農園日誌ーむかし野菜の位置は?PARTⅣ

26.7.15(火曜日)曇り時折晴間、最高温度30度、最低温度23度
 
イメージ 1
                  次女の次女の笑顔ー畑にて
 
我が家の次女に中々子供が授からず、悩んでいたが、最初の子ができたのが、
今から二年ほど前、この次女はアトピーもひどく、野菜嫌いな子でしたが、むかし
野菜を食べ始めてからは、アトピーも完治し、ケロイドのような皮膚も今ではきれい
に跡形も無い。
最初の子が出来た時には思わず私に涙ながら抱きついてきた。
よほど嬉しかったのでしょう。それから、二年後に写真の第二子が授かった。
毎日畑で良く眠り、良く笑う。
 
今日、二年ほど前から、友人のご紹介で、むかし野菜を取り始めたOさんから
嬉しいメールが届いた。
この方は食事に感心が薄く、肉やお菓子を食べていたそうだ。
長く不妊治療をしていたらしく、薬漬けの毎日で体がぼろぼろになっていたそうだ。
ようやく第一子を天から授かったそうです。本人曰く、二年の間に体質が改善されたのでしょう、と。Oさんおめでとう。産みの苦しみとうれしさを噛み締めてください。
それが命です。
 
それで、我が家の次女の話を思い出した次第。
むかし野菜も人様に何かしらお役に立っていることが嬉しくもあり、誇りでもある。
連日の重労働もこんなお客様からのご報告で随分と癒される。
 
イメージ 2
ピーマン・パプリカなどの
畝。(三番の畑)
 
梅雨もどうやら終わりに
近づいているようだ。
今日は懸案の土寄せ作業
を行う。
 
草木堆肥を一番果が大きく
なり始めた頃に畝横に施肥して、
同時に雨で固くなった畝下を掘りあげてやることによって根に酸素を供給し、
さらにその作業は除草作業にもなる。
 
これを中耕作業と言う。最近では露地栽培が少なくなり、むかしであれば当たり前に
行われていた作業をしなくなった。最近の農人も随分と楽を覚えてしまっている。
こんなことも今の若い人たちに伝えていかねば、むかし農法は廃れてしまう。
 
 
農園でむかし野菜の後継候補である若い二人に、当農園も有機JAS認定を取得
しようか?と問いかけた。
そうすれば、私が退いた後も、苦労しなくて済むよ。と・・
国や県の保護や支援は受けられる可能性もあるし、有機農業研究会などとの連携もできるし、何より、有機流通との取引だって可能になる。と・・
 
但し、一旦取得すれば、有機無農薬野菜であり、農薬なんて必要が無いし、使ったこともない。と大きな嘘を付きながら、有機JAS認定農家ですとやらねばならない。
他の多くの有機農家と同じになるよ。
 
有機JASでは認定された31種類の農薬は使用しても良いことになっている
  さらに生物(ホルモン)資材と称して、生態系が変わってしまうような資材も
  その使用が認められている。
 
※農薬は季節によっては(5月末頃~11月下旬頃までは害虫の異常繁殖時季)
 幼い芽や苗を守ってやるために使わないと、1~2日で溶ける様に無くなってし
 まう。それは無防備の子供をいきなり自然の中に放り出すようなものです。
 但し、長期的に効果のあるような残留性の高いものは厳禁。土壌の中の
 子虫・微生物・放線菌を駆逐する可能性が高いし、土壌洗浄剤と称して、
 土壌に混ぜ込む農薬などはもってのほか。除草剤もこれに類している。
 むかし野菜は、野菜が幼い際や、よほど害虫が異常発生した時に止むを得ず
 使用する必要悪としてのみ使用を許している。
 それも瞬間的に効果があり、一日で光合成分解する農薬のみとしている。
 
できれば君達には誇りを失わないで頂きたいし、多くの有機農家の後ろめたい
気持ちは持っていて欲しくは無いよ。と・・
さらに日本人の先人達が営々と作り上げた日本独自の自然循環農法を実践している日本でも数少ない農人としての誇りを持ち続けていって欲しい。と・・
 
こんな矛盾を生んだのも農業現場を知らない官僚が仕切る国の有機JAS規程で
り、有機無農薬と言った言葉(概念)が独り歩きを始めているマーケットがそこにあり、地球温暖化が招いた害虫の異常発生である。
 
彼ら二人から出た言葉は、「このままで行きましょう」「そこまでするのであれば、
もっと効率的な大量生産型の農法を取り入れたほうが良い」との回答であった。
彼らには苦労を強いることになる。私が一人歩んできた闘いの道のりを社会経験も乏しい若者がこれから歩むことになる。
 
イメージ 3
       ごぼうの花、これは大変に珍しく、滅多に見ることの無い花。
 
マーケットでは今、何でも有機の風潮に、疑問を持ち出した消費者が特に関東を
中心にして増え始めている。
これは、現状では、一般消費者ではなく、特定消費者層の方々ですが、有機野菜
より自然農の農産物へとシフトし始めている。
過度な(過度になってしまうのだが)畜糞の施肥は、抗生物質を過剰に畑に散布し
畑を窒素過多にすることになる。これは畜糞(これを堆肥と称しているようだ)の化学肥料化現象と私は評している。このことにより、硝酸体窒素が野菜に過剰に含まれることになり、むしろ、人体に害を与える可能性が出てくると言われている。
 
このようにして、一体何を信じたら良いのか分らなくなった消費者が、有機野菜や
自然農野菜を概念や信心の世界ではなく、農業現場を見ようとする動きのようで
す。
 
自然農という言葉もいまでは様々で、特定できるものではないが、私はこのように
思う。
 
「化学肥料と農薬使用の近代農業の対局として現れた有機と言う概念とまったく同じように、自然農は有機野菜の対局から出てきた概念ではないかと思う。つまりは、自然のままに、と言った概念ですが、それでは日本の先人達はそのようなことをやってきたのかと言うと、決してそうではなく、人間が住む里と山の中間に会った
里山から、柴を刈り、その後に落ちた落ち葉を集め、草を刈り、わずかな牛や馬の糞を加えて草木堆肥を作り、柴は焼き、その灰を畑に撒く。といったことを何百年もやり続けてきた農法、即ち自然循環農法こそ、有機野菜であり、自然農ではなかったのか」と思う。
 
それがむかし野菜と命名した理由です。
 
くの有機農家にもあえて苦言を呈するとすれば、できるだけ、自然の草木を加えなさいと言いたい。日本でこの草木堆肥施肥の自然循環農法が蘇るならば、
真に有機野菜は美味しいと言わせることができ、そんな農人が増えれば、このような大きな矛盾を抱えることも少なくなり、消費者の支持も得やすくなるのにと、考えてしまう。
そして、気力を失いつつある既存農家だけではなく、若い人たちがこの取組に参加し、自立を支援してくれる農園に飛び込みなさい。有機農法の形だけを教え、放り出されることで、多くの若者が挫折し始めていることも大きな懸念となる。
社会人としてもっと見る力をつけて、信頼できる農園を見極め、飛び込みなさい。
 
そして、消費者には、世評や概念に惑わされずに、自分の舌と何より自分を信じなさい。感じたままが実は正しいのです。何故なら、無垢な子供の舌は絶対に誤魔化せないからです。彼らは怖い。感じたまま、「美味しくない」とか「美味しい」と表現
できるからです。が故に、むかし野菜は子供さん達に愛され、食べ続けてくれる
ことを目標にしている。
 
当農園のホームページは全てをもやの中に置かず、そのノウハウも含めて全て
公表している。これはこの農法こそが日本の農業を変え、農業で自立できる社会
が生まれることを切望して止まないからです。
そうしない限りは、日本の地方はやがては実質無人の村に化していくことになり、
日本の風土は守れなくなる。
オランダなどでは、露地栽培農家は手厚く保護している。何故なら、国土保全
大きな担い手となっているからです。現在の日本の政治にそれを求めるのは、
無理でしょう。中央と自分しか見えていないからです。
 
多くの農人がそこでは日本古来の自然循環農法に取組み、邑を形成し、その邑に
消費者が沢山訪れる。見果てぬ夢でしょうか?