農園日誌Ⅲ

2019.9.11(水曜日)曇り、最高温度33度、最低温度26度

 

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                ニラの花咲く

 

 長雨は終わりつつあるが、相変わらず蒸し暑く厳しい残暑が続いている。

スタッフ達も相当に参っている。この清楚な白い花を愛でる余裕も無いようだ。

農園主も流石に歳には勝てず、気力も奪われつつある。

 

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盆明け頃、種蒔きを強行したのが功を奏したか、葉物野菜達の薄緑色の若葉が、眩しく映るほど元気に育っている。

今年の秋はいつもの秋とはどこか違う予感がしている。日頃旺盛に繁殖してくる害虫の姿が見えない。今からか?油断は出来ない。

 

「健全な食を目指して、農業を未来へと繋ぐ」
                                 
農業は、国民の食糧を生み出す産業です。
その農業の担い手がいなくなると、国内での食糧の確保ができなくなる。それは世界的な天候異変による食糧危機や自国主義が進んだ後の経済戦争の道具にされることに繋がります。
欧州各国では、農業特に露地栽培農家に対して手厚い保護政策を行っている。国土保全・食糧確保は国力維持に繋がることを知っているからです。(施設栽培には補助金は出ません)
農産物国内生産確保に、関心を寄せない日本の政治・社会を消費者の皆様は如何お考えでしょうか?

農業を17年やってきました。そこで感じたことは、如何に農産品が安いかと言うことです。
サラリーマンも経験してきただけに、労働対価として割に合わず、「農業は苦労するだけで生計が立たない」
親が農業をしてきた子供さん(跡取り)ほど、農業を嫌って出て行きます。その親も子供には農業をさせようとはしない。結果として、地域には、田舎には、人が居なくなっているのです。
長い時間を掛けて、農産物は流通に支配されてきた。それは低価格ということだけでは無いのです。「見栄え・形・規格サイズ」が揃わないと、流通では価値がありません。
高回転の効く見栄えの良い施設栽培野菜、化学肥料と農薬で生産される規格野菜、土作りに三年以上の時間を掛けて生産された自然野菜、いずれも流通では同じ野菜なのです。従って、それは消費者にとっても同じです。
品質や安全性は、評価されない。つまりは、生産者の思いや努力は評価されるべき対象では無いのです。
今ではほとんどの農家に、品質に掛ける農家の思い、希望、そして誇りは、すでに無くなっております。
地域を支えてきた農業は、国から見捨てられつつあります。少なくとも国民の関心の外に置かれております。

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         OBSのアナウンサーと待機中の一コマ

9月7日、全国民間放送協会によって、開催されたトークセッションの大会

テーマは「農業の力を地域のチカラへ」

イベントそして開かれた会であったため、気乗りしないままパネリストとして参加しましたが、当日の夜、佐藤放送部長さんからメールが届いた。

「全理事達が佐藤さんを絶賛していましたよ」と・・・「救われました」とのメールに

こちらこそ!とお返しした。

この放映は9.23,14:55分頃、OBSにてなされます。

 

 

私は、どうしたら地域の生活を支えてきた農業を未来へ残せるのか?考え続けてきました。
良質な野菜を消費者へ直販することから始めた。生産方法を開示し「安全性」「圧倒的な品質の差」・「美味しい野菜」を示すことが必要でした。ほぼ美味しいでは、消費者は評価してくれません。
また、定期的に購入して頂ける消費者にいつも同じ野菜では、飽きられてしまいます。そのためには、季節毎に、30種類以上の野菜を栽培するノウハウを身につけることでした。露地栽培には必ず訪れる端境期でも野菜を切らさない工夫をし、「年間百種類以上の野菜」を作り続けることになりました。
さらに考えたことは、野菜だけで良いのか?と言うことでした。アレルギー・アトピーなどの現代病が多発してきており、「生きるための糧とは穀類である」と言う思いに至りました。「草木堆肥のみ施肥し、穀類生産には欠かせない除草剤を排し、健全な土を育てることに3~5年を要し、味香りがあり、穀類の旨みが感じられる」
これを目標にして栽培実践を繰り返し、数年後に出来た麦を食した時に、農園主は驚きました。
今まで感じたことの無い味や香りが、そして、美味しさがそこにありました。
この穀類の素朴な美味しさを粉にして、加工品の商品開発にスタッフ達と取組始めました。野菜饅頭・団子・石垣餅・パン・ピザ・パウンドケーキ・クッキー、そして全て原料をグループ内で調達したコロッケ等々でした。
アレルギー・アトピー・癌などに苦しむ消費者にやさしい農産物及加工品に取り組んでおります。

化学物質を極力排した健全な農産物作りは、手間と労力と、生産リスクに満ちております。
それでも、自然循環農業によって産出された農産物及びその加工品は、人々や、未来を担う子供達の健康を守ってくれる。
農園主はその自負心を持った新たな農業者が育ち、地域が再生されていくことを願っております。

 

9月29日、むかし野菜の邑にて、農園直売所を本格的にオープンします。

現在、その準備に大忙しです。

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       幻の金時生姜、その艶やかな色が、一際、光を放っている