農園日誌ー梅雨の中休み?OR 終わり?

27.7.2(木曜日)曇り時折晴間、最高温度25度、最低温度18度

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               由布市庄内のとうもろこし畑

雑草に覆われているのではと心配して行ってみると、田北さんが除草作業をしていた。あまりにも長く降り続く梅雨の雨に、農園の作業が滞り、気にはなっていたが、
雨の合間に畑の作業を優先し、ついつい、庄内のとうもろこしは後回しにしていた。
田北さん(むかし野菜の邑の一員)もやる時はやるんだと感心して帰ってきた。
まことにありがたい。

一昨日の強風でかなり倒れていた。さらに、とうもろこしに付く虫により、芯が喰われ
倒壊を助長していたようだ。実も入っておらず、背丈だけが伸びる、所謂、蔓ぼけの
状態に近い。来週も行っては見るが、中々に難しい。
おそらく前作で耕作者が牛糞をかなり投入していた模様。窒素過多の状態かもしれない。初めての畑(前は田)であり、制御が難しく、とうもろこし栽培もチャレンジャー
でしかない。
草木堆肥(ミネラル重視)と牡蠣柄・灰なども振ってはみたが、もう少し様子を見ることにした。

最初から旨く行っていれば、問題点も見えなかったろうし、農業にはこの「何故」が
大切。失敗を重ね、そこから学んでいかねば、美味しい雑穀は作れない。
そう考えることにした。
思えば、現在のむかし野菜も随分と失敗を繰り返してきたものだ。
今では少しはましになってきてはいるのだろうが、未だに自然循環農法に学ぶことが多すぎて、困るほど。本当に農業には完成ということがない。

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今年のトマトは実に良い。
農園主も自画自賛するほど
びっしりときれいな実が
鈴生りに付いている。

これはフルーツトマト。

今日も午後から夕方まで
選定作業に追われる。
フルーツトマトは私が担当
する、と言ってしまったため、
誰も手伝おうとはしない。

素直と言うか、冷たいというか、おかげで今年は特にフルーツトマトが良い。

梅雨の長雨で下葉や中葉が腐り上がり始めている。このまま放っておくと、実も腐り落ちることになる。今回で本格的な剪定作業は三回目となる。
約60mの畝が千鳥並列植えで二畝あり、(合計で4列)剪定作業に要する時間は
私でまるっと三日かかる。終る頃には吐き気さえ催すくらいに神経を集中しての
作業となる。

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こちらは瑞栄トマト
長さ70mの畝が三本。
一本を研修生一人
担当と決めた。
これは祐輔君の担当の畝。

今の処は、トマトの実落ちは
少ない。順調に熟れ始めている。
今年の瑞栄トマトも良い。
梅雨明けの太陽が照り付けると、急に果実が真っ赤に
色付き始める。

取引を初めて一年未満の飲食店のシェフ達からの苦情のメールが相次いでいる。
そのメールを深く読んでみると、「味が濃く、旨みのある野菜」と「傷みが早く、時に
固く変化する野菜」のギャップに対する苦情のようだ。

どうやら私に謝って欲しいのか?是正して欲しいのか?どちらにも取れる。
「決してご無理なさらずに」と答えるも、取引を解消したいとの意味ではないようだ。
このような時、「通常は申し訳ありません。選別を強化是正して送ります」と答えればよいのかもしれないが、私は決して謝らない、と言うか、誤れないと言うべきか。
勿論腐っていたり、食べられないものであれば、是正していきますし、代金は減額致します。

この事はむかし野菜の特性に由来しているため、例え飲食店であってもその性格と付き合っていって頂かねばならない。

「当農園は美味しく栄養価の高い完熟野菜しか出荷しない」
これは農園発足からのテーマであり、これを変えるつもりは無い。
露地栽培で、自然循環農法(低窒素栽培)によって産まれた野菜の特性は、以下の通り。

①自然の中で育つため、太陽の熱・雨による湿度・風によるゆれ・虫による傷みなど
 様々な自然環境の障害を経て丈夫な野菜しか育たない。
 自然条件が厳しい時季(梅雨は特に)にはその1/3以上が出荷できないことは
 度々であること。

②低窒素土壌で育つため、生育期間が長く、土の中の栄養価(特にミネラル分)を
 大きく根を張り、最大限に吸収して育つ。その結果として栄養価が高く、歯切れが
 良く、旨みのある野菜が得られる。
 特に走りの野菜のような青臭く、味香りの乏しい未完熟野菜は決して出荷しない。

③完熟野菜は成長が止まると得られるものだけに、糖質・ビタミンに富み美味しい。
 その代わり、成長が止まった分、傷み(走り)が早かったり、一部固くなったり、
 虫害を受けたところが変形したり、様々な傷が多い。

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雨が降り続いて三日間、
四日目の夕方に覗いた
久しぶりの太陽

何だか懐かしく、
合羽を脱ぎ、
温かな気分で
家路に就く。
梅雨の終わり間近か?

三番の夕間詰めの風景


市場の青々として見え形の良い立派な野菜に慣れた料理人達は、そのギャップに
苦しむことになる。
料理人の方には失礼な言い方かもしれないが、見てくれと美味しさを両方求めるのは無理があり、どちらかを選んで頂くしかないことになる。
最後に私はこのように答えることにしている。

「当農園は料理人の方に向かった野菜は出荷しておりません。そこに訪れて割りと
高い金額を払って召し上がって頂くお客様に向けて野菜を出荷しております」
「その意味で農人と料理人は同じプロとして、同じ立場に立っている訳です」
「後は料理人がその難しい野菜を如何に工夫して、素材の味を活かして使ってくれるかにかかっております。どうか頑張ってください」と・・・

皆様はこれを如何にお考えになるか、うぬぼれと取るか、謙虚と取るか、それは
それぞれの方が感じていただければ良いかと・・・

少なくともむかし野菜の邑のスタッフにはどこかの政党のようにうぬぼれている者は
いないと、思うのだが。