農園日誌ー今年二度目の梅雨入り?(秋雨前線)

28.9.14(水曜日)雨後曇り、最高温度28度、最低温度21度

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                   第一陣のセロリの定植

 セロリは、晩秋の代表的な味覚であり、香味野菜として煮込み料理には欠かせない。この二番の畑は草木堆肥歴15年以上であり、セロリは嫌な癖がなく、香は強く
歯切れが良い。セロリ嫌いの方が一転大好きにしてみせるだけの絶妙な美味しさを持っている。

 ようやく灼熱地獄の雨がまったく降らない長い長い乾季が終わったと思ったら、今度はまるで梅雨のような雨、また、雨の毎日となる。
農園はこれで二重苦を味わうことになる。
乾季の影響で秋野菜の発育が遅れ、筍芋・里芋・枝豆・一本葱・人参などが成長不良となり、畑を占拠したままになる。例年であれば、すでに一部は出荷が始まっているのだが・・
となると、畑が空かない。秋野菜の種蒔きや植え込みが出来ない状態が続く。
加えて、乾季でやられた夏野菜を惜しみ惜しみ撤去して秋野菜を植えようと思っても、長雨の影響で、畑作りが進まない。

 夏野菜から秋野菜への転換が進まないと、中秋には、野菜がまるで無いということになる。
8月の終わりころから、秋野菜の種蒔きが始まり、続いて冬野菜へと繋がる。
8月から11月までに約40種類以上の種蒔き(定植も)を暫時行う。それもおよそ6段階に及び。(二週間間隔で同じ種類の野菜の植え込みとなる)

 3年以上、野菜によっては5年以上の草木堆肥による土作りを行っている圃場は
急には増えない。この時季、秋野菜の占拠合戦が毎年繰り返される。
お客様は我がままであり、飽きっぽいもので、いつも同じ野菜と言うわけには行かない。それもこちらが消費者になればやはり同じく、我がままになるのでよくわかる。
あれを今度は食べてもらいたい、とか、これとあれの組み合わせが良いかな!とか、
15年以上も消費者と向かい合っていれば、お客様の楽しむ姿を想像して、工夫し、努力もする。
「消費者に楽しんでもらいたい」は、消費者直販を永遠のテーマとする農園の思いでもある。

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草木堆肥を10数メートル作り、ほっとしていたら、水分不足のため、
醗酵が途中で止まっていた。
余程、乾燥していたようだ。
雨を待ち、水分を補給し、ようやく、醗酵を始めた。
これから、二週間に一回は木屑破砕と堆肥作りを行わねば・・


 先日、市内のとある小学校の先生からメールが入る。
「子供達に、直接農業現場を見せたい」とのこと。学校教育の一環で、野菜育てが(おそらくは食育)テーマとなっているらしい。
「当農園は隠れテーマに食育があります。子供は日本の将来の宝物です。当グループが農園の近くにレストハウスや加工及び調理体験施設を建設しているのは、加工場の他に、消費者や子供さんやお母さん達が農業を直接体感してもらいたいからです。施設が完成したら、無料で開放するつもりです」とお答えした。

 この先生も苦労するだろうな!と思っていたら、やっぱりと言うか、同じ教員や校長先生より多くの注文やクレームが入っているらしい。
つまりは、全てが事勿れ主義や責任を負いたくないなどの公務員独特の感覚が蔓延しているようだ。
以前にも、大分県の振興局に農業学校の生徒さん研修生として受け入れたいのだが、とお願いしていたら、ようやく、さる農業高校の校長やら視察団がお見えになられた。これからの農業のこと、地域のこと、将来ある子供さんのこと、などを熱く語り始めたが、途中で語る気力を失いつつある自分に気が付いた。

その校長先生や多くの教員も、その目が無関心そのもののまるでやる気を感じず、
早く終わりたいとの気持ちしか伝わってこなかったからです。
どうやら義務的にここに来ているようだ。

最後にその校長先生に如何ですか?本当に農業をやりたいと思っている生徒さんを
一度でも農園に来させていただけませんかと問いかけたが、その答えがこれです。

「県の農業大学に今年は何人送り込めるか」と言うことでした。
つまりは、自己の成果しか頭には無く、子供の将来のことなど、念頭には無いご様子
でした。

先の小学校の先生に、このように伝えた。
「私たちがこのようなハードな内容の農業を行っているのは、自分の利益のことしか考えているからではありません。地域活性化のこと、農業の将来のこと、地域の自然を維持していくこと、そして、何よりも我々は農業そのものが生きることであり、自分たちのライフワークだと考えているからです」
「そのことをより多くの人達に伝えたいし、子供さんは日本の将来を担う宝物でもあり
そのお母さんにももっとこのような自然循環の農業を理解してもらいたいとねがっております」
「先生も子供さんのことを真っ先に考えていらっしゃるから、農場見学を申し込んでこられたのでしょう。意は貴方と同じです。全面的に協力致しますよ。当日は子供さんにとって楽しく思いで深い一日になるように致しましょう」

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葉物野菜などの種蒔きは、竹で筋を引き、
溝に均等に種が落ちるように蒔く。
そのためには、腰の位置くらいの高さから回すように種を蒔く。

基本は教えたのだが、三者三様の撒き方があるのが面白い。
ちなみに一畝に数種類の野菜の種を蒔く。

これも一畝で約三週間の収穫があり、消費者への直販であるためには、できるだけ多くの種類の野菜を備えておく必要があるからです。
右三列に植え込んだと同じ野菜を、三週間後に、左三列に種を蒔いている。


 日本全体が、公務員化しているように感じている。
国会議員・県会議員・市会議員・公務員・学校の先生、そして大企業の幹部たちまでもが事勿れ主義・前例主義・自己保身に動いている。
日本の人に対する評価そのものが減点主義であり、人の成功を妬む・嫉む性癖が蔓延しているようだ。
そこでは同じように心が狭く、己の世界も狭い。
当農園にはそのような人種が棲む世界は無い。
先の小学校の先生も我々と同じように戦っているのだと感じる。
「頑張ります!」のメールが寄せられた。
じめじめとした気候の中で、溜まった疲れに気が重い時に、一瞬さわやかな風が吹いたように感じた。