農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.9.30(水)曇り、最高温度28度、最低温度19度

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   農園の回りには、あちこちで、曼珠沙華の花が咲き乱れております

 

現在の畑は、夏野菜も落ち着き、秋野菜への移行期となっており、端境期の

真ん中に至っており、皆様へお届けする野菜も、極めて限定的になり、品数

も少なく、お客様へお送りする野菜に四苦八苦しております。

 

初秋野菜である里芋・さつまいもも、乾季があまりにも強烈であったために、

成長が遅くなり、まだ小さいです。

そのため自然農の梨・栗・かぼす・露地ニラ・南瓜などに依存しております。

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                 露地にら

ハウス栽培と比較して丈は短く、葉はしっかりとしており、存在感に溢れております。

 

2020.9.30 旬菜とは?

 

国産野菜の場合、日本には四季があり季節に合った野菜が一番美味しく栄養価

が高いと言われてきた。

しかしながら、大量消費社会となり、物流も進化し、大型流通が市場を支配す

るようになってくるにつれ、地産地消野菜は次第に姿を消し、日本列島、南は

鹿児島から北は北海道の産地野菜が四季の変化と共に、全国に届けられるよう

になった。

又又、農業も主流であった露地栽培が廃れ、促成OR抑制栽培のできる施設栽

培(ハウス)ものへと主体が変化していくのに、そんなに時間が掛からなかった。

かくして、スーパーには、季節に関係なく野菜が並ぶようになり、旬菜の概念が

変わり、いつが旬なのか消費者には分からなくなった。

かっては野菜によって四季を感じ、旬の野菜を使った料理が季節感を醸し出し

ていたのだが、そんな昔が懐かしいとばかりは、露地栽培を標榜する当農園と

しては言って居られない。

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                秋南瓜の定植

今年は秋があるのか、定かでは無い。それでも成長する可能性に賭けてチャレンジしています。

夏の南瓜と違って、秋ものは身が小さく、味は濃い秀逸な南瓜となる。
 

「旬菜が栄養価は高く、美味しく、体に一番良い」と言った定義と言うか、

概念は一体どうしたのか?と問われそうである。

葉物野菜は、夏場には露地では育たない。畑の表面温度は軽く50度を超える。

ハウス内で寒冷紗を掛けて育てたとしても、野菜はその暑さに耐えるため、

表面を硬くし自らを守ろうとする。春秋の旬の葉野菜の柔らかさとは比べよう

も無いほど、不味い。

表面に皮を被り、暑い太陽から身を守る夏野菜(胡瓜・茄子・万願寺とうがら

しなど)は、ジューシーで美味しいし、体の温度を下げたり調整してくれる。

真冬に季節感の無い茄子やトマトを食べたいとは思わない。

体が欲しないからです。

 

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                 露地トマト

現在、市場に出回っているトマトはその95%がハウス栽培のものです。

トマトは水を嫌い、雨が降ると必ず割れます。そのため、今では露地トマトは希少価値があるほど

に少ないのです。私達もこの露地トマトには、試行錯誤の連続でした。収穫のタイミングを誤ると

全て割れてしまいます。

 

本来、野菜はその原産地の気候風土を「種子」が知っております。

トマトは乾燥し暑い南米が原産地です。ですから、水を嫌い、太陽を求めます。

私は個々の野菜の原産地を知ろうとします。その気候風土に合った時季に野菜

を作ろうとしております。

当農園も育苗ハウスを二棟持っております。

そこで、過去にトマトを育てたことがありました。勿論露地トマトが主体では

ありますが。

苦労することも無くハウストマトは育ちました。処が、当農園の皆はこのハウ

ストマトを誰も食べたがりません。同時季に育った露地トマトのみ食しようと

します。

何故なら、甘さはあるのですが、味香りと酸味が乏しく、明らかな差があるの

です。土作りは全く同じ条件なのですが、厚手のビニール一枚があるだけで

こんなにも差が出ている。

何故なのか?それは私にも明確な答えは出ておりません。

おそらく、寒暖差・太陽の光・風など自然環境の下でぬくぬくと育ったハウ

スものは野菜本来の正常な育ち方をしていないからかもしれません。

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              育苗中の秋野菜の苗
 

露地栽培のやっかいなのは、春から夏、夏から秋へと変化する四季の中で、

必ず、端境期と言う野菜欠乏の時を迎えることです。

それでも私は、苦労してでも、露地栽培の旬菜を好みます。ハウス栽培のも

のと比べて、その味香り、食感、旨みなど、圧倒的に美味しさに差があるから

です。

季節の旬菜の美味しさを守る露地栽培農家の著しい減少を憂えております。

是非とも皆様には日本の四季を、その旬菜を、慈しむ頑固な消費者であって

欲しいと願っております。

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              除草作業中の人参の畝

除草剤を使用しない露地栽培に避けて通れない草取り作業。

気の遠くなるような草取り作業の連続です。

 

農園日誌ーⅢーむかし野菜の四季

2020.9.17(木)曇り時折小雨、最高温度28度、最低温度23度

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               現在の2番の圃場

御覧の通り、夏野菜も無く、出荷間近な野菜はここにはありません。

秋野菜一色に染まっています。

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           二番の圃場に咲いた四角豆の花

 

アフリカ原産の秋になると実を付ける豆です。可憐な愛らしい花です。

 

2020.9.17 秋の端境期

 

日本は四季の国であった。四つの季は確かに毎年やってくる。

唯、そこに雨季と乾季が重なり始めている。特に梅雨から夏場に関しては

亜熱帯気候の特徴が濃厚に出始めている。長年露地栽培を行っていると

農業者の肌がそう言っている。

この気候は今までの四季の農業と言う概念を変えさせるものになっていると

言うことです。

農産物の出来不出来が毎年はっきりとし始めている。

去年は茄子が全くダメで、今年は大豆が育たない。6~7月蒔きの人参は

全滅した。

(鋤き込むのもかわいそうなので、少量ずつ安く皆様にお配りした)

そのため毎年の経験値は役に立たない。これは露地栽培農家にとっては大変な

ことなのです。

当農園は、他の農家とは違って単作栽培はしていないため、リスクは分散でき

るのですが、毎週野菜を消費者に届けるとなると、常に同じ野菜と言う訳には

いかない。

この初秋の端境期、異常気象で(とは言っても毎年異常気象ですが)アイテム

不足が生じている。

 

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                葉物野菜と蕪

 

現在、農園では秋野菜の種蒔き・定植を急ピッチで行っている。

8月・9月の初旬頃まで、露地及び育苗トレイに撒いた種はあまりの暑さに

育ってくれない。

ようやく9月中旬、やや涼しくなってきたため、育ち始めている。

但、本来8月に種を蒔く(育苗)ものが9月中旬にずれ込んでいるため、

早くとも10月下旬頃にしか出荷ができない。

その間、農園ではアイテム不足に苦しみ、お客様はいつも同じ野菜に悩まされ

ることとなる。

その悩みをいささか慰めてくれるのが、さつまいも・里芋・筍芋・栗・かぼす

・南瓜などの初秋野菜です。

 

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            赤蕪、根っこもやはり赤い

 

日本の四季は壊れ始めていますが、かろうじて四季の旬菜は形を留めているようです。

それもいつまで続くのか?

次回は現在の旬菜について、お話致しましょう。

 

農園日誌ーⅢーむかし野菜の四季

2020.9.2(水)雨後曇り、最高温度34度、最低温度27度

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            カラカラに乾燥した3番の圃場

 

すでに40日以上雨が降っていない乾期の圃場。

ラクターで起こすと土埃が舞い上がり、砂漠となってしまった畑。

台風襲来を心待ちにしていた。

 

2020.9.2 大型台風襲来!

 

大型となった台風9号が通過していった。期待していた雨はわずかで、

畑の表面をぬらす程度。

続いて台風10号が接近している。これはかなりの大型に成長しそうであり、

九州に大きな被害をもたらす可能性が高い。この雨には期待しているが、

直撃を受けると、夏野菜は根こそぎ吹っ飛んでしまう。

農園は風対策に備えて夏野菜の誘引作業と支柱の補強作業を行う。

それでも何とか耐えられる限度は風速20メートルまでであり、それ以上と

なれば、天を仰ぐしか無い。

この時季の台風は、乾季に苦しめられてきた夏野菜にとっては恵の雨となる。

日本の気候は亜熱帯気候に変わりつつあり、雨期と乾期に分かれていくのか

もしれない。

夏期は、台風が近づいて欲しくは無いが、雨は欲しいと言うのが露地栽培

農家の思い。

進路に当たる九州の被害は出来るだけ少なく、恵の雨は欲しいと願うばかり

である。

同時に、カラカラに乾いた大地に浸み込む雨は、種蒔きの時の恵の雨でもある。

台風は日本においては、悪者扱いされてきているが、この台風が無いと、日本

の農業は成り立っていかないのです。

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むらさき茄子が死に貧している 。実はなってはいるも立ち枯れ掛かっている。

雨をもたらしてくれるはずの台風9号は地表の表面をわずかに濡らした程度。

 

夏野菜の支柱誘引などの補強作業と同時に、種蒔きのための土作り(

堆肥撒き・畝作り)を急ピッチで行わねばならない。明日からは忙しくなる。

乾季の夏にずっと耐えてきた人参は、成長が出来ず、細いまま出荷となった

ため、初秋に出荷する予定の人参が無くなった。取り敢えず、3番の圃場に

畝二本分、種を蒔く。

葉物野菜は4番の圃場に続けて、9番(小原農園)に一本、種を蒔くように

指示。7番(竹内農園)には、秋インゲンの直播きを指示。

後は、蕪数種・聖護院大根金時人参・じゃがいもなどの種蒔きがどこまで

できるか。

育苗トレイに種を蒔いたズッキーニ・胡瓜・秋南瓜が徒長しており、蒔き直し

をしなければならないかもしれない。今日帰り際に、男子全員で植え付けの

作戦会議を行う。

夏野菜が余りの乾季にかなり弱ってきており、初秋出荷できる野菜を植え込ん

でいかねば、夏野菜の後が続いていかない。

台風一過、やや涼しくなりそうで、いよいよ秋野菜の種蒔きが本格化してくる

季節を迎える。

 

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乾燥に強いトマト・ピーマン系の一部も、葉っぱは黄色くなり、立ち枯れたものも

目立ち始めている。台風一過の5番の圃場。

 

先週、日曜日開催のマルシェの売上が目標としていた一日50,000円

を超えた。野菜が30,000円菓子・惣菜が20,000円強、微々たる

ものだが、ここにきてようやく地元大分の方々の常連さん達からの支持が得

られ始めたようだ。

今週の日曜日、農園マルシェの日、台風の動向が気になる。

全国に二百数十名の定期購入のお客様がいる。台風の直撃を食らうと、その

方々への野菜配送は一ヶ月以上は止まる。

となれば、農園配送復旧のため、明日からは秋野菜の種蒔きは急がなければ

ならない。

自然野菜を期待して待って居られるお客様を裏切れない。そのプレッシャーは

かなり重い。

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雨を待ちきれず、葉物野菜の種を二列分、蒔いてみたが、サラダ系野菜はこの暑さで全滅

それでも種を蒔かなければ、野菜はできない。この時季はめげずにチャレンジし続けるしか無い。

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.8.26(水)曇り時折小雨、最高温度35度、最低温度27度

 

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                  バジル

 

2020.8.25  農園主の憂鬱

 

秋野菜の種蒔きシーズンが到来している。畑には夏野菜しか無い。

秋野菜に欠かせない葉物・人参・大根・キャベツ・ブロッコリー・蕪類など、

種を蒔いても雨は降らず、畑は砂漠のように水気が無く、風が吹けば砂塵が

舞い上がる。そこに容赦なく34~36度の日差しが刺す。

育苗トレイに種を蒔いても、寒冷紗を掛けねば発芽した芽は途端に焼き切れ

てしまう。寒冷紗を掛ければ、発芽した苗はもやしのように徒長してしまい、

苗にもならない。

 

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              開封前の醸造味噌

 

農業の現場をご存じない消費者やメディアはその農家の窮状を知らない。

今まで経験したことの無い気候が露地栽培農家を痛めつけている。

味噌作りに欠かせない大豆はすでに三回蒔き直してはいるが、

発芽してくれない。除草剤を使わないため、わずかに発芽した大豆もあっと

いう間に草に埋もれてしまっている。

明日は、35度を超える温度の中で、全員で大豆の圃場の草刈りと除草作業を

しなければならない。体力を使い果たした中での炎天下の作業になり、

気力も萎えつつある。

 

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                オクラの花

 

それでもコロナの影響なのか、テレビ放映(霧島酒造の番組の中)や家庭画報

掲載のせいか分からないが、最近お客様が増えつつある。

真にありがたいことながら、野菜が持つかそれが不安になってくる。

農園主にとって、草木堆肥ができていないことや、野菜が育っていないことが

一番の不安である。野菜を待って居られる仲間達(消費者)へ送る野菜が無い

ことが、最大のプレッシャ―となっており、焦燥感に駆られる。

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              農園の夕暮れ

 

今日もありがたいことに、関東のお客様からメールが届く。

「初めての野菜が届きました。形も色も常の野菜とは異なり、これが自然栽培

の野菜なのか、食べてみると、全てが今までに経験したこと無い美味しさであ

り、是非、継続したい」

いつもであれば、手放しで喜べるところ、今年の晩夏は何故か心が晴れない。

気まぐれな気候の中で、いつもその試練に耐えて頑張っているではないかと、

自分に言い聞かせながら、衰えつつある体を動かす。

 

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.8.26(水)曇り時折小雨、最高温度35度、最低温度27度

 

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                  バジル

 

2020.8.25  農園主の憂鬱

 

秋野菜の種蒔きシーズンが到来している。畑には夏野菜しか無い。

秋野菜に欠かせない葉物・人参・大根・キャベツ・ブロッコリー・蕪類など、

種を蒔いても雨は降らず、畑は砂漠のように水気が無く、風が吹けば砂塵が

舞い上がる。そこに容赦なく34~36度の日差しが刺す。

育苗トレイに種を蒔いても、寒冷紗を掛けねば発芽した芽は途端に焼き切れ

てしまう。寒冷紗を掛ければ、発芽した苗はもやしのように徒長してしまい、

苗にもならない。

 

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              開封前の醸造味噌

 

農業の現場をご存じない消費者やメディアはその農家の窮状を知らない。

今まで経験したことの無い気候が露地栽培農家を痛めつけている。

味噌作りに欠かせない大豆はすでに三回蒔き直してはいるが、

発芽してくれない。除草剤を使わないため、わずかに発芽した大豆もあっと

いう間に草に埋もれてしまっている。

明日は、35度を超える温度の中で、全員で大豆の圃場の草刈りと除草作業を

しなければならない。体力を使い果たした中での炎天下の作業になり、

気力も萎えつつある。

 

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                オクラの花

 

それでもコロナの影響なのか、テレビ放映(霧島酒造の番組の中)や家庭画報

掲載のせいか分からないが、最近お客様が増えつつある。

真にありがたいことながら、野菜が持つかそれが不安になってくる。

農園主にとって、草木堆肥ができていないことや、野菜が育っていないことが

一番の不安である。野菜を待って居られる仲間達(消費者)へ送る野菜が無い

ことが、最大のプレッシャ―となっており、焦燥感に駆られる。

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              農園の夕暮れ

 

今日もありがたいことに、関東のお客様からメールが届く。

「初めての野菜が届きました。形も色も常の野菜とは異なり、これが自然栽培

の野菜なのか、食べてみると、全てが今までに経験したこと無い美味しさであ

り、是非、継続したい」

いつもであれば、手放しで喜べるところ、今年の晩夏は何故か心が晴れない。

気まぐれな気候の中で、いつもその試練に耐えて頑張っているではないかと、

自分に言い聞かせながら、衰えつつある体を動かす。

 

 

農園日誌Ⅲー、むかし野菜の四季

2020.8.19(快晴)最高温度35度、最低温度26度

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              茄子の最盛期を迎える

 

去年、茄子の不作となり、その教訓を活かし、今年は中耕・剪定誘引管理に

気を張ってきた。その甲斐があり、この酷暑の中、枝には茄子が鈴成り状態。

その元気を持続させるため、男性スタッフ達が連日の水遣りをしてくれている。

 

2020.8.17 台風襲来を待つ

 

今年の気候は・・と毎年言っているが、またしても記録的な暑さをもたらして

いる。そもそも日常的に最高温度が35度以上と言うことは今まで無かった。

それもさることながら、梅雨期の集中豪雨により、野菜達は土が塊り、

酸欠状態に陥る。一転して雨が降らない乾期へ突入してくる。

こうなると露地野菜達は息つく暇も無く、成長が阻害され、花落ち、実落ち、

葉っぱは黄色く変色してくる。生きているのがやっとの状態となる。

どうやらこの気候変動は恒常的になっているようで、特に露地野菜の栽培は

年々厳しさを増してくることになる。

農人は固まった土をほぐし(畝上げ)、乾季にはタンクに水を積み、散水を

繰り返し、一所懸命に野菜を助けようとするが、やはり天から降ってくる雨の

力には勝てない。

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茄子は葉っぱが茂り、側枝が無数に出てくる。そうなると光と風が入らず、茄子の場合

常の剪定誘引作業が欠かせない。古い葉っぱや無駄な側枝や茂った葉っぱを摘除し、透いて

やらねばならない。この作業が中々に根気の要る作業である。経験と勘も要る。

 

その時、露地栽培農家を、そして野菜達を救ってくれるのが、台風ということ

になる。

大型台風の直撃を受けて全滅になることもしばしばではあるが、台風は露地

栽培には決して欠かせない天の差配である。日本の気候(四季)は真に良く

出来ている。

これが最近の数十年で徐々に変化してきており、四季が壊れ、年々厳しさを

増している。

今までであれば、8月の盆明けには、何の種を蒔いてと言ったセオリーは最近

の気候ではもう通じない。

 

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翡翠茄子; 白茄子などと同じ系統の茄子。味は繊細で、クリーミー

 

当農園では、捨て植えを良くやるようになった。一か八かで種を蒔いてみる。

概ね失敗するが、時には希に成功することもある。

こんな繰り返しをしているのです。

現在、個人・飲食店を含めて全国に二百数十名の定期購入のお客様が待っている。

農園を信頼して、自らの健康のために、自然循環農法による自然野菜を待って

居られる方を裏切るわけにはいかない。この自負心とプレッシャーが我々の

精神力を支えている。

今週末頃、気候の変わり目を迎えるかもしれない。それでも最高温度は33度

である。ようやく秋野菜の植付け・種蒔きを始められる。

今日、育苗トレイやポットに胡瓜・ズッキーニ・秋インゲン・ブロッコリー

などの種を蒔いた。

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三色茄子; 紫・白・緑の三種ある。こちらは東南アジア原産の品種で、炒め物に合う。

 

2020.8.12(水)晴れ、最高温度34度、最低温度25度

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          由布市庄内の穀類専用畑に大豆を蒔く

 

今年の暑さは尋常では無い。日差しは強く、雨はすでに4週間降っていない。

土はぼこぼこ、土埃が舞い上がる。畑の温度は40度超え。

来年用の味噌作りのための大豆ができるのか、それが心配。それでも種を

蒔かねばできない。すでに二回種を蒔き直した。

一度目は、余りの湿気(梅雨明けに種蒔き)に種が腐ったようだ。二回目は

乾季の中での種蒔きとなった。

 

 

2020.8.5 コロナ時代に「食を考える」その三 どのように生きる

 国家は一体誰のためにあるのか?

国家VS民権と言うテーマはいつの時代にも大きな問題とされてきている。

これは、明治時代の日本国家の創世記にも、国力を上げようとした時の

為政者達の施策によって、多くの国民の血を流し、そして、現在の政権に

繋がっている。

民権の代弁者であるはずのメディアや報道関係も国の権力やスポンサーに

忖度しており、正確な情報を伝えようとしていない。

国の体制側には、必ずと言って既得権益が生じ、その「権益」を守る側に、

官僚も役所も政治家も居る。

それらの権力を監視する側の国民の「民意」がメディアも含めて機能して

いない時に、世界規模でコロナウィルスが襲ってきた。

経済を守るために、また、政治家自らの立場を維持するために、政治は動きを

止め無為無策にやり過ごそうとしているようにしか見えない。自浄能力を失っ

た国の形が見えてくる。

それらの政治家を選んだのも国民であり、どこか悲しい。

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除草剤を排し、化学物質の入っていない草木堆肥を振り、手作業での除草を行い、

ようやく採れた穀類を使った様々な加工品群。

 

中国との関係悪化などで行き場を失ったアメリカの農産物、その救済にと、

アメリカから日本への食品輸入を加速させようとしている。

日本の農業が死滅していこうとしているのに、と言う腹立たしささえ感じて

いる。

肥育ホルモン漬けとなった牛肉・豚肉、遺伝子組み換え作物、添加物に塗れた

輸入食品群など、その危険性を国民に知らせずに輸入を促進しようとしている。

日本国民はモルモットではない。

日本の農業の死滅危機・食品の危険性、そのいずれもメディアは報じようと

していない。

 

民意とは一体何か?国民の総意とは何か?

正しい情報を知る努力をしない人、自分にしか目を向けない人、世評に流さ

れる人、自己過信しかなく謙虚さを失った人達にとっては、報道の裏側・施策

の裏側にも正しい情報が隠されていることにも気がつかない。

 

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         積み上げた草木堆肥の上で遊ぶ子供達

計測不能な程の菌類に囲まれて育った子供達。草木堆肥や露地栽培そのものが自然循環の仕組み

であり、菌類との共生の生き方なのです

 

自らの意見を持たず、大多数の国民が己しか見ていない国民には真の「民意」

は無いのかもしれない。コロナ感染者をまるで魔女狩りの様に扱う寛容性の

無い人達などを見ていると、体制に従わない人達を抑圧し続け、不幸な大戦に

突き進んだ時代に、今の日本の世相が酷似している。

全世界が目に見えない新型のウィルスの恐怖に襲われており、経済は停滞せざ

るを得ない状況に追い込まれている。こういう時代だからこそ、一度、立ち

止まって、自らの周辺を、様々な情報を見直してみることも必要ではないで

しょうか・・・