発見があった。
つまり、昔(江戸時代以前から)日本の野菜作りは、葉や草・わずかばかりの牛糞
や馬糞で堆肥を作り、追肥として、人糞をこなれてから、畑にやり、野菜などを育てていた。
堆肥は土作りの役目、肥料は成長させるためにと、それぞれに、その役割があったようだ。江戸では長屋の人糞の汲み取り人足から、百姓が人糞を買い取り、その度に、争奪合戦が起こり、死人まででたそうな!
佐藤自然農園は、この堆肥のみ残し、追肥(肥料)を施肥しない農法であり、
正確には、むかし農法は学んだが、土壌を、野山のように、より自然状態に近づけるために、肥料をまったく排除したことは、新しい農法とも言える。
関東のKさんとのメールのやりとりの中で、
「この草木堆肥+露地栽培」の農法は従来の農法とも異なり、野菜の味も格段に
ナチュラルでやさしく、かつ力強い旨みを持ち、「ラベル」の異なる野菜ではないか
と思います、とお答えしました。
その後、その方からは、説得力があったとの「評」でした。