農園日誌ー春一番

25.3.2(土曜日)曇り、時々晴間、最高温度8度、最低温度1度
 
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    育苗トレイ一杯に育っている春野菜達ーボットへの移植を待つサンチュ
 
現在育苗ハウス内は春野菜で一杯になっている。1~2月の極寒のうちに、種蒔き
をしたもの。
昨日、大分では春一番が畑に吹き荒れ、畑のトンネル張りが畑一面に吹き飛ばさ
れて、今日半日がかりで修復作業を終えた。
一昨日は福岡KBCテレビの取材スタッフが農園に訪れた。畑はそれどころでは
なく、ブロッコリー・キャベツなどの植え込み作業、葉野菜の種蒔き、じゃがいもの
植え込み作業を女性陣を中心にして行う。
 
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まだ小さいが金曜日の雨を見越しての
植え込み。(取材陣もそれに付き合わ
せる)育苗ハウス内で大きく育てるよ
り、地面におろしてやったほうが、
根を張り、結果早く大きく育つようだ。
 
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こんなに小さいキャベツの苗でも
春の暖かさを迎えて、けなげにも
ちゃんと、時季が来ると巻いてくれる。
草木堆肥は低窒素のため、通常の
堆肥量より1.5倍は多めに撒く。
 
 
撮影スタッフさん達には、平野さんの自然農のお米の水田や梨園を案内、その後、
椎茸農家の田北さんの椎茸の圃場へ案内する。
(うまく育て方などを説明してくれるかどうかはらはらの連続だったが、ディレクター
さん、曰く、うまくできましたよ!と・・・)
 
平野さん曰く、「自然の力を借りて育てれば、微生物がしっかりと仕事をしてくれる」
他の圃場では除草剤を毎年使っているので、草の色が違うと(これはうまい!)
 
とりあえず、ほっとする。
 
水田では、むかし、蓮華や雑草に覆われ、地中では小動物や微生物が活き活きと
動き回り、土を耕してくれていた。夏前に田をおこし、山間から水を引き込み、
ミネラル分と腐葉土に含まれた栄養分がお米を育ててくれていた。
現在は、収穫が終わると天地返しと称して、日に当て、土を殺菌し、稲を植え込む
際に、除草剤を散布し、雑草の種を殺し、盛夏には蒸れてきた水田にいもち病
予防のため、農薬を二三回散布する。土はどんどんやせていくのに・・と彼は
言いたかったのではないでしょうか。
 
田北さん曰く、「椎茸を美味しく育てるのに何か秘訣でも」とディレクターさんが質問、
「何もしないことです」と・・次の言葉がどちらからも出ません。
思わず、ほら!ハウス栽培の椎茸との違いは・・と促すと、ようやく持論が出てきた
やれやれ!とほっとする。
 
彼の言葉を要約すると、
彼の言いたかったことは、「山間の寒暖の差を使うと、椎茸が肉厚になり、自然の
力を借りて、実にナチュラルに椎茸が成長する」ということであり、
「人為的にハウス内で温度を上げたり、水分を加えたり、ショックを与えたりすると
確かに多産にはなるが、薄っぺらで味の薄いものしかできない」ということです。
 
ここで私が思うことは、目方や色形でしかマーケットは評価しない。これは可笑しい。
このように不器用ではあるが、美味しく栄養価の高い農産物を作り続ける人達に
光が当たらない現在の流通構造や消費者の感覚にこそ問題があるのでは、と・・
 
とにかく、まずまずではあったと、
 
私のほうは、自然循環農法の説明と、土作りに時間を掛けて取り組んでいること、
それよりも、日本人の先達の叡智を未来に残すこと、未来の農業に取り組んでく
れる若者達(後継者)の育成が最大の課題であること、などを説明し、テレビで、
自然循環農法に取り組んでくれる将来の担い手に呼びかけて撮影は終了。
 
女性陣が用意してくれた、サラダ・蕪類の炒め物・自家製味噌のとん汁・田北さん
の椎茸・平野さんの自然農の握り飯をほうばった時に取材陣の本音がやっと出た
 
「皆一様に、旨い!この旨さは何ですか」と、
リポーターの仕事上の大形なリアクションよりもはるかに大げさなリアクション。
そのほうが真実味があるね。と・・・
お仕事ご苦労さんと言って送り出す。
 
テレビ放映は、3.11(月曜日)午前中朝日系列の「朝です!」という番組だそうだ。
九州全域での放映となる。
 
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今日は又冬に逆戻り
に寒さ。
 
それでも太陽の光は
やさしい。
春はもうそこまで来て
いるようだ。
 
この野菜達は今まで
トンネルの中、いきなり
陽だまりに放り出されて
気持ちよく日光浴。
トンネルが一枚一枚
剥がされる。
 
 
うちの奥さんとの夫婦喧嘩しながら、(理由が何か思い出せない。いつも一方的に
売られる喧嘩だが)帰ってきたら、昨日、一通のFAXが届いていた。
 
「楽しみにしていたお野菜が届きました。香・食感・生で食べられる嬉しさ!
ありがとうございます。次も楽しみにしております」
新潟市、 Aより、
 
文面は簡単だが、実に率直で、全てを語ってくれているようなお便りでした。
 
この方は、当農園の野菜を取ることに随分と躊躇されておられたようで、
何か体が優れないご様子でした。
内の農園もこの方にほんの少しの幸せを送ることができたのかな!とこちらも
何だか二人とも嬉しくなってきました。