今週の野菜ー春の匂い

27.1.16(金曜日)晴れ、最高温度12度、最低温度5度
 
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                    春を告げる蠟梅の花
 
例年になく寒い12月、1月もまだまだ寒い日が続くが、この花が咲き始めると春を
感じる。農人としての嗅覚は春が早く来ると告げている。
年賀状を多く頂き、「美味しい野菜をありがとう」の文を文字通り、皆で喜んでいる
多くの方々からのご支持と評価を改めて感謝するとともに、「頑張ってお届けせねば」との思いをスタッフ全員が持ったようだ。
 
3番の畑には、今年最初の種蒔きとキャベツ等の植え込みを行う。
 
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草木堆肥を振り、焼き灰を撒き、畝を起す。
レイキで畝を整える作業。
 
若い二人とも一年を過ぎ、
慣れた手つきで表面をならす。50数歳の研修生が見学しているの図。
この後、若干の手直しで
種蒔き・植え込みに入る。
畝たてレイキ作業は中々に
年季を要する。
 
 
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左の畝には、キャベツ・
コールラビ(蕪キャベツ)
レタス系野菜を定植中。
カンラン系は深植え、
レタス系はフラット植え。
苗間は○○、千鳥植え
などなど、
おそらくそんなことを教えているのだろう。
右の畝には、ほうれん草
の種を蒔いている。
ほうれん草は発芽率が
低く、ある程度、密集蒔き
これも条蒔きといって竹へらで溝を立てた筋に均一に種を蒔く。これがうまくできるまでに一年を要する。
若い農人達も今年が二年目を迎え、自然循環農法(低窒素)・露地栽培と一番難しく、熟練が必要な農業ではある。一人で基本的動作が身につくまでには通常三年の研修が必要ではあるが、何とか二年でものにして欲しい。
独り立ちできるにはどんなに急いでも5年を要する。
 
100種類を越える野菜達は、皆、発育環境が異なり、季節によって育て方まで変わり、その年の気候によってもまた変わる。
野菜によって当然に撒く堆肥の量も、石灰や灰などの量も変わる(季節によっても)
畝間も変わり、とても三年では覚えきらない難しさがある。
まして、どの段階が出荷適期かも難しく、間引き出荷のタイミングを見極めるまでに5年以上の年月を要する。
さらに、栽培管理・栽培計画・種蒔きのタイミング・野菜のローテーション管理・
毎週出荷の個人・レストランの野菜の組み合わせまで考えると、七年以上要する。
 
私などすでに20年以上やっていても未だに野菜のことが分らない。
それだけに実に面白い。年々未知の世界に深く入り込んでいくようで、おそらくは、一生分らないことだらけなのかもしれない。
 
今、思えば、最初に農業を始めた頃、うちの奥さんと二人で知人縁故を頼り、大分のお客様30人から宅配をして回っていた。
その時は、草木堆肥ではあったが、未だ土が出来上がっておらず、有機野菜とは
言っても、自分で納得のいくものではなかったように思うが、お客様が50人前後に
なった頃、美味しいとは言ってくれるが、固定客として定着しきれず、苦労したことを
覚えている。
大分と言う土地柄は民力度も低く、価値観を理解してくれる消費者も少ない。
その時、「よし!圧倒的に旨いと言わせてやる。そうしない限りは大分の方に理解してもらうことは永久に難しい」と考え、草木堆肥の使い方・施肥のやり方・育て方などを徹底的に体に覚えこませたように思える。
 
今日その奥さんが当農園の名物、巻かない白菜の出荷の跡をなにやら探し回っていた。よく見ると、出荷の際、切り落とした白菜の葉を集めている。
どうやら、今日の菜にするつもりのようだ。
(今週の出荷予定の白菜がようやっと全員に出荷でき、余りがないため)
切り落とした葉っぱも噛んで見ると実に味があり旨い。申し訳ない気持ちになるが、
むかし、大分のお客様への販売に苦労したことをふと思い出した。
 
今では、北海道から石垣島まで200人の個人とレストランのお客様(仲間達)がいる。あの時、決意した絶対の美味しさが切り落された白菜の葉っぱの中にある。
まだまだの美味しさとは思うが、つい懐かしい思いにしばし浸る。大分の未成熟な
厳しいマーケットにある意味で育てられたむかし野菜ではある。
 
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今日の地元紙に大分の
有機農家(小グループ)達が
国産小麦を生産する、という
記事が載っていた。
 
奥さんがうちも小麦を作ると
言っているが、どうなの?と
聞いてくる。
 
その小グループがどのような
栽培方法を試みるのかは分らないが、国産小麦なら全国どこにでもある。
自然農の穀類となるとその生産の難しさは計り知れない。
美味しい穀類生産はすでに野菜で実証済。むしろ、穀類栽培で一番やっかいなことは雑草対策。
 
種を蒔く前に、除草剤を撒く。そうしないと、穀類の刈り取り前には、全畑が雑草に
覆われてしまい、収穫は激減し、小麦などの収穫作業ができなくなる。
これは慣行栽培も有機栽培も例外ではない。
 
そのため、自然農の穀類は全国でも圧倒的に少ない。(むしろ無いといったほうが
正しいのかもしれない)
今年は、小麦・大豆・とうもろこし・黍粟などの自然栽培による穀類生産の試作の年
様々な雑草対策を試みるつもりであるが、1~2年の収量は少ないであろうが、
新たなる挑戦に今から楽しみにしている。こちらの考えている雑草対策が自然の中で試されることになる。