農園日誌ー

29.7.19(水曜日)晴れ、最高温度34度、最低温度24度

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            草木堆肥による自然農の穀類生産風景

 梅雨がようやく明けて、畑を耕し、二日がかりで大豆の種を蒔く。
この庄内の圃場はむかし野菜の邑の一員である田北さんとの共同作業の圃場。
佐藤自然農園のメンバーが堆肥を撒き、焼き灰や牡蠣殻を振り、小麦収穫以降、
不耕起のままにしていた。雑草がほど良く生い茂り、3~4回起こし、緑肥+草木堆肥+焼き灰ということになる。
通常の農法では、除草剤を撒き、草を枯らしてから、化学肥料を施肥し、種を蒔く。

自然農では、畝間を十分に取り、草が蔓延る前に、畝下を管理機で除草を行う。
ほとんど全ての穀類生産がこの方法で行う。手間はかかる。
それでも自然農の穀類は中々に手に入りにくいし、もし販売しているとすれば、やたらと値が高い。
これでは、通常の消費者はそうそうに買えない。
そのためもあって、4年越しで穀類生産を始めた。
この大豆の大部分は味噌の仕込みに使う。

一昨年、試しにうちのお客様(定期購入の仲間たち)に大豆そのものを出してみた。
予想通りというか、「うちは大豆は食べない」の反応が多かった。
その実、「食べないではなく、食べたことがない、もしくは煮方を知らない」だけなのであるが、その後、一斉に豆の煮方を皆様へご連絡すると、嫌々、煮込んだ方もおられたが、その反響はやはり大きかった。

「煮豆って美味しいのですね」「子供がみんな食べてしまった。もっと無いですか」
「だからお出ししたのです!もう無いです」

去年が大旱魃と鳩の被害で大豆は全滅したため、一年越しの再チャレンジとなる。
今年は一昨年の二倍の量を蒔こうとしている。
当グループは田北さんが美味しい庄内産のもち米を作っており、これも数年前から、
秋冬にお餅を数回出しており、それにこの大豆粉(一般的には黄な粉と言う)を出してみた。
この反響がまた大きかった。特に味に敏感に反応するまだ味覚が汚されていない
子供さんからの支持が多かった。
今年は何とかその大豆粉(農園で焙煎し、粉に引く)をたくさんそんな子供さんに届けたいと思っている。(勿論、味の分かる大人の方にも・・・)

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梅雨が明けると、夏草が生い茂り、夏野菜は太らないのにもかかわらず、何故、
雑草ばかりが、との思いはさておき、とにかく除草作業と土寄せ作業を並行して
行っている。
梅雨に大量の雨で流れ落ちた土が、畝下に溜まっており、そこに雑草が生い茂る。
土の密度が高く、酸素が夏野菜の根にいかないため、多くの夏野菜は仮死状態と
なっており、成長が止まる。
除草しながらの土寄せ(土を畝上に上げる作業)および草木堆肥の追肥を同時に行うことが梅雨明けのもっとも大事な作業となる。
収穫の合間だけでは足らず、炎天下でも除草作業と鍬打ち作業が続いている。
右の写真は、人参の種を蒔き、織布を掛けているところ。水分の蒸発を防ぐためではあるが、発芽したら外さねば、幼苗が焼き切れてしまう。


KBC朝日放送にて本日も放映されたようだ。ここ大分では「あさです!」の放映なしでしたが。
三回の放映により、1,200人以上の方からの問い合わせがあり、申し込まれた
800名の方へのお試しセットをようやく送り終えた。
ご継続(定期購入)へ進んだ方はさらに減り、約200余名となった。
ご継続の方は多いほうだとは思う。
当グループでは、野菜不足でやきもきとし、出荷作業に追われ、農作業に遅れが出ている。疲労も折からの暑さでピークに達している。

そんな中で農園主は思うのだが、

定期購入へと進まなかった方は、様々な理由があったのでしょうが、おそらく一番多い理由は、テレビで見た印象と実際に手に取ってみた野菜が違っていたことだろう。
頭の中では、露地栽培・自然農の野菜のすばらしさがあり、手に取った野菜は、
傷があり、不揃いであり、食べてみてもよく分からないなどで、急に冷めていったことでしょう。
反面、荷が到着した途端に、「きれい!」とメールをいただく方もおられる。
ある方は、うちの母が、炊き込みご飯(牛蒡の香り)の香りにふらふらと誘われ、
食卓についた、とか、普段野菜を食べない子供たちがお代わりをするなどの反応もあった。
誠に極端に異なっている。

普段、食に対してさほどの関心を払ってこられたことのない消費者は、その味香りや価値の違いを見極めることが難しいようだ。
また、食を大切に思い、料理をしているご家庭との違いも鮮明に表れている。
この仕事をしていて楽しみなことは、そのような価値観を共有できる方々との新たな出会いであり、子供さん方の反応です。

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連日の除草作業により、びっしりと雑草に覆われていた圃場の地表面が表れてきている。と同時に、5月の乾季により、枯れ落ちていった夏野菜(これは茄子)の跡が痛々しく表れてきてもいる。
梅雨が明けるとさらなる乾季のの季節がやってくる。しかも灼熱の太陽が照り付ける地表面は40度以上となる。
除草した草は土を払い、株元においてやる。草マルチである。
竹の支柱立て作業が終わると、畝上げ作業が待っている。生き残った野菜たちよ、頑張れ!と声をかけて回る。

露地栽培では、茄子・ピーマンなどの夏野菜の最盛期は9月の終わりから10月にかけてである。それもこの気候変動がもたらした大きな変化である。
その間、農園ではいかにあの手この手で野菜を繋いでいけるかが勝負となる。