農園日誌ー一年間ご愛読頂きありがとうございました

30.12.27(木曜日)晴れ、最高温度10度、最低温度4度

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                     農園は冬ごもり

 今日は比較的過ごしやすかったが、明日からは大寒波が襲ってくる。
年末から年始にかけて、個人配送の方にはお休みを頂き、年に一回の少し長めの
お休みを頂くため、今日は仕事じまいを兼ね、ビニールトンネルや織布を野菜達に
掛けて回った。
今年一年間を振り返って見れば、色々とあったこともすっかり忘れるほど、久しぶりの豊かな秋を迎え、後半は随分と楽をさせてもらった。
そのため、端境期を感じさせることも無く、仲間達には随分と多くの野菜を毎週送り続けることができた。
仲間達(定期購入のお客様)には、毎回送られてくる野菜に辟易したかもしれませんが、こんな年もあるのです。自然の恵みだと思って(喜んで頂いているかもしれませんが)諦めてもらうしか無い。
今週何を送るか?と少ないアイテムで頭を抱えて悩むこともなく、むしろ、アイテムがあり過ぎて(育ちすぎて)何を送らないかと悩む秋は、初めて迎えた。
自然とそれを受け入れて頂いたお客様に感謝している。

農園では、今、真冬の静かな冬ごもりを迎えている。この静寂な風景が私は好きだ。

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育苗ハウスでは、レタス系など、来春に向けて種蒔きを行った。
年が明けると、これに加えて、カンラン系の春野菜やトマト・茄子・ピーマンなどの
夏野菜の種蒔くを行う。
この厳しい寒さの中で、電熱器を使って無理矢理発芽させ、そして育てていく。
特に夏野菜は、1月に育苗トレイに種を蒔き、3月初旬にポットに揚げ、踏み込み堆肥ベッドに寝かせ(堆肥から熱が出る)、大きく育て、4月10日頃に定植をする。
それだけ幼苗を育てる手間とリスクを掛け、さらに3ヶ月後、ようやく、6月中旬頃に初出荷を迎えることになる。

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              ビニールトンネル掛け作業の風景

先ずは、畝の両翼を鍬で堀り上げ、約70センチ間隔でベースの竹の支柱を立て、
トンネルを引っ張り、その両翼を地中に埋め込み、掛けたトンネルの上に抑えの竹を施す。数人で呼吸を合わせて一気に張り上げる。見事な連携プレーである。

これを一人の力で行うと、一張り施すには、一本当たり、約1時間を要するが、数人の連携作業では、半日で20本以上を張り終えることができる。

これからの季節、このトンネルの管理が野菜の出来不出来を決める。
暖かく晴れた日には、剥ぐり、雨の日も水を補給するために、また、剥ぐ。
この単純な日常管理作業は経験がものを言うことになる。

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今日、長野県から農園見学のご夫婦がやってきた。闊達な男の子を伴っていた。
わずか2時間半ほどの滞在であった。
スタッフ達が用意していた堆肥作りを体験しただけで終わってしまった。
聞けば、他の農園を見学したいとのことであった。
それをお聞きしただけで、これは腹が据わっていないと直感したため、かなり厳しい
話をしてみた。

県及び他の市町村から時折、見学をしたいとの要望があり、いつものことながら、上っ面を見て帰るだけに終わってしまう。それには何の意味も意義も無い。
特に当農園では、堆肥作りを見ただけでは何も分からず、その後に活かすことすら
できはしない。
そこで私は、このご夫婦にこのように伝えた。
「あまり多くの農園の事例を見過ぎないことですよ。どれもよく感じてしまい、貴方がやりたい農業の本質を見失っていまいますよ」
何かを得ようと欲すれば、何かを捨てる覚悟が要る。良いところ取りは、全てが中途半端になり、何も得る処が無いという結果になる。

「もっと自分を見つめ、何を、どのような農業を、どのような野菜を作りたいのか?
どのような消費者に届けたいのか?見極めた上で、そこに飛び込むだけの勇気を持ちなさい」
農業は生活の全部となる覚悟が必要な職業となる。つまりは、一生を掛けるものですね。

このご夫婦に良き日が来ますように祈るしか無い。

今年一年間、おつきあい頂き、ありがとうございました。
来年からは、農業を始めてから、今に至るまでの農業日誌を書いていこうと考えております。きっと皆様方の生き方のご参考になろうかと思います。

来年からもよろしくお願い致します。
皆様方に良い年が訪れますようにお祈りしております。