行く年を振り返って

23.12.28(水曜日)晴れ時々曇り、最高温度9度、最低温度0度
 
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今日は一年の出荷の締めくくりの日、一年の最後の荷には、通常野菜の1.5倍
の野菜を入れる。例年恒例のとうがらしと月桂樹の葉のセット・銀杏・ごぼう・里芋
などを加える。今年は、新メンバーによる乾燥椎茸や梨(愛宕)も新たに加わった。
 
最後の最後まで、野菜不足に悩まされた一年だったが、気候が明らかに大きな
変動をしている。野菜作りを始めて特に気候の変化には敏感になっており、
空の色、風、湿気などを動物的な嗅覚で察知できるようになった。
将に自然との語らいができて初めて農業者なんだな!と思う。
 
今、畑では来春に向けて種蒔き・定植などをしている。畑はびっしりとトンネルに覆われ、一つの冬の風物詩となっている。
 
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3番の畑の風景、
 
このトンネルの支柱(竹)が
今何本あるのか?
気が遠くなる長い時間をかけて
竹の支柱を削ってきた。
数えてはいないが、おそらく
数千本はあるのかな!
一時間にどんなに頑張っても
25~30本しかできない。
 
 
 
 
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春や秋なら、どこに何を
植えているのか分かるが
このようにトンネルに覆われると
何がどこに植わっているのか、
どのくらい種蒔きをしたのか
分からなくなってきている。
昔なら皆、覚えていたのだが、
やはり年のせいかな!
少し暖かくなってきたら、
一斉にはぐって風や太陽や
寒気に当ててやらねば、
美味しい野菜は育たない。
 
 
トンネルの中はどのようになっているのか?カメラを入れてみると・・・
 
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サラダ蕪。
11月に種蒔き。
出荷はおそらく2月初旬頃、
 
ある程度葉が成長すると
少しでも暖かな日にはぐり
徐々に寒気に当ててやる
すると、やや葉は傷むが、
蕪が生長を始める。
トンネルに覆われたままでは
蕪は大きくならないだけではなく、美味しい実にはならない。
 
イメージ 6サラダセット。
 
種を蒔いて三週間目の幼芽
トンネルの厚みが0.03ミリ
と薄く、成長が遅くなっている
 
この厚さで成長の時間の調整
を行う。
被覆布を剥ぐのが早すぎたようだ。思いのほか寒が早く
来てしまった。
 
 
 
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白菜。
トンネルの厚みが0.03ミリ
に設定。(蒸れが怖いため)
霜よけにはなるが、成長は
遅くなってしまう。
春一番に出荷する予定。
但、巻くかどうかは定かで
はない。
巻かなくても、十分に美味しい
青い葉が多く、実は栄養価も
高い。(巻くと中が白い)
佐藤自然農園ならではの巻かない白菜となる。
 
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来春出荷を予定している
洋ほうれん草。
トンネルの厚み0.05ミリ
葉は厚く、ジューシー、
味香りが強い。
 
これも後、一週間で
トンネルを剥ぎ、寒気に
当てる予定。
こうすると、葉の中に蓄えられたデンプンなどが糖質・
ビタミンに変化し美味しくなる
 
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ほうれん草の幼苗
トンネルの厚み0.05ミリ
これはトンネルの中に
さらに被覆布で覆う。
 
これを剥ぐタイミングが
かなり難しい。
 
遅いともやしみたいに、
早いと寒で落ちてしまう。
 
 
 
このように、トンネルの管理は実に神経を使い子供と同じ。あまり過保護にし過ぎて
トンネルをはぐらないで育てると、見てくれは大きく良いが、中身の薄い美味しくない
野菜ができてしまう。
 
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今年は様々な出来事があり、多くの人達に接した一年だった。
 
農園を開いて9年目、個人顧客56人、レストラン7先となっていた。
そこに3.11の大地震原子力溶融炉のメルトダウン、東北・関東の被害甚大、
多くの死傷者・行方不明者を出し、それに加えて東北・関東を中心にした放射能
汚染による農業被害、食料の安全不安が続き、風評被害が大きな社会問題に
なり、結果として、真に遺憾ながら、6カ月で約30名程の新規顧客が急増した。
被災地の方々や子供を持つ親の気持ち、被害地域の農業者の無念など、を思えば複雑な心境でした。
その後は縦横の紹介が続き、一気に40名を超えるお客様が増えた。
結果だけを言えば、むかし野菜を喜んで頂いており、新たな出会いができ、すばらしいことだが・・・ でも最近は、天が与えてくれた機会であり、販路拡大により、
むかし野菜生産の仲間作りが出来るチャンスと捉えるようにした。
 
農園を開いた趣旨に基づき、地域活性のため、農業の後継者発掘・育成、有機農産物の商品化を図るなどの目的で農業セミナーも4回開講した。
それなりの参加者はあったが、中々に進展が見えず、特に若い農業後継者が未だに現れてはこない。この世代は、根拠のない自信をちらつかせ、先を見ようとしない
のか、「一人でいったい何ができる」と怒りたい気持ちをぐっと抑える。
 
官公庁はあいも変わらずに、パフォーマンスに終止。実がない話し合いを繰り返す。
「本当にふるさとを愛しているのか?日本の将来を考えているのか?保身を考えているのか、前例が無いと・・・皆様のご意見をお伺いしなければ・・・の繰り返し!」
 
それでも収穫はあった。
 
河野さん・田北さん・平野さんなどの新しいメンバーにめぐり合えた。これで、仲間は
一気に6人になった。
これで何とか既存の流通システム・農産物価値の基準(規格・見てくれ)に挑戦できる下地ができつつある。
農産物の価値は美味しさ・栄養価にこそあり、安心安全などは当たり前であり、従来型の有機野菜の価値観(安心安全)へも挑戦していきたい!と、来年へ思いを馳せ
自分達の手により栽培した米・小麦・大豆による真の手作り味噌になどの加工品などの生産・販売が射程内に捉えられる。
 
来年、1月13日からの野菜発送に野菜の成長が追いつくのか?不安はよぎるが、
「何とか成る」と思わざるを得ない。
 
来年の生産計画・同行者との生産計画・加工品へのチャレンジ・理解して頂ける
消費者達へのコミュニケーション戦略など、ゆっくりと考えてみるか?で、年は越す・・・来年の夢の行方は・・・
今年の農園ブログはこれで、筆納め・・・・・・