農園日誌ー

30.12.5(水曜日)曇り、最高温度20度、最低温度12度

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 12月と言うのに、最高温度が20度となっている。
これも金曜日頃から急速に冷え込みが始まり、最高温度も8度、最低温度は2度と
なるそうだ。
暖冬のおかげで野菜の成長が早く、時間差植えなど、意味も無く、皆、生育が追いついてしまい、一斉に出荷時期を迎えてしまっている。
近在の方から、暖かいから野菜がみな元気で良いですねとの挨拶を受ける。
そうも言っていられない。この急速な寒の訪れは、12月初旬に、種を蒔いても発育しないことを意味しており、2月頃の冬野菜は全く無いということになりかねない。

数年ぶりの自然の(秋の恩恵)を受けたのだが、織布・ビニールトンネルなどを駆使して、強制的に発芽させ成長を調整したり、わざと寒に当て成長を遅らせたりしながら、野菜を切らさない工夫をしなければならない。
中々に楽はさせてはくれないようだ。

冒頭の写真のセロリは第二陣の植え込みのもの。
わざと生育を遅らせていたため、大人になりきっていない。そのため、急速な寒の訪れは、このセロリ達にはショッキングなことだろう。
昨日芽掻き作業を終えて、早速にトンネルの準備(竹の支柱のベース打ち)を行った。金曜日の夕方から先ずは織布を掛け、さらに寒が強まる時季になると、その上にビニールトンネルを掛けて二重被覆し、寒から、守ってやらねばならない。

これらの判断を自然の動きに合わせて行い続けることが、自然循環農業及び露地栽培には不可欠となる。
我が邑の後継者達にそれができるようになるには、まだ数年の経験と実践を要するのかもしれない。

イメージ 2これは秋蒔きのビーツ

暖冬故に順調に生育はしていたが、連日の霜に襲われ、昨日見てみると、葉っぱが白くなっていた。
寒にやられている証拠

野菜は子供と一緒で
寒い中で育てば、少々の霜でやられることはないのだが、偶々、
今年の暖冬の中で育ってきたため、所謂、温室育ちの特徴が出ている。そのため、早急にビニールトンネルを張ってやらねばならなくなった。

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先週の日曜日、暖冬のため、枯れるのが(正確には完熟するのが)遅れていた大豆の収穫作業を行い、
とは言っても、まだ3反だけですが、約240キロの大豆が採れた。

早速焙煎し、粉に引き
大豆粉(黄な粉)を作って、田北さんのお餅に合わせて出荷した


当農園の中で、高質な植物性タンパク質の大豆の存在は大きく、年によって生産量が大きくばらつくのですが、今年はまずまずの収量が見込める。
味噌・黄な粉・蒸し大豆(味付けなし)と大活躍している。
中でも無添加発酵食品である味噌は、人気が高く、去年240キロ仕込んだのですが、常に不足している。

労力と手間が掛かるため、ニーズに追いつかないが、今年は何とか300キロ以上は製造したい。


高質で健全な食品及び農産物の生産及び販売について

(マーケットの動向)

 大量流通の流れは益々規模を拡大し始めている。
大型物量(大型店舗・アマゾンなどのネット販売など)の勢いは、止まるところを知らず、中小小売・専門店などの廃業が進み、対面販売による食品の価値や質を問うことも難しくなってきている。
そのため、食品の価値は、価格や見栄えに移り、さらに、食品の安全性は、厚生労働省の指導により、添加物だらけとなり、「一体何が安全なのかすら見えなくなっている」

例えば、加工品などでは、無添加な干物は水産物加工所から消えていき、活きた漬物(発酵食品)は滅菌し、保存料などの添加物を加えないと、売りにくくなっており、
そうであれば、わざわざ手間と経験を要する発酵食品でなくとも、化学調味料の漬物のほうが良い、と言うわけで、漬物業界も簡単にできる漬物まがいの商品が主流となってきている。
農園主から言わせてもらうと、それはもはや漬物とは言えない。漬物とは乳酸菌発酵など自然界の微生物が作り続ける活きた食品であった。故に腸内を活性化し健康な体を維持できる優れた健康食品だった筈。

無添加な食品とは、製造工程から鮮度を大切にし、腐敗しないように管理していくことが必要であり、実に多くの手間と経験がものを言う。
そのため、当然ながらコストがかかり、ある程度の価格帯を維持しないと生産者は生きてはいけない。
それらが根底から壊れ始めた日本の規制国家の在り方であることに、多くの消費者は全くと言って無関心状態にあるのが現状です。

最近東京から来た仲間の一人がこのようなことを話していた。

ある特定の人達が集まり、昔からの農家の人を講師に呼び、漬物や味噌などの加工品をみなで作り、「購入」するのではなく、「皆で生産したものを配る=つまりはシェアーする」
農家には、材料代金と講師料を払う。
ここまでしないと保健所の指導を回避できないほどの、規制国家、あるいは、管理国家になっているとは・・・

無論、むかし野菜の邑では、あくまでも対面販売方式にこだわり、消費者と面対で
、つまりは、納得して頂き購入して頂いた、と言う方式を取り、この規制を回避していくしかないと、考えている。

但、この考え方を貫いていけるかは、苦慮し、それを乗り越えたという経験のない
(つまりは、闘ったことの無い)若い後継者の腹にかかっているのが、今一の不安材料なのだが・・・
この闘いを貫けるかどうかは、ひとえに特定の消費者の支えがあるかないかにかかっている。
単に生産者だけではなく、この価値観をシェアーする消費者を仲間と呼ぶのは、
その意味からなのですが。

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                玉葱畑と化した7番の畑

ここには約2万本の玉葱の苗が植わっている。
今年は、前年大量の苗を植えたため、12月まで玉葱の保存(出荷)ができ、さらに冷蔵保管庫がその寿命を延ばしてくれた。