社会的存在価値-PARTⅦー自然循環農法の実践

29.7.12(水曜日)曇り、後晴れ、最高温度34度、最低温度25度


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KBCTVのスタッフ達、撮影後、ダイゴさんの焼いてきたパンと野菜の加工品を抓む
この前に、スタッフとレポーターは試食済。8.5.土曜日、緑と水の祭典のバザール
用の商品の試食会の風景。
出品商品の詳細は次回にご紹介します。

今回のテーマ(九州朝日放送主催)は、「伝えたいもの、残すもの」ということで、
むかし野菜グループのテーマと重なるということで、またしても当農園に白羽の矢が立った。今回は麦などの穀類がテーマとなる。
熊本の南阿蘇で人気店であった「ダイゴ」のパン屋さんとのコラボを企画している。
復興支援の一環だとのこと。
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当農園の草木堆肥施肥による麦を天然酵母の醗酵のベースにして、焼き上げたもの。ダイゴさん曰く、麦の力が強く、味香りが引き立っているとのこと。
確かにうまかったし、香しい麦の香りが漂う。
次回は、日本原産の古代小麦(一粒小麦)を粉にして持ち帰り、試作してみるとのことで、他にも数種類の麦を持ち帰った。楽しみである。

今春は小麦・大麦・古代小麦であるが、草木堆肥のみ施肥した自然農での生産であり、どんな味になるのか?どのような粉になるのか?どのように使えるのか?
子供さんのおやつにできたら?アレルギーに悩む人達にとってはどうなのか?
などなどを意図しながらの栽培であった。

結果は農園主の予想をはるかに超えた味と香りであった。
考えてみれば、この麦は世界中でここにしか無く、 草木堆肥しかなかったむかしの人達は、こんなにも味わい豊かなおいしい穀類を食べていたんだと改めて気づく。
むかしはアトピーもアレルギーも無かった・・・

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整理中                       整理後

梅雨の間に成長途上の夏野菜達は雑草に覆われ、支柱で支えねば倒れてしまう。
梅雨明けと同時に除草作業と並行して、仮支柱を立ててやる。
現在はこの作業が続いており、本支柱をする前に、草木堆肥の追肥と同時に、
畝上げを行う。梅雨の間に畝下は埋まり、過剰に吸い込んだ水分により、根が酸欠状態となっている。根は呼吸困難になり、茶色く変色した根から白い鬚根がはびこるようにしてやらないと、仮死状態となっている。
この作業を終えると、夏野菜は復活し、8月の暑い日差しを受けて成長していく。
やっぱり夏野菜は、夏の気候が好きなんですね。

今年は5月から6月の中旬にかけて、乾期となり、例年の夏野菜と異なり、著しく成長が遅れているようだ。5月に幼苗が成長できないまま、過剰な雨を伴う梅雨に入ってしまったせいだろう。この最近の気候の変動と野菜の状態を見ていかないと、露地栽培は難しい。気候の変動はますます進んでいるように思える。

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蔓紫                         青紫蘇

他方では元気な夏野菜もいる。この異常に多い雨にもめげず、すくすくと育っている。植えた時季にもよるのかもしれない。誠に露地栽培はわからないことだらけ。
まだ勉強が足らないし、知恵も乏しい。
来週からは小松菜・サラダセットなどの春野菜に替わって、夏の葉物野菜の出荷が始まる。これらの他に、ニラ・空心菜・モロヘイヤなどがある。
梅雨を境にして、春野菜から夏野菜へと一気に変わる。と同時にミニ端境期がやってくる。
これも季節野菜の移り変わりの狭間に来る端境期というものです。


社会的存在価値―PARTⅦ―自然循環農法の実践        
 
§8根菜類・根もの
 当農園では、一つの決まりがある。
新規に耕し始めた畑は当初の二年間はほとんど野菜の収穫が無い。できたとしても、むかし野菜の冠は乗せられないものが多い。
草木堆肥を二年間以上施肥し続けなければ、筋はあるし、葉肉は薄く、成長不足で、味香りははっきりとしてこない。
これは、当初は土作りを優先し、草木堆肥の施肥しかしないため、野菜の成長に必要な窒素分の供給が少ないためである。
で、どうするかというと、先ずは葉物野菜を植えてみる。
そこで食してみてどこまで土が育っているかのテストを行う。
二年を経過すると(少なくとも6回は草木堆肥を施肥している)表面の5~6センチに団粒化の兆しがみられるようになる。
今まで成長不足で味香りの薄かった葉物野菜に勢いが出てきて、赤ラベル級のむかし野菜が育ち始める。2年を経過すると、先ずは大根の種を蒔いてみる。ここで初めて根菜類がこの畑に登場してくる。この大根は主には漬物用に回される。
不思議なもので、今まで化学肥料による栽培をされていた圃場では土の団粒化が遅く、自然状態の草むらであった圃場は立ち上がり(団粒化)が早い。(雑草の種が一杯落ちており、除草作業はかなり面倒ではあるが)
 
3年目を迎えると、蕪類を育て始める。この蕪で土の出来具合が試されて、この畑は正式にむかし野菜の冠が乗せられることになる。
そこで、玉葱・じゃがいも・里芋などの根もの野菜が本格的に栽培されることになる。
 
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           テーブルの上は試作中のパンと野菜の加工品
ピクルス・ビーツの水煮・紫蘇ペーストなどを考えている。麦は、レポーターの方が唸った麦茶や麦ご飯セット、小麦の全粒粉や大豆粉などを提案していきたい。
勿論、使い方などのレシピ付きです。

人参については、草木堆肥歴10年以上でないと、種を蒔かない。人参は誠に味香りが分かりやすい野菜であり、繊細です。去年4番の圃場がようやく人参の生産ができ始めた。
 
このように当農園では、根菜類が畑の出来具合を図る一つの指標となっている。
畑の成長(団粒化)は一年間で約3センチの深さで進むため、10年を経過すると、およそ30センチの深さで土は砂状の団粒化が進む。こうなると、この圃場はオールマイティで金ラベル級以上(プラチナ級かな)のおいしさが出てくる。
 
これは、この当農園の美味しさ(=栄養価)の指標の作り方であり、消費者の方から見れば、ブランド化の基準です。お客様にお出しする以上は美味しさにバラツキが出ては、信用は築けない。
今、出荷している牛蒡などがその代表的な姿ですが、低窒素土壌では鬚根も含めて、とにかく先端は枝分かれが多いのも根菜の特徴です。当農園では二股三股は当たり前の姿です。
化学肥料や畜糞肥料では、土壌中は常に高窒素状態ですから、根は栄養(窒素)を求めて土中に根を張り巡らせなくとも、十分に窒素分は吸収できる。当然に真っすぐに成長する。
但し、土は当然に団粒化は進まず、固く締まっているために、大根などは土中に沈み込んだ部分は少なく、せいぜい10センチ程度位しか土の中には入っていない。
地表部ににょきっと突き出ている大根を見られたことはないでしょうか?
その露出した部位は筋張っており、私は茎と言っております。
 
一方、土ができている土壌では地表部には5センチ程度しか出ていない。地中にある大根は肉質も柔らかく、筋張らずジューシーです。
これもあって、草木堆肥しか使わない当農園では、根菜類は基本的には5年以上の草木堆肥歴を求めているのです。
 
 ここ九州では、5月下旬頃から10月初旬頃まで土中には線虫が繁殖してきます。
大根・蕪類などは、表面に線虫痕と言って、茶色に変色した(実際には線虫がディープキッスした痕)ものが増えてきます。ひどくなると当農園も出荷を止めます。
これを防止するには二つの方法があります。
一つはキク科の植物を根菜の種を蒔く前に、育てておきます。線虫などは菊の匂いを嫌うため、防止効果があります。但し、そのためには圃場を少なくとも数か月開けねばなりませんので現実的ではありません。
もう一つは、浸透性農薬を使って土中消毒をすることです。
もし、皆様方も、この時期にきれいな大根や蕪類を見かけることがあったら、この二つの方法のいずれかを使っていると思ってください。浸透性農薬でないことを祈ります。
ちなみに、当農園では、お客様にその理由をご納得頂いており、納得できない方は、お止めになります。
それくらいはっきりとしていないと、このブランドは成り立たないことになります。
つまりは、お客様(=仲間)にも覚悟が要るのですね。
 
※浸透性農薬
農薬の成分が野菜に吸収され、それを食した虫は、命を絶たれる、というものです。
その農薬の成分を野菜が吸い込んでおり、それをまた人が食する。直ちに大きな被害は出ないのですが、長年食べ続けるとその薬効はボディボローのように体に効いてくる。
それは無いとのことですが、皆様は如何思われますか?
ちなみに、低農薬として国が奨励しております。