農園日誌ー夏と梅雨、両方の気候

27.7.23(木曜日)曇り時折晴間と雨、極めて不快。最高温度31度、最低温度26度、

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                剪定・誘引されたフルーツトマト

農園主は今日、一日中、フルーツトマトの剪定と誘引作業を行う。
ぐずついた空模様のなか、鬱蒼としてブッシュになったトマトの棚の整理に入った。
暑苦しく、蒸し暑く、時折覗く太陽と、不快度は90%以上、根を詰める作業であり、
流石に17時頃になると、頭が眩み、立っているのも辛くなってきた。
皆はこれも鬱蒼と茂った雑草の除去作業。
「おおーい!今日は止め」 蒸し暑い中、ほとんど休む暇もなく続いた作業に疲れの色が見えた。いつもより一時間以上早い、終了の合図を送る。

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生成りのまま腐っていく
トマト。
長雨と湿気の気候のため、
およそ30%のトマトが
こうなってしまう。
露地栽培トマトならではの
姿となる。
これに加えてぱっくりと口を
開き、割れてしまうトマトも
今年は約15%ほど出ている
それでも露地トマトの美味しさ
を求める。

このような気候の中では、絶え間ない剪定誘引作業がないと、もっと悲惨な状況
に陥る。湿気が滞留し、風通しが悪くなると環境ができると、葉っぱが腐れ上がり、
最後はトマトが腐っていくことになる。

イメージ 3草に覆われ始めた黒大豆
の畝。

晩秋の味覚、丹波大粒黒大豆の枝豆、そしてビーン
約7年前から始めた黒大豆の枝豆。
思えば、最初は黒ずんで
見栄えがせず、一部には
批判の声があったが、
今では、多くの仲間達が
この時季を心待ちにしている

「旨いものは旨いのだ」 見え形ばかりに目がいく消費者は仲間ではないとばかりに割り切って始めたむかし野菜作り。
「美味しいものは栄養価が高い」
これも当農園の仲間達(お客様)の中では至極当たり前になっている・・と思うが・・・

梅雨時季、一時、継続率が60%に落ち込んだ。最近ではようやく90%以上に回復してきている。実に仲間に成り損ねたご家族が40%も居た。
腐りや傷みやすい時季にお試しセットを申し込まれた方には申し訳ないが、それでも、60%の方が我慢して付き合ってくれたことになる。
農園も、輸送過程での傷みや腐りの進行を気にしての出荷作業であり、祈るような気持ちで送り出していた。(湿気対策として新聞紙で包むなど)

露地栽培は一年間を通して食べてみないと、本当の姿は見えてこない。
露地野菜には、四季があり、時季があり、同じものはほとんどない。旬菜も走り旬、
中旬、終わり旬、落ち野菜と変わり、それぞれに味香り・食感・旨みが変化していく
虫食いの痕がヒセになり、硬化し、穴が空き、生育環境に応じて形が変わり、色も変わる。将に、切られ与三郎のような姿となってしまったむかし野菜達。
化学物質・ホルモン剤・農薬・ハウスなどの管理栽培による均質な野菜とはあまりにも違った世界がそこにはある。(それは他の多くの有機栽培でも同じ)

最近、始められた数家族の方からのメールで、

「形もサイズも色も異なる野菜達が送られてきました。始めて見る野菜達に子供達は大はしゃぎでした」
「胃を摘出しております。佐藤さん処の野菜は薬膳料理や漢方のようです」
「ほら、佐藤さん処の野菜だよ。4人の子供達は野菜の話しをしながら、楽しそうに口にほうばっていました。一週間で無くなりました」
「おっしゃるとおり、将に、むかし野菜でした。野菜は本来こうなのですね」

夏休みを控えたこの時季、お試しセットの問い合わせは極端に減るのが通年では
あったが、最近は実に多くの方からの申し込みが相次いでいる。
どうやらクチコミの力のようだ。ありがたいことだ。

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ゴーヤの棚。

夏が来ると彼らの世界。
熱ければ暑いほどに
実を結ぶ。

私はゴーヤが苦手でしたが、
草木堆肥で育った彼らだけは
何とか食べれるようになりました。少しばかりの甘みとちょっと苦味がくせに・・


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ついでにもう一つ。

蔓紫(実は緑)は真夏の葉野菜

やや香りがあり、食べず嫌いの方も多いかと思いますが、
これも私が克服した一つ。

和風出汁での煮浸し、
将に夏ほうれん草でした。



「旬には旬菜を食べるべし」
その季節・時季に合った野菜は極めて、「順」です。(無理が無いという意味)
当然に美味しく栄養価が高い。

流通の世界はまた、一般通念の世界でもあり、その世界は所謂作られた世界でもあります。
見え形・均質・規格サイズ・等級別などは流通の扱いやすい野菜の基準。
いつの間にかその野菜が美味しさや栄養価の高さに置き換わられている世界。
それが通念となってしまっている。

無垢な子供達はそんな大人が作った世界とは関係なく、美味しければ、食感がよければ、旨ければ食べます。逆にいかに立派な野菜でも不味ければ食べません。

「無垢な子供のように自然に順であり、ありのままの野菜への評価が何時の日か、
通念となれば、もっと美味しく栄養価の高く安全な野菜が市場を席捲するのに、と
思うのは、どうやら私だけではないようです。少なくとも2百数十名の仲間達と
研修生を含めた頑張っている農園スタッフ達の願いでもあります。その中心に
無垢な子供達の世界があるように思えます」