農園日誌ーPARTⅢ-野菜の評価のミスマッチ

28.7.20(水曜日)晴れ、後夕立、最高温度32度、最低温度23度

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                        破砕作業

 梅雨もようやく明けて、夏がやってきた。
草木堆肥も完全に底をつき、先ずは、堆肥原料の準備を行う。
草は幸いにも、出入りの造園会社が大量に持ち込んでくれており、畑の周辺を刈り取った草を運んでこなくて済む。牛糞は明日にも運び込んでくれる。
となると、適度に溜まった(これも造園会社が持ち込んでくる)剪定枝の分別と破砕作業が急務となり、二日間の夕方の作業で、堆肥作り二回分の分量が確保できた。

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先ずは大きな剪定枝を
破砕機で処理。

底に溜まった小枝と葉っぱを寄り分けて、
小枝と太い枝は、燃やして、草木灰を作る。

おそらくは、日本の何処の農家よりも、多分
手間がかかっていると自負している。


他所から堆肥を購入して来るわけではなく、全て文字通り手作りの草木堆肥となる。
女性にはいささかきつい作業となる。夏場では暮れなずむ夕暮れ時しかできない。

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昨日、8番の畑に大豆を蒔く。

二三日かけて畑を作り
数回トラクターで鋤き込んで、管理機で畝を立て、大豆を一列蒔きと
する。

除草剤を使わないため
管理機と鍬を駆使して除草作業を行う。


ようやく一反分が済み、残り3反分の畑の準備をしなければならない。
この種蒔き作業はいつも早朝と決まっている。とにかく暑いのです。

 
露地栽培―PARTⅢ-野菜の評価のミスマッチ
 
 一般的に商品としての評価は、それを使う消費者が行うものである。
処が、野菜に関しては、卸・小売などの流通業者が行っているのが現状です。
つまりは、生産者の顔はどこにも見えない訳ですから、生産者と消費者の間には、直接的な接点は無くなっている。
 
(卸・小売などの流通業者の評価)

流通の評価の基準は大きく分けて三つある。
 
①先ずは見栄え・外見・鮮度などを第一義に考える。

 店頭に並べるため、消費者に手に取ってもらわねば売れない訳ですから当然です。この段階で露地栽培野菜は敬遠されてしまう。見てくれが悪いですから

均一・均質な形状、つまり、規格サイズが要求される。

 大量に野菜を扱うため、不揃いなサイズでは仕分け作業に手間取り、価格設定などの様々な問題があり、生産者に対して均一・均質な規格サイズを要求するのは当然です。自然の中で生産された(管理栽培とは異なる生産環境)露地野菜は、規格が揃うはずもありません。

③販売価格の設定

 野菜の質(味・香り・旨み・食感など)を見定めることは流通段階では難しく、価格設定を行う際に、「質」は評価の対象になり難い。特にむかしのように八百屋さんもおりませんから、「質」を伝えてくれる専門家がいない。

このように、流通市場では、野菜の評価は外見・見てくれ及び規格サイズの二点しか評価の対象に成らなくなってしまいました。

(消費者の評価)

 ここで皆様にお聞きしたいことは、野菜の評価って何でしょう?おそらくは、流通市場(スーパー等)で野菜を買い求めておられる方々は明確にその評価の基準を言える方が少ないのではないでしょうか?

食」に関して問題意識を持っているか?持っていないか?では大きく異なってきます。
問題なのは、家族の、自らの健康について関心を持ち、現在の農産物をはじめ、「食」に関して、その危険性に気づいているか、いないかだとは思います。 

 少し難しい表現を使いますと、消費者は、食の安全や栄養価(=美味しさ)を求めているのは当然です。この欲求を潜在的ニーズと表現します。つまりは心の内面の評価です。
心の外面では、「みてくれや外見」「規格サイズ」を評価しています。これを顕在的ニーズと表現します。

 現在の消費行動では、概ねこの顕在的ニーズ(見てくれの良さなど)によって野菜の評価を行って、購入しております。何しろ、多くはスーパーなどの小売店などから野菜を購入しているわけですから、流通業者の評価に合わせるしか選択肢はないことになります。

 私は常に、当農園のホームページにより問い合わせを頂く消費者の方にこのように伝えております。先ずは、見てくれなどのことよりも、貴方の舌や感性を信じなさい!体が美味しいと感じてくれたら、それこそあなたが真に求めている野菜ですよ、と・・・ 

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                兄弟子と弟(妹)弟子の競演風景

レイキ(熊手)を使って畝をならしているところ。4年目を迎えた兄弟子も今ではレイキを使いこなし、鏡のような平面を描いている。やはり腰が据わっている。
農機具の中ではこのレイキ掛け作業が一番難しく、体力が必要な作業。
右隣は、ゴーヤの棚。


飲食店取引を始めた際に、「これでも野菜か?」「あなたの処は素人ではないか?」と言われたことが、時折ありました。
味や内容は如何でしたか?とお聞きすると、味は良かったが、これではお客様に出せないではないか、と言われたこともありました。
また、お試しセットの後に、個人顧客から、直ちに継続打ち切りを言われたこともありました。

勿論、全てのお客様がこうではなく、大多数の方々は、こんな野菜は初めて経験しましたとのご感想が多いのですが・・・

前者のお客様は、顕在的ニーズ(見てくれや外見の評価)を求められており、後者のお客様は、潜在的ニーズ(質)を求めておられた方です。

露地栽培野菜は、虫食いの痕が残り、形はいびつで、不揃い。
生産リスクは高く、労力の塊でもある。
それでも、圧倒的な存在感があり、希少価値もあり、何より美味しく栄養価が高い。
その鼻に抜ける香りや深い味、旨みがあり、歯触り(歯切れ)が良い。

野菜が気候変動の中でうまく育ってくれない時、何度もハウス栽培を!と考えなかったかと言うと嘘になるが、どうしてもその美味しさとそれを待って下さるお客様のことを考えると、踏み切れず、今に至っている。

おそらくは、今後も、農家のプロが作る外見の良い野菜より、農業の素人が作る不揃いの野菜作りを目指し続けることでしょう。