農園日誌ーむかし野菜の邑の進むべき道は?

30.9.12(水曜日)雨、最高温度28度、最低温度24度

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                二番の畑にセロリが植わった

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秋野菜の準備を進めていた畑に、セロリを
定植した風景。(今年11月末頃から出荷)

(左の写真)畝全体に草木堆肥を振った
後に、畝立てし、同じく草木堆肥を先肥と
して、植え込む場所に置き、三つ叉鍬で
混ぜ込む。
セロリは多肥性の野菜のために先肥が
必要となる。実物野菜も同じ。

 草木堆肥を使った自然循環農法の大きな課題は、低窒素であること。
化学肥料は勿論のこと、畜糞・米糠・油粕などの肥料は一切使わないため、多肥を好む巻き野菜(白菜・キャベツ等)・実物(茄子・ピーマン等)などは、どうしても窒素不足になり、成長しないと言った課題が残る。
これを克服するために考え出した当農園苦心の工夫の一つ。

ついでに言うと、草木堆肥は、完熟一歩前のものを施肥する。
完熟してしまった草木堆肥は最早、肥料でしかない。
微生物・放線菌が元気に増殖している途上の完熟前の草木堆肥を畑に撒く。
その完熟前の堆肥は窒素分の供給は少なく、施肥後のほぼ一ヶ月過ぎた頃に微生物等が分解し終えて、土壌に窒素分を供給し始める。(農園の経験則)

つまりは、先肥をしても野菜の根は窒素焼けはせず、さらに、窒素分が土壌に少ないため、窒素分を求めて根(特に髭根)を張り巡らせる。
充分に根を張り終えて、基部(土台)が太く丈夫に成長した頃に、窒素分が供給されることによって、一ヶ月過ぎた頃から土壌の様々な栄養価を吸い込んで、ぐんぐんと野菜は成長を始める。
そのため、土壌が育っていない草木堆肥歴2年未満の圃場では、草木堆肥をいくら施しても野菜は健全には育たない。

化学肥料や畜糞(どうしても窒素過多となる)などで育った野菜と比べて成長が遅い分、筋を立てず、栄養価に富んだ肉厚な美味しい野菜ができる。

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              同じく二番の畑(草木堆肥歴17年目)

ここには、より美味しさが際立つ人参の種を蒔き(織布掛け)、秋いんげん豆を定植し、左側の幼い苗の芽キャベツ(来年の1~4月頃出荷予定)を定植した。

イメージ 46番の草木堆肥歴4年目の畑。

ここには、島らっきょ・
わけぎ・にんにくの他
(小さな穴が散見)
高菜の種を蒔いた。

ようやく暑さが和らいだと思ったら、少し肌寒いような気候になっていた。


秋野菜植え込み本番の季節となった。
夏野菜の支柱撤去作業を終えるとすぐに、そこには、秋野菜が植わっている。
そんな目まぐるしく忙しい季節になった。
今週は秋雨前線が停滞し、作業は捗らなくなってはいるが、植え込みには必要な恵みの雨となっている。


 本日、出荷作業が早めに終わったので、懸案の農園マルシェ(農園での直販)を
どのように進めていくかの会議を行う。
今後は、農園主が主導する体制から、農園を引き継ぐべき若い世代への交代の時期を迎えようとしており、彼らのできる範囲で、彼らが考えるむかし野菜の邑の進むべき方向を彼ら自ら考えることが最も重要と考えている。

そのため、方向性への示唆に留めて、時間をかけてでも「自らが考えて行動する」ことを、いらいらしながらも待つことにしている。

当農園の難しさは、世界でもオンリーワンの草木堆肥しか使わない野菜作り・自然農の穀類及びそれを使った発酵食品他の加工品生産は、マーケットには無いものであるだけに、常に市場啓発及び啓蒙活動をしながらの活動にならざるを得ない。
彼らには重たい荷かもしれないが、商品には絶対の自信を持っていることだけが救いなのかもしれない。

秋風が吹き始めており、今後は揺れ動きながら彼らなりの方向性の模索を始めている。