農園日誌ー春よ来い!

27.1.23(金曜日)曇り時折晴間、最高温度9度、最低温度5度
 
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                    トンネル管理は忙しい
 
極寒の季節が少し動き始めている。
安定的に最高温度8度、最低温度1度の時季は終わりを迎え始めている。
(極寒時季は時には畑の気温は早朝時氷点下1~3度になる)
最高温度11度、最低温度4度の気温が見え始めている。こうなると、1週間毎に
雨が降り、その後に寒気が流れ込む。
こうなると、トンネルの開け閉めを頻繁に行わねばならなくなる。俄然毎日が忙しさを増してくる。
この判断を間違えると、成長期を終え、完熟期に近づいた(つまりは出荷適期)野菜
は寒によりその繊維を痛めつけられているだけに、寒の次は蒸れにより、急速に
溶け始める。同時に赤ダニの異常発生となる。
満を持して出荷を待ち望んでいた野菜達は全滅の危機に陥ることになる。
かと言って、開けっ放しにしていると、今度は急速に低下する気温に耐え切らなくなったり、成長が止まったり、真に厄介なのが露地栽培のトンネル管理ではある。
 
ここにも、露地栽培・低窒素栽培の難しさがあり、2~3年ではとても習得できるはずも無い。10数年これをやってきている農園主でも時には判断に迷うこと、誤ることが多々ある。
30数種類の野菜の性質や個々の野菜達の成長段階を看る能力が要求される上に
天気の予知能力が必要になり、将に自然の中で生きていく野生の感覚が求められることになる。
 
トンネルを剥ぐると、やたら目に付くのが雑草と枯れ始めた葉。
この両方ともに蒸れの大きな要因となり、必ず除去する必要がある。
トンネルを掛けているから安心とか、楽な時季とはとても言えない。
なまじな精神力では自然農や露地栽培は止めた方が良い、と言うのが実感である。
 
先日も、高度アレルギーの子供さんを抱えるとあるお客さまから連絡が入った。どうやら長らく自然農の野菜を取っていた先(農家さん)が辞められたらしい。
残ったのは佐藤自然農園(むかし野菜グループ)のみとなってしまった。
この野菜が無ければ生きていけないご家庭にとってまさに死活問題となる。
他の自然農の方では発疹が出るようで、まして有機野菜ではまったく受け付けない
とのこと。それらの連絡を頂くと、両肩にどっしりと重さが加わる。
如何にリーズナブルな価格で美味しい(栄養価に富む)野菜を出し続けることが難しいか、今年も3月に新人の研修生(三人目)が加わるが、二人の先輩達もいつまでも研修生では困る。
むかし野菜グループも正念場を迎えてきたようだ。育て上げるまで、お迎えが来てもらうわけにも行かない。
 
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空気が澄み、青空が空一杯
に拡がる農園。(四番の畑から)
 
このような日の翌朝は
必ずと言って氷点下に
気温が下がり、畑一面は
完全に凍てつく。
 
要注意報発令となる。
 
奥に見えるのは由布岳
鶴見山の両巨峰。
 
 
二年前から始めた農家のお餅の出荷。
野菜欠乏のこの時季、苦し紛れで始めた農家手作りお餅の宅配(勿論野菜をお送りするついでですが)、これが思わずの反響となり、以降、毎年年二回から、今年は4回に増やすことにしている。
九州ではむかしから餅といえば、丸餅。これが真に難しい。
農家のベテラン主婦達が五人で千切っては丸め、千切っては丸めること、実に
一度に230人×8ヶ=1,840個となると、これはもう一大イベント。
突き立てのお餅はその熱い事、熱い事、常人ではとても無理。しかも熱いうちでないと、丸くはならない。将にプロ職人並みの技となる。
 
ここで問題が発生。
 
「とても美味しくて楽しみにしていたお餅に黴が発生しており、とても残念です」
のメールや電話が相次ぐことになる。
連絡が入った方々には、直ちに返信を送る。こう言った趣旨のメールですが・・・
 
自然界には微生物や放線菌(黴)が満ち満ちております。
5度以下では発生しないのですが、お餅がご家庭に到着するとすぐに放線菌がつき
黴てくることが多い。
市場に出回っている餅をはじめ、ほとんど全ての食品には防菌・防黴処理が施されております。これは保健所の指導でもあり、食品安全法の趣旨でもあり、流通の苦情対策の一環でもある。(この他にも保存剤・活性剤など様々な化学物質にむしろ汚染されているということもできる)
何時からこのようなことになってしまったのか?おそらく大量流通の時代を迎えた以降のことと思いますが、果たしてこれで安全安心ということになるのでしょうか?
甚だしく疑問ではある。
うちの孫達は未だに吐いてくだしたことがありません。連日畑で飛び回っております
そこには土着菌や放線菌がおびただしく棲んでおり、子供達は無数の菌に覆われて生活しております。
自然界では、人間と言っても一つの生き物に過ぎませんし、最強の生き物はむしろ
放線菌だと思われます。
何故、子供達はそれらの菌に犯されないのでしょうか・・
自然界では食物連鎖といって、弱肉強食が掟です。そのため、特定の悪玉菌だけが生き残ってはいけない仕組みが出来上がっており、将に食物連鎖の仕組みによって健全に保たれているのです。
 
餅につく青黴(チーズにもそれと同じものがあります)は削いで落とせば、(そのままでも良いのですが、流石にアオカビの臭いは食べ難い)黴の香りもなくなり、美味しく
食べられます。田舎ではむしろ黴がくるのが当たり前で、削いで食べたり、冷凍庫
に保管したりしている。勿論人間には害は無い。
真に自然な食品には生産者側の知恵や工夫も要るが、それを食する消費者側にも
それなりの知識と知恵と我慢も要るのではないでしょうか。
 
ついでに言えば、農園で作っている味噌も漬物も無菌状態の中で作ってはいない。
不衛生では勿論無いが、米麹に塩分を減塩ではあるが適量加えて蒸し上げた大豆に合わせている。
昨今減塩・減塩との声が高いが、あまりにも甘い味噌は考え物で、雑菌が繁殖しやすくなり、それを防止するためにまた、化学物質のお世話になる。これでは如何なものでしょうか?
とある消費者から、「味噌はいらない」「うちは減塩をしているので、甘い味噌を(おそらくは市販のもの)買っているので」とのこと。
農家のむかしからの知恵は一体どこに行ったのか?と考えてしまうのは私だけでしょうか。
 
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自然界のナチュラルな色は美しい。これも野菜作りの楽しみの一つ