27.7.9(木曜日)曇り、時折太陽、最高温度28度、最低温度19度
農園の一角に咲く野甘草
春は葉っぱ、初夏は莟を食べる。現在畑で増殖中。
今日は、朝から蒸し蒸しする暑さ。
梅雨前線は北上し、台風からもたらされる湿った暖かい空気が流れ込む最悪の
気候。今年の夏は冷夏か、あるいは、天候不順となるのは間違いなさそう。
こうなると、農人と天気の読み合いが野菜の出来不出来を左右する。
今日は四番の畑の夏野菜
の追肥(草木堆肥)と中耕
作業を行う。
長雨の影響で、夏野菜の
成長が遅れている。
遅れを取り戻さねば・・・
畝横に軽く追肥を施し、
固く湿った畝下の土を
掘り上げて、畝上に被せる
(除草も兼ねて)
全体ではこんな感じになる。
これは梅雨時季に細かな
土が根元に入り込み、
酸欠状態を起しているため
畝下から酸素を入れてあげる極めて大事な作業。
例年梅雨明けを待って必ず
行う。
この後、竹の支柱を立て、
ビニールテープを渡し、
枝を誘引していく。
枝は四方八方に強制的に誘引して、太陽を万遍なく当ててやる。と同時に、
脇芽や余分な枝は切り落とし、風の途を作ってやる。初めてこの作業をする人は
もったいないような気がして、どうしても枝が多くなる。
混み合った枝では病気が入り、蜜蜂も受粉できない。全ての花芽に実が付けば、木が持たないし、長く収穫が続かなくなる。
梅雨の時季に除草作業を行い、除けた草を畝上に置いている。そのままにしていると、根を下ろしてしまう。一輪車で拾い集める。
その時、除けた草の下には。びっしりと黄金虫等の幼虫が・・もぐもぐと動く。
以前から気にしている草木堆肥による農法。
この農法を続ける限りは、土の中には微生物や放線菌だけではなく小動物が生息し易い環境になっている。
みみず、それ主食とするもぐら。夜登虫(根切り虫)や黄金虫。蛾や蝶々の幼虫。
晩春から初夏にかけてそれらの幼虫が卵から孵化して畑は完全に虫天国となってしまう。
それらが葉を食い、実を食い、根菜を食い荒らすことになる。
種を蒔いたばかりの野菜は、それらにはまったくの無防備状態となり、芽を吹いた段階で、1~2日間で食べ尽くされてしまう。
5月末頃から11月初旬頃までは初期的にどうしても農薬のお世話になってしまう。
野菜が大人に成るまでは、人が守ってやらねば野菜そのものができなくなる。
大人になってしまえば、何とかなるのだが・・・
それでも晩春のブロッコリー・キャベツ・白菜などは害虫に食い荒らされて穴だらけになり、梅雨時季になると、そこから腐りが入り、溶けてしまう。
出荷の際には、その虫を丹念につまみ出し、きれいに洗ってお客様に届ける。
それでも、野菜から大量の虫が出てきました。気持ち悪く感じました、との評価が
メールで届く。
さてどうしたものか?
6月から7月上旬にかけて新規のお申し込みのあった方は、その傷んだ野菜が
送られてくる。期待に胸を膨らませて初めて取ってはみたものの、果て?と思う
方も多く、この期間の継続率は60%以下に落ち込んでしまう。
露地栽培・自然循環農法とはこういったものではあるが、それには多くの消費者は免疫ができていないのも当然ではあろう。作り手の苦労話は通用しない。
このような時、研修生達の疲れた顔が頭を過ぎる。
苦労してこの評価か?頑張れ!耐えるんだぞ!と言うしかない。
鈴生りの瑞栄トマト。
この写真を見てあれ?っと
思われた方はいないだろうか
長く降り続いた雨により、
下葉や中葉は黒く腐り上がり、トマトの実も一部は黒ずんできており、このまま行くと
多くのトマトがやられてしまう
丹念にその黒く染まった葉っぱなどを取り除いた姿がこの
写真です。
このように露地栽培とは手が懸かり、人による絶え間ない管理が必要になり、多くの
経験と農人としての勘が必要となる。
露地栽培・自然循環農法においては、一人前の農人に育つまでにやはり10年の
年月を必要としているのかもしれない。この農法では土作りに最低5年、それ以上に人が育つのには多くの時間が必要とされる。
今年から、草木堆肥に入れる牛糞の率を大幅に減らしてみようかとも考えている。
野菜が育つのに必要とされる窒素分は窒素固定化植物(主には豆科)の根粒菌
がそれであるが、やはり、古来から行われてきたむかし農法にはそれなりの重み
と経験と歴史がある。
完全なる自然農では、野菜の生産量が大幅に減少して、当然に野菜の価格は今の2倍以上になる。しかも、野菜(生命体)に必要とされるバランスの良いミネラル分の
補給はできなくなる(あるいは、圧倒的に少なくなる)
農園の発足から、一貫して、完熟野菜・栄養価・美味しさ・脱化学物質、そして、
極く普通の方が容易く買えるリーズナブルな価格をテーマとして掲げている以上は、
最低限度の窒素供給とミネラル分の補給には草木堆肥は絶対的に欠かせない。
農園主の悩みは多い・・・
梅雨が明ける兆しが見えて、来週からは懸案の雑穀の生産に移る。
とうもろこし生産があまりうまくは運んでおらず、次の大豆はなんとかしなくちゃ!
お客様へのインタビューでは、自然農の大豆・大豆粉・黄な粉のニーズが予想以上に高く、味噌の大事な原料にもなる。
処女地ばかりでは不安が過ぎり、草木堆肥歴3年の7番の畑に捨て植えを行おうと考えている。
明日からはぎらつく太陽に照らされ、蒸し暑い日々が続く。
自分も含めてみなの体力と気力が持つか?いよいよ、夏本番が始まる。