農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2019.11.8(金)曇りのち晴れ、最高温度20度、最低温度11度

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                玉葱の定植

 

今年は赤玉葱も含めると約5万本ほどになる。

全て手植えとなり、堆肥振り・畝建て・植え込み作業が急ピッチで行われている。

玉葱は日常最も使う野菜の一つであり、そんなに単価も取ることもできないが、ご家庭での必需品でもあり、何しろ、植え込みの量は半端ではない。

例年のこの時季の農園の行事であり、一つの風物詩でもある。

 

 

2019.11.6 農園直売所は八百屋さんとお菓子屋さんになる!

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水曜日に直売所を開いてから今月で8ヶ月経過した。日曜日開催に踏み切ってからほぼ1ヶ月を経過。
未だ、大分市場には浸透していない。ここは我慢比べとなっている。
テレビ等のメディアを通せば、多くの消費者に届く効果は高くそれなりの意味はある。但、これは反響が大きい分、一過性に成り易く反動が余りにも大きい。
九州一円にテレビ放映されると、いきなり、2,500余名の問い合わせが殺到し、自然野菜にも限りがあるため、500名に絞って何とかお届けしたが、一年以内に470余名の方が脱落した。
今回は、地道にチラシを配ったり、団地新聞に載せたりで、口コミを誘発しようとしている。若いスタッフ達も自主的に団地にチラシを配り始めた。それが何より嬉しい。


水曜日の直売は20余名の固定客が入れ替わり訪ねてきてくれている。

日曜日は、菓子類・パン・惣菜・おやつ類なども揃えており、次第に固定客も付き始めてはいる。その方々による口コミにより、時折、新規のお客様も来られるようにはなった。客層は少し異なる。
消費者とのコミュニケーションもややぎこちなくも進んでいる。農園主もできるだけ、若いスタッフ達に任せてあまり出ないように気をつけている。ここは彼らが自立していくためには、正しく正念場となっている。
唯、今までお世話になったメディアに頼ろうとする気持ちが無い訳では無いが、今は我慢の時である。
そうした中、徐々にではあるが、野菜の旬の説明、食べ方の紹介、古代もち麦ブレンド小麦粉の使い方麦ご飯セットの紹介、漬物や味噌などの詳細説明などがようやく彼らの口から伝えられるようになりかけている。

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日曜日は野菜及びブレンド小麦で作ったお菓子やコロッケの販売だけではなく、試食会も行っている。

立て込んでいない時間帯には、じっくりとスタッフもお客様と話し込んでいる。

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ブレンド小麦粉と農園で採れた大豆を焙煎した黄な粉によるやせうま

 

かっては、どこの街でも八百屋さんがあった。市場から、あるいは、直接農家から仕入れてきた旬の野菜が店頭に並べられ、「奥さん!この茄子は今が落ち旬です。小さいがうまいよ。ああ!鍋なら良い葱が入っているよ。それとこの聖護院大根が合うよ。やや苦みがあるのが特徴だが、油揚げや豚肉と甘辛く似ても美味しいよ」などと料理方法から美味しい時季まで紹介し、かれらは、農家の代弁者でもあった。
お客様もその店主から進められた野菜を選んでおり、八百屋さんに行ってから今夜の献立を考えていた。
一昔前は、良き時代のコミュニケーション文化があった。
八百屋さん・魚屋さん・肉屋さんは、大規模ショッピングモールに変わり、売り手側と買い手側の会話は今では無い。野菜の健全性・美味しさなどの質は大きな価値を持たない。専門的な知識や美味しい料理方法などの情報のやりとりも無い。
言うなれば、専門的な知識もあまり多くない者同士が売り買いを行っていることになる。
これでは、何が健全で良質の野菜であるか?美味しい野菜とは何か?栄養価とは何か?など、分かりようが無い。結果として、見た目・新鮮そう・安全そう・価格などにより野菜を選ぶしか無くなる。
そんな状況が長らく続くと、果たして消費者は農産物の質を見定めようとしているのか?それすら疑問に思えてくるようになる。
効率優先の大量流通の世界はこんなものだ。これでは、健全で良質な野菜を生産する農家は育たない。

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何かと問題のベーキングパウダーを使わず、麦から起こした天然酵母を使用した苦心のパウンドケーキ。

 

当農園では、草木堆肥による低窒素・高ミネラルな自然循環農業により、野菜や穀類を育てている。
そのため、常に販売において、啓蒙・啓発的な説明や紹介の仕方が求められている。
この野菜が他の有機野菜や慣行栽培による野菜とどう違うのか?除草剤・高窒素肥料を使わない穀類の美味しさと安全性の紹介や説明、穀類の味香りがする野菜饅頭・コロッケ・パン・ケーキなどの紹介、やせうま・クレープ・石垣餅などのむかしおやつ作りの勧めなど、お客様に紹介するテーマも多い。
そのため、店頭において、四苦八苦しながら、お客様とのコミュニケーションに取り組んでいる。
習うより慣れろ!で、そのうち、大分の消費者にも理解して受け入れて頂ける日が来る。

むかし野菜の邑の農園直売所は、八百屋さんになったり、お菓子屋さんになったり、ひたすら頑張り続けていくしか無いのである。

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