在来品種、
甲州とうもろこし・白餅とうもろこしの4回目の挑戦
むかし野菜及び佐藤自然農園として穀類へのチャレンジが今年で4年目を迎えている。
大豆系はすでに10年来作り続けてきたため、ほぼハウツウは理解した。
その難しさも分かり、大きく失敗することは無くなった。去年以外は・・・・
小麦も三年目を迎え、こちらは、元来が大きく失敗しないものであるが、収量の予測を付けられるまでには、分かっていない。年によってバラツキが出る。
大麦は今年初挑戦であったが、小麦よりは作りやすい感がある。
ところが、とうもろこしについては、自然農(草木堆肥使用)ではだめなのか、芯食い虫により、多くが倒されてしまう。
今の処は、「
甲州」については、今までの中では一番の出来。それでもかなり芯食い虫の被害は出ている。
「白餅」が難しい。やはり東北地方でしか育たないのかもしれない。写真の手前に、本来はできている筈だったが・・・空間ばかりが目に付く。
粟黍類は雀の被害を防止しさえすれば生産はできる。
日本での生産が激減している米以外の穀類は、全て試してみるつもりではある。
そこに食(糧)の原点があるからです。
味香りについては、農園主の予想をはるかに上回る美味しさが出ており、草木堆肥しかなかったむかし、穀類はかなり美味しかったはずであるということが実証できたことには満足している。
さんとのコラボを楽しんでいる。
今日、当農園の小麦を種にした
酵母を作りパンを焼いてきていただいた。
皆で農園の野菜と合わせて試食した。
さらに三通りの粉を持ち帰り、試作は続く。詳しくは7.12「あさです!」をどうぞ。
世界でもここしか生産していない草木堆肥による穀類やその粉で、どのような味香りの世界(美味しさ)が広がってくるか、楽しみ。
これ以上書くと、島田さんに怒られる。
社会的存在価値―PARTⅦ―自然循環農法の実践
子供のころ食べた鼻から抜ける甘い香りと酸味と旨みがやってくるトマト、カリッと歯ごたえがあり、瓜の香りがする胡瓜の味が、私の中では美味しさの原点でした。
米糠・油粕などのぼかし肥料では、甘味は増すのですが、味香が飛んで行ってしまうし、畜糞を使うと、化学肥料と同じくらい大きく育ち、味香の薄い大味なものができてしまう。
その答えは、一切の肥料を排し、草木堆肥一本に絞った土作りでした。
又、トマトは雨に弱い。雨に当たると熟しかかったトマトはみなひび割れを起こしてしまう。当初はハウス栽培も試してみたが、同じ草木堆肥しか使っていないのにもかかわらず、あの味にならない。ハウストマトは、農園スタッフからは見向きもされなかった。
同じことは胡瓜でも言える。
日本の高温多湿な夏の露地栽培では、如何に割れを少なくするか?腐れを抑えるのにも腐心した。
要は、天気によって収穫時期を調整することであった。
雨が降ると分かれば、多少色づく段階でも収穫し、晴天が続けば、5分かた、色付けば、収穫する。放射冷却により朝露がびっしりと降りる時も割れやすい。温度の、あるいは、日差しの程度によって収穫時期を変えていく。
この判断は経験と勘の世界であり、流石、露地栽培はこの上なく難しい。
最初は90%以上が割れていることもあったが、今では、割れは20%以下に抑えることができるようになった。
又、真夏の高温による日焼け防止や腐れや虫害を減らし、安定的に露地トマトを収穫するためには、一つの株から3~4本の枝を伸ばし、3~4mにも伸びる枝が重ならないように、支柱を添えて、太陽に向けて斜め40~50度に傾けてやる。
脇芽や重なり合った葉は収穫作業の際に落とし、どの枝も常に日差しを均等に受けて、蒸れや害虫が発生することを抑えてやる。
この気の遠くなる作業が炎天下の中で、毎日続くことになる。
品種と言うか、種子選びも重要である。
以前よりは少なくなったが、トマトに桃太郎という品種がある。酸味が無く、甘いトマトと言う触れ込みで一時代を築いた。いまでもマーケットの
80%ほどがこの品種。
種子メーカーが酸っぱくなく甘いトマトを作ろうとしたのは、子供が酸味があると食べないと言う理由からであり、スーパー(流通)などからの要望であったようだ。
そのため、実に大味な美味しくないトマトがマーケットに溢れた。
さらには、甘さだけを追求した塩トマト(塩分ストレスをかけた水耕栽培)が開発された。
甘さだけを追求するトマト作りはどうやら日本だけらしい。
トマトは旨み成分に溢れており、欧州では調理用に主には使われている。その旨み成分には酸味が必要になる。
当農園では生食用にはフルーツトマト、調理兼用にむかしながらの瑞栄トマトしか作っていない。農園では、割れたトマトをその日に火にかけてトマトソースを作っている。
お客様からは一体どうしたらこんなに美味しいトマトソースができるのですか?とよく聞かれる。
「いえいえ!単に煮込んだだけです」と答えるのが常である。
今、旬なのが、茄子科のズッキーニである。
通常、味が無いものの代名詞であるが、草木堆肥の効果というか、塩だけで焼き野菜にしても、ほのかに瓜のような甘味があり、美味しい。
茄子は焼く・炒める・煮る・蒸すなどどのようにでも調理ができる。
様々な種子があるが、当農園では昔ながらの黒陽と言う品種を永年育てている。
これは見栄え・作り易さ・均一などよりも原生種の性格を色濃く持ち、何よりもジューシーで美味しいのです。
ピーマンも多収品種ではなく、肉厚・味の濃い品種(京波)を育てている。
こんな逸話がある。横浜のお客様だったと思うが、幼稚園での会話。
「うちの子はピーマンが大好きで、冷蔵庫に置いているといつの間にか無くなっている」と話していると、横から一人のお母様がうちの子もそうなんです、と応じた。
他のお母様達は、そんなバカな!と、相手にしなかったそうだ。
腹が立ったので、もう一人のお母様と話してみると、偶々、二人ともうちのお客様であったとのこと。
子供は美味しいものは知っているんですね。先入観の無い子供の舌はごまかせない。
夏は何故、果菜類が多いのか、と言うと、このところの日本の夏は平気で35度を超えるため(地表は40度を超える)、水分蒸発を防がねば野菜は生きてはいけない。
表皮に厚い皮を被った果菜類しか生きられないからです。
問題なのは、厚い皮を被ると、その食感が悪くなり、紙を噛んでいるような味気無さです。そのため、夏場の果菜類は肉厚でなければ、美味しく感じません。
果菜類は、成りものであり、次々と実をなすためには、草木堆肥などの低窒素栽培では難しいものもある。
そのため、当農園では先肥(実際は堆肥ですが)を施すが、その効果も3カ月までであり、
茄子やピーマンなどは、成り始めてから木が終わるまで、5カ月間あり、一番果ができた後に、堆肥を追肥として中耕の際、畝間に施す。
この中耕作業(雨で埋もれた畝下の土を掘り上げる)は、除草と根に酸素を与えるために行う。梅雨の終わりころの欠かせない重要な作業となる。
露地栽培の場合、夏野菜の最盛期は、8~10月の初旬まで続く。
あるお客様から、こんな質問が寄せられた。「夏野菜は6月下旬頃から10月下旬頃まで送られてきますが、旬(美味しい時季)は何時なのでしょうか?」
このようにお答えした。
主に夏野菜には、4つの旬があります。
「走り旬」;出始めの頃です。木がまだ成長途上であるため、伸び盛りで青臭い味がします。
「中旬」;成長期に入った時期ですので、次から次へと実を付けており、ようやく美味しさが出るころです。
「終わり旬」;木が老成期に入っており、成長が遅く、傷も多くいびつな形になり易い。
野菜の美味しさから言って最も味が乗ってきている。
「落ち野菜」;寒暖の差が強くなり、成長はほぼ止まりかかっており、実は小さく、下膨れ 状態になる。木が最後の力を振り絞って栄養価を送り込むため、味は濃く美味しさから言えば、「嫁に食わすな」の格言がある。
火の通し加減もその旬により変わり、遅くなれば火を強め・長めにする。
露地栽培・自然循環農法ではあるが、果菜類の楽しみ方がこのように野菜の時季によって変わってくることはあまり知られていない。
現在人は、先人たちの知恵には遠く及ばない。