農園日誌ー真冬の仕事

30.1.26(水曜日)曇り時折雪、 最高温度1度、最低温度ー2度

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                          寒さに凍える野菜達

 今世紀最強の寒波だそうだ。
露地野菜達は身体を縮めて耐えている。表面積を大きくすればそれだけエネルギーを消耗するため、この時季の野菜は、冬の風に吹き飛ばされないように、地中に精一杯、根を張りながら、ひたすら春の訪れを待つ。

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この人参は9月下旬に種を蒔き、1月から出荷を始めたもの。
11月の季節外れの寒さにより、約一か月ほど、出荷が遅れた。
その分、長く圃場にあり、土の栄養素を目いっぱい吸い込んで美味しくなってる。
地中に長く留まったため、色は鮮やかで根は分岐している。

露地栽培野菜はこのように自然環境に即して、成長を自ら調整する能力を持っている。ひ弱になってしまった現在人とは異なる。

農園ではこの時季、堆肥つくりや除草作業のほかに、加工品の製造に時間を使う。

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20キロの大豆を土竈と厨房のコンロで蒸しているところ。
それ以前に4日かかりで作っておいた米麹30キロと合わせて味噌つくりを行う。
麹が多い方が美味しいという事で、今年からは配合を大豆2:米麹3に変えてみた。
只、これは言い訳で、実は大豆の生産が気候変動の大きさにより、不安定となり、
やむを得ずの選択となったもの。


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スタッフ総出で味噌つくりを行っている風景。
蒸しあがった大豆に天然海塩と米麹を混ぜて、磨り潰し、味噌玉を作る。
これは味噌を漬け込む際、空気をできるだけ入れないように、力を込めて味噌の玉を作り、味噌樽にぶっつけながら、押し込む。
7~8か月以上をかけて熟成発酵させる。

原料となる米は深水管理により育てた無肥料・無農薬の自然農米。
大豆は草木堆肥を使って、無除草剤・無化学肥料・無農薬で作った。
おそらく、これほど徹底して無化学物質・無添加の発酵食品は他に例が無い、と
自負している。

 半年以上かけて手間のかかる自然農の穀類を育て、7か月以上の時間をかけて熟成発酵させる。そんな味噌などの加工品は美味しくないはずはないのだが、
思えば、随分と労力をかけているものである。
むかしの漬物や味噌などの加工品も先人たちはこのように膨大な時間と労力をかけていたのだろう。
市場に出回っている味噌や漬物の大多数は、徹底的に効率化・合理化を推し進めた工業製品とならざるを得ないのも当然であり、経験と勘に頼る職人技や膨大な
労力をかけていたので、あんなに安く大量にはできるはずもない。
そのことをこの時代の消費者は、分かるはずもないと、どうしても、この時季、考えてしまう。
少なくとも当農園のお客様(仲間達)とは同じ価値観を共有したいものだと思う。

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             ビニールトンネルの中で育つ白菜

これは、織布をトンネルの中に入れていないため、ビニール一枚分しか保温されていない。そのため、太陽の光は浴びやすいのだが、温度が足りない。
そのため、巻き切らず、開いたままの白菜出荷となるだろう。
それはそれで、葉緑素一杯で、味香豊かな葉物野菜となり、この時季、貴重な青物野菜となる。
露地野菜にとっては、このほうがより自然に近いのかもしれない。