農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2019.10.2(水曜日)曇り、最高温度30度、最低温度24度

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        2019.9.20.現在の雑草に覆われた大豆畑

7月に草刈り機と管理機で除草作業を行うも、二ヶ月後はこんな感じに草に覆われてしまっている。大豆も大きく育っており、草刈り機や管理機は最早入れられない。

このまま大豆が育つか、草に負けてしまうか待つしか無い。

 

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2019.7.3.全員でようやく発芽した大豆畑の除草作業をし、この後、管理機を使って土寄せを行う。

 

「むかし野菜の四季」ー実りの秋―除草剤


春から夏にかけて草が生い茂り始め、「夏草はしつこい」と言われている。
それでも最近の日本では、梅雨が明けると、途端に酷暑がやってくる。梅雨時期に夏草を刈り取る間もなくしつこく夏草が茂り始める。暑い盛りに何度も草刈り機や手作業で除草をし続けねばならない。
それでも酷暑の中は、流石の雑草もやや抑えられるが、初秋頃から勢いを盛り返し、旺盛な勢いで繁り始める。例えば、露地の人参など、種まきから収穫までに最低4回は除草に手を割かれる。
農業にとって過重な労力のかかる除草作業は大きな課題となっている。
それでも自然栽培を標榜している当農園では、草を抑える黒マルチは使用していない。産業廃棄物の山となることも嫌だが、外気や太陽・風雨との交流を妨げ、野菜の自然生長を阻害しているためである。

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じゃがいもの土寄せ作業

一畝に二列ジャガイモの種を蒔き、発芽し、この程度まで成長すると、土寄せを行う。

この時、同時に除草作業を兼ねる。大きな草は手で抜き、小さな草は鍬で掻き込んで根元に寄せ、さらに深く鍬を入れ、葉っぱ毎、土を被せる。

葉物や根菜などは、成長するまで最低3回は除草作業が必要となる。除去した草は集め草木堆肥の原料とする。

 

野菜畑の場合はまだ良い。これが穀物畑となると、広すぎるために、手作業での除草が事実上できない。
そのため、穀類栽培では、水田も含めて除草剤散布が当たり前になっている。このことを消費者は知らない。除草剤には人体に有害な成分が多く含まれ、生命のDNA(遺伝子)を変質させる危険がある。
最近急増してきた穀物アレルギー・アトピーは、これが大きな要因ではないかと農園主は考えている。何しろ穀類は御飯・パン・麺類・菓子類など、人が生きていくためには不可欠な主食となっている。

特に問題となるのは、ゲノム編集によって生産される小麦・大豆・とうもろこしなどである。遺伝子組み換えの穀類は、より強力な除草剤を使用しても死なない穀類の種子のことである。危険な農薬(除草剤)を吸い込んだ小麦や大豆を人間や家畜が食べているのですから・・・


 2019.9月、国はゲノム編集の野菜や穀類を解禁した。聞こえは良いが、遺伝子組み換え穀類を日本で販売することを許すことに繋がる。メディアもこのことを正確には伝えようとしていない。
アメリカの大統領に日本の農業を攻めても良いとしたことであり、国を挙げて、メディアも黙認し、国民の健康をまもろうとする気概は無い。一党独裁状態にした国民の責任であり、そのことが何より悲しい。

さらには、穀類栽培には、農薬の散布を二回以上は行う。それよりも課題となるのは、窒素肥料を多く投入しなければ、粒は小さく、タンパク質(小麦の場合はグルテン)が増えない。そのため、農業普及センターでは、化成肥料などの追肥を呼びかけているほどである。
様々な化学物質がかなりの量、圃場に蓄積していき、農産物の体内には硝酸態窒素(毒素)が残される。
これを数十年繰り返していった結果が現代病の多発では無いだろうか・・・
むかし野菜の邑グループでは、この大きな課題に数年前から取り組んできた。

数年前、新たに水田を借り、穀類畑に変えていった。
水田は湿田と乾田に分かれる。水分が常に多い湿田では、深水管理と言って、常に水を張り、水田に水を環流させておき、山からの栄養素を常に取り入れ続け、深く水を張っているため、雑草が生え難い。
さらに米糠を投入すると、稲より背の低い雑草は呼吸ができなくなり、除草にも繋がる。これが自然栽培(無肥料・無農薬)のお米である。
乾田は、稲作には不向きではあるが、麦や大豆栽培には適しており、当農園はこれを借り受け、穀類畑へと転換しようとした。勿論草木堆肥のみ施肥し、土のチカラを付けようと試みた。
処が、除草剤も使わないため、いつも草に負けて穀類が生長しないばかりか、全滅してしまうこともしばしばであった。それでも何とか収穫までに漕ぎ着けた小麦は、背が低過ぎて、コンバインに掛からない。
農業試験場の所長が言っていたことが頭をよぎる。
「佐藤さん、除草剤も使わない、化成肥料も使わないでは、絶対に麦は出来ません。できたとしてもグルテンはほとんど無く、商品にはなりませんし、買う人も居ません」

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穀類畑は、大豆・麦(小麦・裸麦・古代麦)・とうもろこしなどの二毛作を行う。

この穂は古代麦であり、髭が小さく、熟すと紫色(通常の麦は黄金色)に変る。

5年前はわずか1リットルの種をもらい受け、5年掛かりで増やしていった。

一粒であり、実は小さく、収量は通常の麦の1/4程度となる。

 

それでも若いスタッフ達と頑張り続け、5年が経過した。ようやく土が育ち、ある程度の量まで採れるようになった。先ずは、裸麦と古代小麦(日本の原生種)のセットをした「麦ご飯セット」と「弥富ブレンド粉」を試作した。
アレルギーなどの現代病に対応できる麦の生産しか頭に無かったのだが、粉にして食べてみたら、麦に味があり、香りがあり、甘みまであるではないか。その美味しさに驚かされた。中でも日本原生種である古代麦は、味香りが強く、粘りがあり、圧倒的な存在感がある。
唯、少量しか採れない、調理しにくい、個性が強すぎる、粉が纏まりにくいなどの難点があり、九州産の筑後イズミ(中力小麦)とのブレンド比率に苦労したが、何とか、その美味しさを保ちつつ、ようやく「弥富ブレンド粉」が完成した。
裸麦と古代もち麦をセットした麦ご飯セットは、すんなりと商品として完成した。唯のお米が別物の麦ご飯に変身していた。

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昔懐かしい小型の小判型にした。弥富パンを作り、手作りのパン粉を使用した。

これで丸ごと全ての材料がむかし野菜の邑の野菜(農産物)である。肉は違いますが。

そのため、アレルギー体質の方にも対応できる。

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パウンドケーキ(かぼす風味)

かすかなカボスの香りが心地よく、何より、麦の香りがしてくる何処にも無いケーキが

誕生した。危険な化学物質が入っているとされているベーキングパウダーも排した。

 

ここから、やせうま・クレープ(流し焼き)・団子汁・石垣餅・野菜饅頭などの中間食、弥富パン粉を使ったコロッケ・ピロシキなどの惣菜、グルテンが少ないためパンとは呼べないかもしれないが、弥富パン・パウンドケーキ・ドーナツ・クッキーなどの菓子類が誕生していった。
全て現代病への対応を考えて、製作したものであり、ベーキングパウダーなども排して、麦から起こした天然酵母を使用している。
9.29より、これら穀類を原料とした加工品も含めて、毎週日曜日、農園マルシェを開催し始めた。
大分市場の消費者が支持してくれるかどうか、これから、さらに新たな闘いが始まる。