社会的存在価値-PARTⅧー消費者とのコミュニケーション

29.8.9(水曜日)曇り、最高温度35度、最低温度27度

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               茄子がようやく生き返ってきた

 今年、心配していた茄子が復活を遂げようとしている。
5月の予想外の乾季(雨が一滴も降らなかった)により、成長期にも拘わらず、生きるのがやっとという状態から、6月後半からの集中豪雨により、今度は根が呼吸困難に陥り、これまた、生き残るのがやっとという状態がしばらく続き、7月、土を掘り返しながらの(根に酸素を補給する)除草作業を行い、仮支柱と剪定誘引作業を続け、ようやく草木堆肥の追肥と同時に本支柱立てを行う。

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茄子の剪定作業
茄子は難しい。
余分な枝と枯れた葉や重なり合った葉を落とし
太陽の光と風を入れてやる。

この作業は、生育が大盛な9月いっぱいまで
続く。根気の要る作業
9月の中旬頃になると
古い枝を除去し、秋茄子に移る。

気候変動が著しくなっており、露地栽培においての夏野菜(全てではないが)の旬は、8月終わり頃から10月初旬頃に移り変わっている。

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8.5.九州朝日放送の一大イベントである博多駅前の「水と緑の祭典」への出店要請を受けて、総勢8人で赴く。
何しろ、35度以上の気温であり、保冷の準備もしてなければならず、かなり大変であった。なんでこんな暑い盛りに、との思いはあるが、凄い人盛りが・・・
農園主はというと、すっかり邪魔者扱いとなり、暑さのせいもあって、あっち行ったり、
こっちで涼んだりで、何も働いてはいない。時折、取材班が私を呼びに来て、テレビに向かってしゃべる程度。
それでも若いスタッフたちは、疲れているだろうに頑張ってくれていた。
きっと何かを得たことだろう。

その後、8月7日当農園の取り組みが再放送となり、前回1,200人の問い合わせ
が殺到し、それが一段落したと思ったら、200余名の方からの問い合わせが・・

こういう時は、事業的に見てチャンスであり、逆に大きな危機となる。
せっかく期待して問い合わせていただいた消費者の思いに応えねばならないが、
物理的にも人員的にも無理があり、スタッフをスポイルしたり、無理を押しての出荷は農園にも過大な負担がかかる。

お客様には少しお待ちいただいても、申し込み頂いた全員の方に野菜及び加工品をお送りすることにしている。
但、ここで少し言わせていただくと、興味本位の方も少なからずおられ、継続される方は10%未満となる。真にむかし野菜を必要とされておられる方が残ると思われる
その方々が私たちの「新たな仲間」ということになる。

農園主はこう考えている。

消費者の方が想像もできないほどの手間と労力をかけて、安全で栄養価に富んだ美味しい野菜を生産し続けることは、実に大変です。
それでも「美味しい」と言っていただける新たな仲間が増えていくことは私たちにとって無上の喜びです。
「その方々が作れない野菜を代わって生産している」と考えれば、それは一つの社会的なグループとなるのではないでしょうか。

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黒ピーマンなどの畝
(4番の圃場)
5番の圃場には、この数倍の畝が広がっている。多くはトマトの他に
ピーマン系野菜。

これらは若いスタッフ達の担当であり、分業的な役割ができている。



但、お客様が急増し、圃場が広がり、分業は良いとして、茄子の剪定作業などのまだまだ教えねばならない作業技術をいかに伝えるかが課題となってきた。


社会的存在価値―PARTⅧ―消費者とのコミュニケーション
 
§3.むかし野菜の意味
 私も最初から食べ物の安全性や栄養価などに、そんなに関心が高かったわけではありません。唯、漠然と不健康にしていく農産物や加工品が出回っているな!厚生省などの安全管理の在り方や規制の方向性に疑問を抱いていた程度のものでした。
有機農産物でも、畜糞をやれば有機野菜になる位な実にあいまいなものでした。
有機農産物およびその加工品の商品化(商品ライン化)によって、小さな圃場しか無い地域農業の活性化が果たされ、少なくとも地域の疲弊に歯止めがかかれば良い、と考えて始めた有機農業であったが、露地栽培・自然循環農業、そして自然と農業の奥深さを知れば知るほど、さらには、老齢化した地域の頑なさに接すれば接するほど、その前途の難しさに思い知らされました。
 
 方向を変えて、今では、農業を知らない若者たちを中心とした新たな邑作りを始めております。そこに社会の経験を積んだ、あるいは、今後の途を探している熟年者達も加わり、一つの共同体ができ、それが全国に広がり、繋がっていけば、と考えるようになった。
但、この途は遥かに遠い。何世代も繋いでいかねば果たされないことになる。
 
その暗中模索の中で、一つの道標が見え始めている。
 
 むかし野菜が商品ラインの開発を行う際に、人間が営々と築いてきた、生きていくために「食べる」という営みに、古きを紐解いていくことによって、健康に生きるというテーマがある。現在人が忘れかけているその食文化の継承が必要ではないかということです。
 
 農産・畜産・養殖と今あらゆる食の分野で、化学物質の問題が浮き出ている。
農業では、化学肥料・農薬・ホルモン剤などが、畜産・養殖では、餌となる配合飼料が、問題となり、加工品などでは、食品添加物が問題となっている。
いずれも大量流通および大量消費の時代、これは致し方ないとの国の説明であり、多くの人もそう思っている。果たしてそうなのかは、やや疑念が持たれるところである。
いずれにしても、これほど、アレルギー・アトピー・癌などの現在病が取りざたされた時代はかってない。化学物質による複合汚染なのかもしれない。
 草木を集め、堆肥を作り、土を作り、先人の農業を探っている中で、むかしの野菜の美味しさを感じ、さらには、麦・大豆・とうもろこしなどの穀類を作り、その味香りの豊かさを感じた。
草木堆肥で育てた土壌で、野菜・穀類を生産し、その農産物だけを使って漬物・味噌・粉などの加工品を作ってみた。
 先人たちの知恵である乳酸発酵の漬物や味噌は、あくまでも手作りで、素材を活かすため、昆布や鰹節などのグルタミンも加えず素材だけで漬け込んだ。
日本人が古来から培った保存食であり、「旨味」が一杯詰まっていた。
これら、漬物・味噌・粉などの美味しさをみんなに知ってもらい、完全な無添加食品を食べてもらいたい。
そう考えている。これがむかし野菜の基本的な商品作りの考え方(道標)となっている。
勿論、何もかもむかしのままが良いと言っている訳ではない。現在の食文化に合わせて改良を加えながらの商品開発を行っている。(減塩の工夫など)
 
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今回の一連の番組作成において、当農園のスタッフ達とKBCテレビ局のスタッフ達との共同作業が長く続いた。
暑い盛りの取材であり、麦茶を飲みながら、お昼ご飯を食べながら、ある種の連帯感が生まれたような気がします。局の皆様のご努力に感謝を捧げます
また、新たに当グループと一緒に歩ゆむことになるかもしれない仲間ができたことにも合わせて感謝申し上げます。

食の安全が大きな課題となっているのにも拘わらず、保存料などの食品添加物に慣らされた現在人の食に対する安易さや知識不足がある。
消費者との対話の中で、自然の中で育った野菜への思いやりの無さ・安易さ・手間を惜しむこと・無添加食品に対する無知・頑張っている農業者への無寛容さ・自然の大切さ軽視・食の安全に対する対価を考えないなどなど、時には、心が折れそうになりながらも、一生懸命にコミュニケーションを図ろうとしております。
 
「むかし野菜の邑」のコミュニケーション能力や市場啓発能力が問われているわけです。同時に不屈の反骨心もです。
 
これから、若い者たちの活力を中心として、社会を経験してきた知恵を加えて、先人たちの積み重ねた叡智を道標として、野菜、穀類、加工品の商品開発を進めていくことになる。
その中核基地として、情報発信基地として、むかし野菜の邑があり続ければよい。
そこには、同じ価値観と志を共有する様々なジャンルの人達が集まってくれることを願っており、あちこちの地域にむかし野菜の邑が出現してくれるとさらに良い。
 
その夢が一つ一つ形になってくれることを祈って、最終章と致します。
ご愛読いただきありがとうございました。