農園日誌ー高質で健全な食品及び農産物の生産及び販売

30.12.19(水曜日)晴れ、最高温度14度、最低温度3度

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                   霜に覆われた農園

 早朝、出荷作業に畑に出かけたら、一面真っ白な世界。今年最強の霜。
暖冬のため、野菜もトンネルを掛けずにいたら、畑は氷点下まで下がっていたのか
かなりなダメージを受けていた。
これが数回続くと、特に葉野菜は溶けるように落ちていくことになる。
いくら暖冬とは言っても、もう真冬には違いない。
このままでは、越年する頃は、皆、やられているかもしれない。
今日、皆が出荷作業中に、一人、黙々とトンネルを張るためのベース作りをした。
来年には、農園はすっかり白一色(ビニールハウスのトンネル)に覆われていることだろう。

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イメージ 3上の写真は味美菜。
下は水菜。

いずれ完熟している
現在出荷中の葉野菜

倒れ込んだり、一部の葉っぱが溶け始めている。

寒にやられかかっている葉野菜達は蘇生し難い状態となっている



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上の写真は小松菜
下は水菜
いずれも成長途上
寒によりダメージは
受けてはいるものの、
しっかりと蘇生し始めている。

野菜も人間と同じで
環境に順応してくる
そして、自己治癒能力
を持っており、ある程度のダメージを受けても復活する。

野菜が成長するためには、土中に窒素が必要となる。
窒素が供給され続けているうちは、ミトコンドリア(成長酵素)が増え続けて、成長する。化学肥料や畜糞肥料では、窒素過多の土壌になり、ミトコンドリアは減退しない
そのため、常に成長し続けて肥大していく。
適度のサイズ(規格サイズ)になれば、出荷を行う。
野菜の中には、炭水化物やデンプンが多量に含まれ、(ついでに言うと窒素分を分解しきれずに毒素となる硝酸態窒素が残される)青臭い味や苦みを感じてしまう。
(デンプンは苦いのです)

他方、自然循環農業である草木堆肥などの低窒素栽培では、二ヶ月もすると、窒素分が切れていく。当然にミトコンドリアは減退し、成長が止まり、野菜は完熟へと向かう。
完熟過程で、野菜は生き残りたいため、デンプンなどを分解し始め、糖質とビタミンへと変化し、野菜が生き残るためのエネルギーとしようとする。
糖質とビタミンは当然ながら人間(生命体)にとってもエネルギーとなる。
低窒素栽培の野菜は甘くなり、栄養価に富む。

これが野菜の生理現象である。

ここまでは、自然循環農法の基本的な知識に過ぎない。
真のプロになるには、野菜を観察し、気候を読み取り、推察し、どうするかを考えなくてはいけない。
完熟野菜は、すでに成長は止まっており、中に、栄養価を蓄え、余命を生きるのみ
であり、すでに生命の灯を燃やし尽くしている。
そうなると、変化する厳しい環境に耐える力は残されてはいない。
そのため、生命を長らえるために(出荷を終えるために)寒さから身を守ってやらねばならない。即、ビニールトンネルを掛けるか、織布のベタ掛けを施すか、などの
防寒対策が必要となる。最低気温を注視して行かねばならない。

成長途上の葉野菜は、蘇生能力があり、最低温度が氷点下になる頃までには、
やはり、織布を施すことがよりリスクが少ない、と言うことになる。

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当農園の卒業生である後藤農園が借りた畑に、初年度、さつまいもを植えた。
予想通り、旨みが少なく、甘みもやや薄い。
まだ、草木堆肥一年目の畑ではある。当然とも言えた。
仲間達には安くお届けしてはいるが、やはり、やや気が引ける。
それでも、処女地だけのことはあって、さつまいもが良くできた。
寒も来ているので、年を越す前には、掘りあげてしまおうと女性陣にも応援を求め
芋掘りの最中。

掘ったら、すぐに、寒を避けるためと、追熟させるために、穴に埋め込む。
そのノウハウを伝授しているところ。


高質で健全な食品及び農産物の生産及び販売について PART3

12月より、むかし野菜の邑では、農園にて直販も行うことにした。
理由は、三つある。
一つは、送料の大幅な値上げであった。
これは消費者の価値観とも繋がることではあるが、食の安全性に疑問を抱き始めた
消費者の方々、これを私は一般消費者と区別するために、特定マーケットと呼んでいる。

そんな方々であっても、家計に直接響く物流コストの上昇は、ただでも実質所得が目減りし始めている中、食を切り詰めることを考え始めてしまう。

これは政府の政策の大きな過ちでもあるのだが、むかし野菜に思いは残しつつ、
宅配を休止する人達も出始めたこと。

二つ目は、今まで、大消費地である関東及び福岡の方々がメインのお客様であった
折角大分にて若い農人(後継者育成)を育て、今後も研修生を受け入れて行くためにも、地元大分の消費者に知られていないのは、大きな問題でもある。

但、この場合は、野菜どころであるこの地方都市では特定マーケットはいかにも未熟である。


三つ目は、佐藤自然農園もむかし野菜の邑も、次の世代へ繋いでいかねばならない
時期に来ていること。
このため、当農園が創世記の折、私たち夫婦がやってきた自然野菜の啓発・啓蒙的売り方を彼らにもやらせてみなければならない。

いつまでも指示待ちの状態では、次は無い。
小さな失敗や、また、啓発することの難しさを自ら体験しないと、本物にはなれない。

いらいらしながらも、なるべく口出しせずに、彼らを見ることしか今はしない。

美味し野菜とは何?栄養価に富んだ野菜とは何?安全かつ健全な野菜とは何?
さらに突っ込んで、食の安全は、国が守ってはくれないこと等々、若い農人達には
これらの啓発的な売り方は、また、一般消費者から特定消費者へ変って頂くには、どれだけの時間と苦労が要ることか。


真の自然循環農業の伝道者になるには、まだまだ先は長い道のりが待っている。

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作っても作っても、まだまだ足りない草木堆肥。

何しろむかし野菜の邑の耕作面積は、3町歩(3,000坪)に拡がっているのだから。