農園日誌ー夏野菜

30.5.16(水曜日)晴れ、最高温度28度、最低温度14度

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                 夕暮れ時の3番の畑

小さく見えているのが、植え込んだばかりの茄子。
今年は何だか変。種蒔きし、苗を育てるまでは順調なのに、植え込むと勢いを無くし
倒れていく。何回か、植継ぎをしなければならないようだ。
抜いてみると、白根が育っておらず、茶褐色に変色してしまっていた。
原因は不明。未だに分からないことが多い。
むかし、まだ駆け出しのころ、当時75歳のベテランの農人に色々と教わった。
今生きていると95歳を超えている。教えてくれる人が居ないのは寂しい。
気が付いてみると、あちこちの県から、当農園に研修に来るようになっている。
今度は教える番になったようだ。それもなんだか寂しいものだ。

人は一生涯を掛けて学び続けるもの。特に農業では、絶対と言うことは決して無い。
去年うまくいったことが今年はダメ、その繰り返しで、何故か?を謙虚に考え続け、実践(実験)を行う毎日ではある。
人は自然から生かされていることを実感できる世界が農業なのかもしれない。

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これは、茄子の合間に、蕪類の種蒔きを行ったところ。
何しろ、草木堆肥を使った自然循環農業は、土作りに最低三年以上を要し、何とか満足のいく野菜ができるようになるには5年以上かかる。
そのため、有効な圃場は最大限に活用しなければならない。
それが夏野菜と初野菜の同居である。

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こちらは今日、第一段階の剪定誘引を終えたばかりのトマトの畝。ついでに除草作業も同時に行うことによって、早期除草が可能となり、作業はきついが、効率的であり、無駄がない。
ようやっと、1/3が終わった。あと、8畝も残っている。最後の畝が終わったら、最初に手掛けたトマトが伸びており、延々とこの繰り返しの作業が続く・・・

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剪定誘引作業前、                剪定誘引作業後、

例年、この時期に行うが、炎天下の考えながらの緻密な作業は堪える。
途中で頭がぼーっとしてくる。

先ずは、梅雨に備えて、腐り上がりやすい下葉を落とし、不要な脇芽を掻く。
花芽に支柱や二番枝とが、重ならないように注意しながら、徐々に南向きに枝を誘引していく。

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枝は本枝と脇枝の二本立ちとしておき、勢いのあるトマトは、三本立ちとする。
そのために、最初の剪定誘引作業の稚拙により、収穫量が大きく異なることになる。

露地栽培トマトは、市場には先ず無い。
風雨に晒され、害虫被害も受け易く、
何より寒暖差や雨により、割れやすくなる。
もう扱い慣れたが、最初のうちはほとんどひび割れが発生し、商品にもならないこともあった。
ハウス栽培と違って、露地物は味香りが強く、何より旨味が違う。


先週の日曜日、鹿児島から3名のお客様(専業農家)が農園を訪れてきた。
そこはシラス台地で、焼酎原料となる白芋の栽培をメインに行っておられるとのこと。作っても作っても安くて農業経営が楽にならないとのこと。
他にも空豆や大根、茶(知覧)なども栽培してはいるが、やはり収益が少なく、どうしたものかと思い悩む毎日だそうだ。
圃場の面積は一人当たり、1haだそうで、当農園の総面積と同じ。

この低収入が大規模専業農家の共通した悩みである。

野菜の、と言うより、農産物価格が安すぎるのが一番大きな問題である。
となれば、未来へ繋いでいくためには、直販ルートを開発していくことしか望みは無くなる。生産者からユーザーへ、と言うのは簡単そうで難しい。

彼らには、兎に角強い、圧倒的に美味しい農産物生産=商品開発しか無いのですよ。その上で、ユーザー直販のためには、多品種栽培・農家のグループ化が不可欠ですとお伝えした。

畑を回りながら、野菜を直接食べてみてもらう。農家同士の会話は野菜を試食することである。
偶々、お一人の農家の方が空豆を生産しており、ご自分のところの空豆との味の比較をしてもらったところ、その味にびっくりしていた。
お帰りには野菜を一通りおみやげにし、ご家族で話し合ってもらうことにした。

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茶褐色に見えるのが、古代小麦(一粒小麦)(交配していない日本の原生種)

黄色に見えるのが大麦、未だ青いものが
小麦。
品種によってこうも違うものなのです。



鹿児島の方々には、穀類生産とその加工品つくりについて説明した。
再度のリターンがあれば、望みはあるが、果たしてどうでしょうか・・・