農園日誌ー

28.9.7(水曜日)曇り後雨、最高温度33度、最低温度22度

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                    にんにくの種蒔き

 雨を待って約一か月半、先日の台風ではお湿り程度の少雨。
毎日、天気予報とにらめっこ。雨マークが消えており、落胆していたが、突然に夕方頃から、本格的な雨が降り始めた。
嬉しくなってずぶぬれで、ビニールのカバーを外し、堆肥の切り返し作業を行う。
これで、雨が5センチは入ったと思われる。しばらくは、野菜が息を付ける。
来週からは、気圧配置が変わり、気温が下がり、雨が降ることもあるだろうと、ほっとしている。
これで、研修生たちが中心となっての毎日の水遣り作業からしばし、解放される。
野菜達も喜々として、葉を茂らせることだろう。
(今までは自己防衛のため、葉を落とし、花を落とし、枯れるものまで出始めていた)

男性陣が堆肥を撒き、畝立てを行い、そこに女性陣が一斉に種蒔きを行う。
いつもの風景がやってきた。
次女も第三子ができて、しばらくは畑作業から遠ざかっていたが、慣らし慣らしで、
復帰し始めた。
農園もこれで男性陣4名、女性陣5名、時折孫たちが嫌々畑仕事を手伝う?

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茄子の剪定誘引作業

茄子の剪定誘引・収穫作業は意外と難しい
放って置くと枝は暴れ葉は密集し、ブッシュになり、花芽は付かず、
実も成らなくなる。

全員に初めてその作業やら、茄子の性格などを教え、試みに剪定作業を行う。

 この技術や茄子の性質を覚えるには最低三年はかかる。
当農園では、年間百種類以上の野菜(ハーブも)を育てている。
一つ一つ性格の異なる野菜の全ての特性を覚えて、それを農産物としてお客様に
出荷するためには、やはり、5年の経験が必要となる。
まして、自立した専業農家の農園主にまで育つとなると、最低でも10年では足らない。

 このような忍耐と経験が必要な農法(露地栽培・草木堆肥・一農園で百種類以上の野菜生産)で、一人で独立を目指すのであれば、試行錯誤の繰り返しにより、途中で生活もできなくなり、心が折れ、挫折していくことになる。
現在の若者に、その試練は、流石に厳しいと言わざるを得ない。

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二か月に及ぶ乾季に
(雨が一滴も降らない)
水を好む金時生姜が
枯れ始めている。
懸命の水遣りにも拘わらず、すでに半滅している。

農業現場の厳しさが
垣間見える。
隣の人参も発芽はしたものの、やはりセリ科のため、育たないでいる。

むかし野菜の邑グループでは、一人前になるまで、佐藤自然農園で研修と実践を繰り返し、(株)むかし野菜の邑で加工及び共同出荷(販売)を行う。
その間の生活は保障されている。
佐藤自然農園は、彼ら(若者達)にとって、実践農業を学び、共同作業を行う経験を積む場所であり、師匠でもある。
むかし野菜の邑は、生産した野菜の出荷場所であり、彼らの母なる拠り所である。

 ここでは一人農業の暗中模索・五里霧中の孤独さは無く、互いに助け合い、学び合うことができる。それでも、独立した専業農家として、自立を目指している。
そんな仕組み作りを試みているが、おそらくは世界でも例を見ない農業の独立支援のグループとなる。

 それを可能にするには、むかし野菜は、他を圧倒する野菜の美味しさでなければならず、絶対に安心できる野菜でなければならず、体を健康にする栄養価に富んだ野菜でなければならない。

ここでは、ただ単に野菜作りを学ぶだけでは足らない。その野菜作りへの情熱と信念を学ぶ場であると考えており、そこには一切の妥協は無く、ごまかしがあってはならない。
その精神と価値観を、彼ら若者達には、さらに後進の者達に繋いでいく義務がある。

ひ弱であった研修生たちが、たくましくなりつつあり、その成長を待つ農園主も、流石に疲れが溜まる年齢に差し掛かっている。
早く楽をさせてくれないかと感じるのは、この暑さに疲れたせいだろうか?
今日は先に帰るぞ!と言って農園を後にした。後ろから若者たちの屈託のない笑い声が追いかけてくる。