農園日誌Ⅱー「活きること」PART29

2019.8.14(水曜日)雨後、暴風雨、最高温度31度、最低温度24度

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 努力の甲斐あって、ようやく復活し始めた茄子。
一時は、葉は黄色く変色し、害虫に喰われ、枝は細く、根は黄土色に変色し、白根や髭根は見られない。正しく瀕死の重症であった。
夏野菜に茄子が無い。これは異常事態である。
原因は実はよく分かってはいなかった。5~6月の成長期に渇水となり、全くと言って成長していなかった。その後の7月豪雨が降り続き、日照不足と根に土が詰まり、呼吸困難になっていた処までは分かっているだけである。

細く枯れ始めていた枝や葉っぱは落とし、新しい芽を吹かせる試みや堀り上げて、
新しい畝に植え替えるなどの手を尽くし、8月頃になってようやく青葉が出始め、
ついには、花が咲き始めていた。
4月定植した苗の内、約半分が生き残ってくれた。

8月14日、大型の台風10号が近づいている。直撃に近い。
果たして、夏野菜のどれだけが生き残ってくれるのか。
今日は、数日掛けて台風対策を行った後の締め作業を行う。
水曜日出荷を早々と終えて、皆を帰らせた。後は祈るしか無い・・・
携帯電話に避難警告が鳴っている。

「活きること」PART29

2019.4.21 春の農園体験会開催

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悪いことは重なるもので、今まで所属してきたヤフーのインターネット取引が終了するといった事態になった。急遽、新たな所属先を探し、佐藤自然農園のインターネット取引は継続したものの、ヤフーの残像が残り続け、佐藤自然農園とアクセスしても「インターネット取引は終了しました」の表示が出続け、結果として、消費者との繋がりが断ち切れてしまった。
ネット取引で消費者市場と繋がってきた農園としては、メクラ同然になってしまった。
今までは、取引中止の顧客より新規取引のお客様の方が上回っていたため、定期購入の消費者は漸増していたのだが、定期購入のお客様は減る一方の展開となった。
 
農園主はスタッフ全員を集めてこう切り出した。
「現状、農園のお客様は往事の半分となり、漸減し続けている。みんなはどうしたらよいと考えているのか?」と聞くと、スタッフは、「お客様は離れていっており、不安です」と・・・
私はこう切り返した。
「当農園の野菜や農産物加工品にお客様は信頼して頂いている。今まで貴方達はそんなお客様の大切さを真に肌で感じたことは無かったのでは無いか」
「離れているのでは無い。お止めになられたお客様達は、今回の送料大幅な引き上げに戸惑い、苦慮し、やむを得ず取引の中止を決断したに過ぎない。

「それでも私達の健全な野菜作りに共感して頂き、留まって頂いている定期購入のお客様にもっと感謝すべきです。同時にもっと自信と誇りを持ちなさい。貴方達は、消費者の皆様が作りたくとも作れない野菜をお客様(仲間達)に替わって生産しているのです」

「今までは、農園主が作り上げてきたむかし農法やそれを支持して頂くお客様の輪に乗っかっていただけです。これからは、貴方達自らが汗を掻き、頭を使い、このむかし野菜を少しでも多くの消費者に理解して頂き、広めて行く努力をすべきです」
 
と言うことで、その年の春、彼らが考えた方法で二週連続の農園体験会を開催することに決した。チラシを作成し、団地に配り、ホームページやインスタグラムで広報し、参加者の募集を募った。
今回は、今までの農園主主体の企画や実行をスタッフ達へと移し、極力手を出さないことにした。かれらももう自立して良い時期に来ている。
 
4.21.4.28の両日、天気にも恵まれ、一日当たり120名(子供さんがその半数)のお客様が集まり、種蒔き、収穫作業、昼食会と続き、大盛況の中で終わった。

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さぞやお客様が増えたであろうとお思いであろうが、集まった皆様は楽しかった、スタッフ達は忙しい忙しいで終わってしまった感があり、定期購入客も農園直販客も一向に増えていない。
これがイベント効果の実情であり、このような農園があることを知らしめるだけでしかない。
つまりは、消費者が実際に購買行動に移るには、もうしばらくの時間と消費者のさらなる理解が必要となる。
 
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おそらくは、今回のイベントに参加した消費者達は、子供を遊ばせる目的の農園体験会ではなかったか?の疑問がスタッフ達から上がった。その際、配ったインタビュー方式の回答には、「定期購入や農園直売に行ってみたい」・「健全な野菜に関心を持った」との反応が70%にも昇っていたのにも拘わらずである。その結果にスタッフ全員意気消沈となっている。
 
スタッフからは、このように農園主に言ってきた。
「お父さん、次回に行う体験会には、農園セミナーを加えてください」と。
 
 
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2019.6.16 & 7.14 健全な食を考える会開催
 
「農園では、未来へと残していきたい日本の先人達の叡智である自然循環農業、所謂むかし農法を消費者の皆様へご紹介し、生産者と一緒に健全な食を考えていく
ために、一年を通して、様々な農園体験会を催しております。その体験を通じ
て、「食の安全性や栄養価の豊かな農産物」への関心を持って頂きたいと願っ
ております。「食の安全性」が損なわれつつあるこの時代、ご家族の健康を守
るのは、貴方です。
ここで、学んだ知識や体感を是非、日常の食卓の中で活かして頂きたいと考え
ております。
子供さんも一緒に学んで、かつ体験するために、ご家族でのご参加をお願いし
ます。但、子供さんを遊ばせる目的でのご参加はご遠慮下さい。」
 
以上の趣旨で「農園セミナー」及び「料理体験会」を主体とした農園体験会を催した。
今回の参加者は、激減し、それぞれで10数家族の方々がお見えになられた。

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セミナーでは、堆肥と肥料の違い・高窒素栽培による硝酸態窒素(毒素)の懸念・畜糞主体の有機農業に潜む危険性・アメリカの二倍以上使われている日本の加工品や食品に含まれる食品添加物の怖さなどをご紹介した。
畜糞主体の栽培により(外国産主体の配合飼料には抗生物質ホルモン剤・薬品が多く含まれる)もたらされる土壌汚染は、微生物や放線菌の棲めない不毛の圃場を生み出していること、そこから生産される有機野菜は、健全な自然循環農産物とは大きく乖離し始めていることなどを詳細に語った。
かっての日本の農業者達は、草を刈り、葉っぱを集め、草木による堆肥を作り、土を微生物一杯の豊かな土壌に育ててきた。その土壌から産出される農産物は、栄養価に溢れ、美味しく、人の体を健全に導いてくれていたことに気がついて頂きたいとお伝えした。
料理体験会は、素材(味香り・旨み・食感)を活かした幾つかの料理を実際に体験してもらおうとする試みである。
毎日の家族の食事に携わる方にとって、料理人の様に手間を掛け、調理をするわけにはいかない。
この農園では、簡単に調理ができて、しかも美味しい料理を提案しようとしている。
さらには、穀類の粉などを使って、滋養豊かな美味しいおやつや中間食の提案も行った。
 
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例え少数でも良い。この農業体験会だけではなくあらゆる機会を通して、すこしでも多くの人達に伝え続ける努力が大切であることを、うちのスタッフ達へ分からせようとした。
 
2017年、KBC朝日放送によるテレビ放映効果で一時的に定期購入のお客様は一気に250余名増えて、500人を突破した。
おそらくは、1年以内で増加したお客様の2/3は止めていくだろう。結果として元からの定期購入のお客様250名と止めずに残る80名足らずのお客様の総計が300~330名になる。
ところが、2018年、宅配業者の料金一斉値上げ幅がその予想を大きく上回り、1年掛けて、さらに、100余名の方が脱落していった。
悪いことは重なるもので、それに追い打ちを掛けるように、ヤフーのインターネット契約の打ち切りがあり、約半年間、ネット市場との交信や情報発信はゼロになり、新規のお試しセットの申し出は全くと言って無くなった。これが定期購入される顧客ジリ貧の実態であった。

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