農園日誌(果物の話)

23.9.29(木曜日)曇り、最高温度29度、最低温度26度
 
今日は出荷はお休みの日。朝から畑作り(草の除去・堆肥振り・耕運・畝たて・筋引)
など2番・5番の畑を作る。私は一馬力、女性人は2馬力、畑作りが先行するため、
朝から息付く暇もない。久しぶりの暑さと湿気、おまけに風邪の熱までが加わり、
ペットボトル一杯飲んでも、喉が渇く。
ようやく、午前中、畑作りが一段落。その間、女性人二人は茄子の剪定紐掛け
秋の葉野菜の定植作業を行う。
 
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黄金色に色つき始める稲穂達
 
昼の食事もそこそこ、畝作りを行う。九条葱2000本の植え込みを女性陣が行う。
その間、又。草刈を行い、今度は、セロリの畝作り。
今が夏野菜から秋冬野菜へ畑が次第に変化していく。
 
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芽を吹いたばかりの
大根・サラダ蕪・聖護院大根
ビーツの幼苗。
8月下旬頃から、何回か
チャレンジするが、虫害や暑さで
うまく育たない。
例年同じことを繰り返す。
少しでも早く大根を出してあげたいと言う気持ちが自然の中では
空回り。本当に懲りない。
自然に逆らうからだと誰かが耳の後ろで囁く。
(旬の意味)
 
最近、旬野菜と言っても、マスメディアも含めて大きく勘違いしている。
真に旬とは一番美味しい時季のことを指す。
自然に逆らい、気候に合わない野菜を作ることが、一番収益を上げる。
市場に溢れた野菜(これが旬ですが)は価格が下がり、農家は二束三文になる。
そこで少しでも早く、あるいは、遅く農産物を作ろうとする。概して、まったくと言って美味しくない。(止むを得ない動きとは言っても少し寂しい)
当農園の特徴はこれらのマーケットの動きとは異なり、自然に逆らわず旬の美味しさを求める。(先ほど少しでも早く作ろうとするのは、お客様の求めに応じてですが、
これも反省するばかり)「露地栽培とは旬菜と同義語ですか!」
 
通常マスメディアが言う旬とは、「走り旬」のこと。出始めの野菜は、完熟しておらず
言わば青い状態です。これが美味しい訳はない。
味が乗った「中旬」が一番美味しい。
但し、私は、本当に美味しいのは、「終わり旬」と思います。
これは表皮は硬く、成りは悪く小さいわ、虫は食ってるわ、通常、市場には出回らない。農家では「落ち旬」とも言い、珍重されます。なんと言っても味が深い。
これらを知っている料理人が日本に一桁いるかどうか。野菜を飾り扱いしかしない料理人が多すぎます。(逆に言えば、それを求める消費者が多いのか?それも寂しい)
 
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月曜日に植えたにんにくの
畑作りの風景(5番の畑)
あまりの暑さにシャツを脱ぐ
 
機械で畝たてをすると早いのですが、きれいに畝が立たず
手作業でやる。
きれいに仕上がるが、とにかく
長い。季節の変わり目、きつい作業が続く。土の成長が
手に取るように分かる。
 
(柿の話)
今日、以前から、試しに頼んでいた柿を頂いた。勿論、お客様に届けるために・・・
その方の言われるには、一番美味しいのは冬柿ですが、それでは多くの農家から
柿が一斉に出荷され、価格が下がる。そのため、季節を先取りしてこの品種の
柿を植えました。
 
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その方は柿の産地では、まだ青い
うちに出荷している。まだ美味しくないのにねと。
 
これも流通を経た農産物は、痛み
が少なく、長持ちして均一、見てくれが良いものが好まれる。
一方、消費者は、当然美味しくリーズナブルなものを好む。このギャップは・・・)
 
 
肥料はどのようにして、何を施肥しておられますか?と尋ねる。
年一回、牛糞堆肥を入れるとのこと。農薬は何回?カイガラムシ!が付くとやられるので一回しました。(それでも通常の1/3以下の量)
 
女性陣に試食させる。
やや甘みを感じるが、味香りが薄いね。内のおばあちゃんの畑の冬柿はなにもしないのに美味しく味がするよ。と、彼女達も舌が鍛られてきたか?と・・・
 
牛糞のアンモニアが多く含まれるものを施肥した性か?自然の中で育ったものの
ほうが味がする。奇跡のりんご編か!
当農園の堆肥もいかに自然に近づいた土を作るかが、テーマで始まった。
 
その方には、帰り際に、今度は草木堆肥、それも畜糞をさらに50%落とした
草木堆肥を施肥すれば、商業的な量の確保と差別化した美味しい柿ができると
思いますよと、伝えた。東京に行く際に、マーケティングリサーチをかけてみる。
 
(教訓)
 
現在マーケットにある農産物は、そのほとんどが「流通に向くか否か」「如何に市場に少ない時にその農産物を出荷するか」が大きな商業的テーマとなっている。
どこか可笑しい!如何に美味しく、リーズナブル(正当な価格)な価格化が中心に
なっていない。
当農園が勧める果物(野菜は勿論)や卵などは、はじめから、商品開発しない限りは得ることは難しいことが見えてくる。(現有市場には極端に少ない)これを購入される方は誰か(どのような消費者層か)が先にないと、私が納得した商品を見つけることが難しいようだ。
その方も、如何に良い商品を作ろうかといつも考えておられるようです。
又一人、そんな仲間が増えるか?楽しみです。
 
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 農園の夕暮れ、秋の日はつるべ落とし、農作業をする時間が少なくなってきた。