農園日誌ー48の瞳輝く!

28.11.8(火曜日)曇り後小雨、最高温度18度、最低温度10度

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                  夏野菜が消えた3番の畑

 今年は秋野菜が壊滅してしまったため、夏野菜からいきなり冬野菜へとチェンジ。
しばらくすると、白いトンネルの畑へ変わっていく。冬への衣替えである。

とは言っても、農園の再開には秋野菜は不可欠。
別の圃場では、葉物野菜や蕪・大根系の野菜が育って入る。
ここは特別に虫害がひどく、多くの秋野菜がアブラナ科であるため、3番の畑は、
冬野菜や来春の野菜へとシフトしたもの。
そのためか、ここは冬の静寂が支配している。3番のこんな風景は初めて。

この突然のチェンジは、気候変動によるものであり、未来への農園主にはこの臨機応変の対応が望まれる。農業は固定観念を持っていては、昨今の毎年変動する自然の試練には、ついてはいけない。一人前の農園主になるために・・・

(48の瞳輝く!ーPARTⅡ)

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おそらくは、木の蒸籠による蒸し野菜は初めての体験なのだろう。
ここらあたりから、子供たちに変化が見え始める。

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顔が束縛から解放された自然の笑みが漏れ始めた。
本来の子供たちの純真な顔・顔・顔へと・・

相変わらず野菜は食べない子もいれば、生のピーマンが欲しいと言い出す子もいる。

それでも、野菜たっぷりの蒸し万頭にみんな
かぶりつく。

皮は地粉といって、国産の小麦(中力粉)、市販の万頭とは全く異なるもちもちとした
その食感に全員平らげる。
豚汁は、全て自然農の米・大豆で農園が製造した無添加醗酵味噌の美味しさに、
残す子は一人も居なかった。野菜を食べない子も何とか食べたようだ。

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お腹一杯食べた後は、草木堆肥作り。
草を両手いっぱいに運んで、均等に敷き詰める。なんだか楽しくなってきたようだ。
予想以上にみんなよく働く。しかも上手に広げてくれた。

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この後、放牧している
牛の糞(匂いがない)
を敷き詰め、さらに
その上に、葉っぱや破砕木屑を重ね、
ラクターで混ぜ込む。

嫌がらず、靴の底で
広げてくれた。
無心に作業(遊ぶ)
をする子供たちの
心が解放されていく。



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乗るか?と聞くと、乗る乗る!と・・
タイヤショベルに4人の子供たちが期待に溢れた顔で、やや緊張してしがみついている。急加速で牛糞や木屑の山に突っ込む度に歓声を上げる。

親が見ればなんて危険なことを!と目を剥くかもしれないが、こちらは、乗っている
4人の子供達から目が離せない。(5人の母親も同行)
子供達は今、貴重な体験をしている。そしてほんの少しばかりの冒険も味わう。

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最後はトラクターに乗って、
三層に積み上げた草・葉・牛糞を
攪拌していく。
窮屈そうに乗っている子供達には
やや感動が少なかったようだ。
何しろ、実にゆっくりと進むため、
最初のショベルとは格段に
冒険心をくすぐらなかったようだ。


順番待ちの子供達には、堆肥場に山のように積み上げられた草の山に、登らせた。

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ここで子供達の心は完全に開放!
昭和の時代によく見られた好奇心に溢れた子供本来の真ん丸な目に!
48の瞳が輝き始めた。
同伴の親御さんの顔もついでにほころび始める。

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最後は、育苗ハウス
にて、農園主と子供達の意見交換の場?

質問コーナーで最後を締めくくった。

子供らしい質問や
大人顔負けの問いかけなども・・

但し、テンションは下がり始める・・


これは小学校の課外授業なのだと実感し、現実の世界に戻される。
先生には農園の説明やセミナーなどは止めた方が良い!とは申し上げたのだが・・

スタッフ一同、子供達のために、木の椅子やテーブルを作ったり、英国の古レンガで
竈を作ったり、農園のお母さんたちは、何種類もの料理を前日から作ったり、
これもみな、子供達の笑顔を見たいがために・・・
子供達は日本の未来へ向けた宝物である、と言うのが農園の考え方。

このたった一日の農園体感で何かを体で感じて欲しい。野菜の大切さでも良い、農業の楽しさでもよい、自然の大切さでもよい、無心に体を動かすうちに、子供達の心が束縛から解放されていく。

この日は、現在の教育現場の課題が浮き彫りになった一日であった。
誰かがこう言った。学校は、グライダーと一緒と・・

小さな箱の中に詰め込まれて、同じ方向へと流される。そこでは同じ考え方や同一の思考が求められ、自由な世界へと向かうのではなく、当然に操縦桿は無い。
規律が第一であり、型に嵌められ、大量の金太郎飴を作り出そうとしている。

引率者(当農園へ直接依頼してこられた)のH先生もそんな教育に疑問を抱いていたのだろう。かなり思い切った農園体験を思いつかれ、懸命に周囲を説得して子供達のために、貴重な農園体験を行うことができた。
それでも、元来が生真面目な方なのだろう。現在の教育現場にどっぷりと浸かり、
規律・規範の中で生きざるを得ない。そんな葛藤が垣間見えたりもする。

同行されたお母様達も含めて、ここでの子供達の変化に、何かを感じて頂ければ
幸いです。
子供は自分の所有物ではない。天からの預かりものであり、自由な子供の発想を、成長を、助けてやってほしい。社会に旅立つ日まで・・

後日談です。

子供達の安全面などかと思いますが、危惧されていた校長先生も父兄の大きな反響に、こんな体験も子供達には大切なのだな!と述べられたそうだ。

いつもは無口で野菜嫌いな子が家に帰った途端に、機関銃のようにその日の体験を母親に喋り通したとの一報が寄せられた。