2020.8.12(水)晴れ、最高温度34度、最低温度25度

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          由布市庄内の穀類専用畑に大豆を蒔く

 

今年の暑さは尋常では無い。日差しは強く、雨はすでに4週間降っていない。

土はぼこぼこ、土埃が舞い上がる。畑の温度は40度超え。

来年用の味噌作りのための大豆ができるのか、それが心配。それでも種を

蒔かねばできない。すでに二回種を蒔き直した。

一度目は、余りの湿気(梅雨明けに種蒔き)に種が腐ったようだ。二回目は

乾季の中での種蒔きとなった。

 

 

2020.8.5 コロナ時代に「食を考える」その三 どのように生きる

 国家は一体誰のためにあるのか?

国家VS民権と言うテーマはいつの時代にも大きな問題とされてきている。

これは、明治時代の日本国家の創世記にも、国力を上げようとした時の

為政者達の施策によって、多くの国民の血を流し、そして、現在の政権に

繋がっている。

民権の代弁者であるはずのメディアや報道関係も国の権力やスポンサーに

忖度しており、正確な情報を伝えようとしていない。

国の体制側には、必ずと言って既得権益が生じ、その「権益」を守る側に、

官僚も役所も政治家も居る。

それらの権力を監視する側の国民の「民意」がメディアも含めて機能して

いない時に、世界規模でコロナウィルスが襲ってきた。

経済を守るために、また、政治家自らの立場を維持するために、政治は動きを

止め無為無策にやり過ごそうとしているようにしか見えない。自浄能力を失っ

た国の形が見えてくる。

それらの政治家を選んだのも国民であり、どこか悲しい。

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除草剤を排し、化学物質の入っていない草木堆肥を振り、手作業での除草を行い、

ようやく採れた穀類を使った様々な加工品群。

 

中国との関係悪化などで行き場を失ったアメリカの農産物、その救済にと、

アメリカから日本への食品輸入を加速させようとしている。

日本の農業が死滅していこうとしているのに、と言う腹立たしささえ感じて

いる。

肥育ホルモン漬けとなった牛肉・豚肉、遺伝子組み換え作物、添加物に塗れた

輸入食品群など、その危険性を国民に知らせずに輸入を促進しようとしている。

日本国民はモルモットではない。

日本の農業の死滅危機・食品の危険性、そのいずれもメディアは報じようと

していない。

 

民意とは一体何か?国民の総意とは何か?

正しい情報を知る努力をしない人、自分にしか目を向けない人、世評に流さ

れる人、自己過信しかなく謙虚さを失った人達にとっては、報道の裏側・施策

の裏側にも正しい情報が隠されていることにも気がつかない。

 

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         積み上げた草木堆肥の上で遊ぶ子供達

計測不能な程の菌類に囲まれて育った子供達。草木堆肥や露地栽培そのものが自然循環の仕組み

であり、菌類との共生の生き方なのです

 

自らの意見を持たず、大多数の国民が己しか見ていない国民には真の「民意」

は無いのかもしれない。コロナ感染者をまるで魔女狩りの様に扱う寛容性の

無い人達などを見ていると、体制に従わない人達を抑圧し続け、不幸な大戦に

突き進んだ時代に、今の日本の世相が酷似している。

全世界が目に見えない新型のウィルスの恐怖に襲われており、経済は停滞せざ

るを得ない状況に追い込まれている。こういう時代だからこそ、一度、立ち

止まって、自らの周辺を、様々な情報を見直してみることも必要ではないで

しょうか・・・

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.8.5(水)晴れ、最高温度34度、最低温度26度

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          剪定誘引作業を終えたトマトと夏野菜達

 

トマトは、60メートルの畝が10本。

剪定誘引・芽掻き作業を一通り終えると、もう最初に剪定した畝のトマトは

すでに暴れ回っており、また最初の畝に戻り剪定作業を行わなければならない。

その繰り返しを10月終わり頃までし続けねば、すぐにブッシュになり、

風や光は通さないし、ミツバチの受粉はしないし、害虫が発生する。労力の

塊です。今年は、その作業を諦めずに続けており、トマトは今の処、豊作です。

 

2020.8.1 コロナ時代に「食を考える」その二 自然体の生き方

 

最高温度34度、最低温度25度、気象庁が出した8月の気温予報です。

畑の地表面の温度は軽く38度を超えて、40度弱と言った処か。これから

8月下旬頃までこの温度が続き、雨は台風が襲ってこなければ降らない。

地表は乾き、乾季がやってくる。

軽トラックにポンプを積み、毎日10カ所の圃場に散水して回ることになる。

夏野菜達は、日中は酷暑に晒され、うなだれながら耐えて、夜になると露が

降りて息を吹き返す。

そんな圃場の中で、農人達は早朝から畑に出て収穫や作業を行い、日出しの

強い日中はトマト・茄子などの剪定作業を行い、夕方から力仕事を行う。

夏は人と野菜の忍耐の日々が続く。

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        茄子の圃場、10種類の茄子が植わっている

トマト同じように剪定誘引作業を行い続けねばならないのがこの茄子です。

古い葉っぱと生命力の弱い枝は常に落とし、風と光の道を作ってやらねば、

ミツバチは寄ってこない。炎天下の中、トマトに行ったり、茄子に行ったりの繰り返し。
 

8月中旬頃から育苗トレイに秋野菜の種蒔きが始まり、9月初旬になると

一斉に定植を行う。

この頃、暑さのため、眠っていた畑が始動を開始、一斉に秋冬野菜の直播き

も行う。そのため、夏場、草木堆肥の作り溜めを行う。

日本人が古来から行ってきた草や木・葉っぱなどによる草木堆肥には、土着菌

が棲んでいる。草木堆肥を永年施肥していると、雨が降った後には、畑からキ

ノコ(菌)が生えてくる。

江戸時代の農業本には、「キノコが出てくる畑は理想の土」と書いてある。

小動物・小虫・微生物・放線菌、そこには当然にウィルスも棲んでいる。

サルモネラ菌もオー157も居る。

コロナウィルスはどうだかは分からないが・・・!

貴方の畑は「危ないではないか」とおっしゃるかもしれないが、自然界とは

そう言うものだ。

かれこれ20年ほど全国に野菜をお届けしているが、菌に冒されたと言った話

は無い。土が付いた手で食事をすることもあるが、20年ほど、歯医者以外は

行ったことが無い。

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 学者は良性菌・悪性菌と区別しているが、そもそもそれは、人間にとって

良いか悪いかと、言うだけであり、自然界からすれば、そんな差別は無い。

自然界の微生物は、互いに競い合い、助け合い、自然を浄化し、特定の菌だけ

がはびこることもなく、真に不思議なほど、自然界のバランスを保っている。

この自然浄化の仕組を使って、微生物と・菌類と共生してきた農業が日本人の

自然循環農業なのです。

やれ!滅菌・除菌・抗菌などと称して、自分の身辺の菌を殺し続けても、

「菌」の生命力に適うはずも無い。人の体には、腸内細菌も含めて無数の菌が

棲んでいる。

保健所が衛生管理という立場で、調理場・加工場・漬物工房などを無菌状態に

することを勧める。しかしながら、ここに悪性菌が一つでも入り込めば、

敵は居ないため、一瞬のうちに蔓延する。

むしろ、菌との距離を置くのでは無く、菌との共生、即ち、自然浄化の仕組み

の中に身を置くことに慣れた方が、自然体なのです。

何故なら、人間も多種多様な菌類や微生物から進化した地球上の一つの

「生命体」に過ぎないからであり、生きているのでは無く、

生かされているのです。

 

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           草木堆肥の切り返し作業風景

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    草木堆肥を積み上げて20日ほど経過すると、白い放線菌が増殖している。

    もしも、この菌類が地球上に居なければ、世界は死骸に充ち満ちている。

    自然環境を守ってくれているのですね。

 

今日は農園主の誕生日で、71歳になります。

草・葉っぱ・剪定屑などを使った草木堆肥による土作りを行って、すでに実験

期間も含めて30年になろうとしている。その中に棲んでいる多種多様な

微生物・菌類と共生してきた。

銀行員時代とは違って、多少体はきついけど、9人の孫達も含めて、皆、

健康で居られるのも彼ら菌や微生物のお陰です。

健康体であろうと思えば、便利さとは多少距離を置き、食品添加物に塗れた

食をやや遠ざけ、健全な農産物やその加工品を取り入れた食生活を行い、

コロナウィルスなどの悪性な菌から体を守ってくれるであろう免疫力を高めて

いくことしか無いと思うのですが・・・

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.29(水)曇り、最高温度31度、最低温度25度

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   梅雨の集中豪雨の間、すっかり雑草の覆われてしまった3番の圃場

 

絶望的な風景ですが、これから根気強く草刈り・除草と並行して、トラクター

で起こす作業が続く。

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梅雨の晴れ間の間に堆肥を振り、耕し、畝を立て、人参・黒大豆の種を蒔く。

ようやく半分は除草し終えた。

 

 

2020.7.28 コロナ時代に「食を考える」その一 現代社会とは!

 

今週から日中温度33度、炎天下での作業となり、農人にとっては体力の

消耗戦となる。梅雨末期の大量の雨により、土中は水を含み、細かい土の

粒子が固まり、野菜達は酸欠状態(仮死状態)に陥っている。中耕作業に

よって、取り敢えず畝下から酸素が入り、復活するもの、死んでいくもの

に分かれていく。

中には体力の弱っている夏野菜は、雨が降らない乾季となり、徐々に落ちて

いくものも出てくる。生き残りを掛けたサバイバル競争となる。

これが露地栽培野菜です。

このように露地野菜達は、厳しい自然環境変化の中で、日常的に生き残りの

ドラマを繰り広げております。そのため施設(ハウス)栽培野菜とは異なり、

時間を掛けて露地野菜達は逞しく育ち、栄養価も高いのです。

 

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梅雨の間、深く立てた夏野菜の畝は、度重なる集中豪雨によって、流れ出した土によって埋まって

しまう。それを中耕と言って、鍬で一畝ずつ、掘り下げてやって、除草作業と共に修復してやる。

 

人間界では、コロナウィルスの脅威がさらに増しており、社会の在り方が

問われている。

そうは言っても、人は生きていかねばならない。

生きるためには、働かなくてはいけない。

「お金を稼ぐ」とは、大きく分けて生産・加工・販売・その他サービス業の

4つの業種に集約され、いずれかの業種に携わらなければならない。

社会がグローバルになるにつれ、大量消費社会となり、本来的には重きを置か

ねばならない筈の生産業種の社会的地位が低下し始め、「お金を稼ぐ」と言う

点において、流通やその他サービス業種の地位のほうに重きを置かれて行き、

社会で働く人々は「きつい」「汚い」「辛い」などの生産業種から離れていく。

楽な仕事を選び、「安・近・短」な消費文化が進み、マネーはそちらのほうへ

流れていく。

命の原点は「食べる」ことにある。その代表的分野である農業はただでも、

「きつい」「汚い」「辛い」の代表的な産業分野である。

しかも農産物価格は、命の次に重要である「食」の代表的な商品であるにも

かかわらず、極めて低く設定されている。生産者が自ら作った農産物の価格を

決められないのです。

消費者市場は、流通に握られており、如何に労力を掛けて知恵を絞って、

健全で、美味しく栄養価の高い露地野菜を生産しても、より簡単に生産できる

ハウス栽培野菜に負けています。

 

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一週間の間に、約5反(1,500坪)の草に埋もれた圃場に堆肥を振り、耕耘し、大豆の種を

蒔き、管理機で土を掛け、大豆畑を完成させた。

スタッフ層での作業となり、蒸し蒸しする梅雨の間の作業となり、スタッフ一同、口をぱくつかせ

、あえぎながら何とか作業が完了した。明日は庄内地区の5反が待っている。

 

農園も、ほんの小さな面積ではあるが「育苗ハウス」を二棟持っている。

偶々、緊急避難的に野菜を育てる時もある。

この育苗ハウスでも他の露地の畑と同じように、草木堆肥しか施肥していない。

例えば、早春時季、サラダセットを育てると、露地栽培では、およそ2ヶ月の

生育期間を要するが、ハウス栽培では、1ヶ月強で育ってしまう。

しかも、生産リスクは少なく、育苗管理もし易く、大きさは倍ほどに育つ。

(これが化学肥料であれば、さらに生育期間は短い)

ハウスで育った野菜を食べてみると、成長が早い分、味香りとも大味で、

葉肉も薄く、歯切れがかなり劣る。

 

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農園マルシェも何とか軌道に乗り、固定客も付き始めている。そうした中、トマトが酸っぱく、

子供が食べないと言う消費者からの意見が出ているとのこと。

農園主はそれでも酸味があり、味香り高く、旨みの詰まっているこのトマトを変える気は全く無い。

このトマトは全国にも無く、桃太郎と言う子供向けに開発された酸味の無い味香りの薄い甘い

トマトが全国で栽培されている。

固定のお客様にお聞きすると、こう応えた。「子供が酸っぱくて食べないと言うのであれば

来なければ良いのに!この農園は理解されるお客様で十分ではないですか」

「うちの子供は調理をしようとしても、届いたトマトはその暇も無く食べてしまいます。

私の口には入りません」と・・・

 

当農園ではハウスものの価格は露地野菜の0.8掛けで出荷しているが、

流通(販売店)では、むしろ露地栽培野菜より高く売られている。

見栄えが良いからです。

立派で見栄えが良いだけで、ハウス栽培野菜のほうが露地栽培野菜よりも価格

が高いことになる。生育期間は短く、リスクも少なく、管理は簡単であるにも

拘わらず、誠に可笑しな話である。

なるほど、農産物価格は、手間を掛けて、いくら健全で美味しい野菜作りを

生産しても流通・消費者市場はその価値を認めてはくれないのですから、

現代農業も「安・近・短」な栽培方法ににならざるを得ないのかもしれない。

 

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平穏・安逸に慣れていた日常に、突然自然界から襲ってきたコロナウィルスが

人間界を震撼させている。

人間界にとって、これは理不尽そのものですが、自然界からみれば、利便性を

追求し続け、自然を壊し汚し続ける人間の営みのほうが理不尽に思えるだろう。

地球上に棲むウィルスも含めた微生物・植物も含めた生命体が持続可能な自然

環境のサイクルを如何にして維持して行くのか、便利さに慣れた人の欲を如何

にして制御して行くのか、自然界から逆に試されているのかもしれない。

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.22(水)曇り、最高温度31度、最低温度26度

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     雑草の生い茂った穀類の圃場に草木堆肥を振っている処

 

7.21.女性陣も駆り出されて、三カ所、およそ5反の穀類畑に大豆の

種蒔き用の畑を作っている処。余りの暑さに1.5人がふらふら状態。

命の危険がある作業となった。

梅雨明けが定まらず、大豆の種蒔き適期はとっくに過ぎている。

元々、水田であった穀類畑は湿り気を含み、雑草が生い茂っているため、

乾いてくれない。

一度耕してからとなると、草木堆肥を満載した軽トラックはすぐに埋まり

込んでしまう。そのため、雑草が茂ったままの状態で堆肥を振る。

この日も三回は埋まり込み、全員で押してようやく脱するような状態。

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化学肥料などの現代農業とは異なり、自然循環農業にはこんな苦労は付きもの

健全な農産物を生産するとはこんなものです。

 

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当日、すぐにトラクターで耕すも湿気は抜けず、翌日に約5反の圃場を再度

耕し、7.22と7.23日の両日で種を蒔き、管理機で被覆する。

作業を終えたのがごご8時過ぎとなった。しかも連日である。

 

7.23日午後から3日ほど、梅雨最後の豪雨が降る予想であり、それまでに

作業を終えねばならない。まだ、由布市庄内にある5反の圃場が残っている。

これを終えないと、当農園は、夏が始まらないのです。

スタッフ全員すでに体力は使い切っており、早く楽にさせたい。私も含めて。

 

2020.7.20 大豆作り

梅雨明けがはっきりとしない。

農園では梅雨明けと同時に大豆作りが始まるが、今年は梅雨の終わりが見えず

苦慮している。

夏野菜の管理・除草作業を横目に見ながら、畑から水が引くのを待ち、

ラクターを入れる。

そこに、軽トラックに満載した草木堆肥と焼き灰を振る。梅雨の間に振った

雨によりぬかるんだ圃場に埋まり込み、立ち往生をすることもしばしばである。

それでもこの地域では、7月20日前後が大豆の種蒔適期となっており、

遅れれば、秋冬の麦作りに大きく影響が出てくる。ゆっくりと待っているわけ

には行かない。

除草剤を使わないため、毎年雑草には苦しまされる。本当は一週間間隔で

耕耘すれば、雑草の発芽をやや遅らせることができるのだが、そんな猶予は

与えてくれない。

圃場の合計は5枚の約3,000坪である。雑草との格闘が、また、始まる。

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           冬は麦を植え、晩春に刈り入れを行う
 

「お米も含めて穀類栽培には、除草剤は不可欠である」と言うのが農業者の

常識である。

やってみてそれが現実のものになった。収量はほぼ半分。全滅したことも

しばしばであった。

雑草に負けたのです。それでも除草剤は決して使えない。

多くの現代病は化学物質・除草剤・浸透性農薬・食品添加物が主な要因で

あり、現代人はその脅威に晒されている。その怖さを分かっている人が

どれほどいるのだろう。

 

当農園の穀類専用の畑は水田の跡地である。この圃場に除草剤も使わず低窒素

である草木堆肥で土作りを始めてから今年で6年目を迎える。

野菜の圃場は年に3~4回ほど、穀類の圃場は、麦と大豆を交互に植える

ため、年に2回しか草木堆肥を入れない。

それでも、土壌は確実に進化しており、微生物層ができて団粒化も進んでいる。

 

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    自然農の米麹と蒸した大豆を合わせる。塩は天然塩を使用

 

大豆は、主に味噌作りの原料となる。時折、焙煎して黄な粉にするか

蒸し大豆として皆様にお届けしている。

大手の味噌醤油メーカー(ほとんどが化学合成製品)とは異なり、自然農の

お米を麹にして、海の塩と合わせて、無添加醸造味噌を作っている。

おそらくは、化学物質が一切入っていない無添加醸造味噌は当農園しかない

であろう。

旨みを出すために化学合成アミノ酸グルタミン酸などを加えている化学合成

味噌と比べて発酵食品である醸造味噌は旨みが深く、体が何の抵抗もなく受け

入れてくれる美味しさがある。

全国2百数十名のお客様(定期購入)の支持率98%がそれを物語っている。

梅雨明けと同時に、太陽が照りつけ、今年はとりわけ暑い夏がやってくる。

 

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              お米に麹の花が咲いた

農園日誌ーⅢーむかし野菜の四季

2020.7.15(水)曇り時折雨、最高温度25度、最低温度20度

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ようやく、梅雨末期の集中豪雨も収まり、今日は数週間ぶりの太陽や青い空が

わずかながら覗かせてくれました。

これから、農園は雨で固まった土壌の修復作業が待っております。

 

2020.7.10 完熟野菜に何故こだわる

 

当農園では、10数年前から「サラダセット」と言う人気NO1の商品がある。

ベース野菜に水菜・赤ほうれん草・レタスを、辛子系としてマスタード系・

辛子水菜を、アクセントとしてルッコライタリアンパセリ、彩として

トレビス(ビター)スイスチャートなど7~8種類のサラダ系野菜のセット

です。全て完熟して大人になってから出荷を行う。

市販されているベビーリーフはその名の通り、未だ幼い野菜のミックス

サラダですが、味香り乏しく栄養価は低い。

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「美味しく栄養価の高い野菜とは、どのような野菜のことか?」

「美味しさ」を定義すると、「甘い・味香りがある・歯切れが良い、

そして旨味がある」

「栄養価が高い」を定義すると、「糖質・ビタミン・ミネラル分」に行き着く。

 

野菜は主に窒素分により成長する。窒素を多く施すと野菜の中に成長酵素

ミトコンドリア)が生まれ続け、窒素が土壌にあり続ける限り、肥大成長は

止まらない。

そのため、有機・無機栽培を問わず、窒素過多の土壌で育てられた野菜は、

成長途上で収穫出荷される。

成長途上で収穫された野菜は、葉や実及び茎に硝酸態窒素(毒素)と共に

でんぷん・炭水化物が蓄積されている。故にそのような野菜は苦さを感じる

ことが多い。でんぷんは苦いのです。

 

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他方、草木堆肥のような低窒素栽培の野菜は、成長がゆったりで、骨格を

形成するミネラル分も吸収し、充分に根を張り、茎は太く葉や実は分厚い。

二か月半ほどで土中には窒素が切れてくると、成長酵素は無くなり、

成長が止まった野菜達は、生き残りを掛けて、でんぷん等を分解し、糖質

やビタミンに変え、栄養価として自ら吸収しようとする。

人間も野菜も同じです。

これが完熟野菜となる仕組みなのです。

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表面に線虫痕が見えるさつまいも。土中消毒をしていない証です。

さつまいも・南瓜などは、果実と同じで、収穫した後、約一ヶ月ほど、寝かせる。

すると、野菜自らが生き残ろうとして、中に蓄えられたデンプン質を分解して糖質やビタミン類

へ変換します。(糖質等に分解しないと野菜も栄養価として吸収できません)

これを追熟と称します。

 

このように見てくると、美味しい野菜とは栄養価の高い野菜のことなのです。

 

その美味しい野菜を作り続けて行くには、野菜の成長過程を見守り、

窒素が切れ、熟れ始めるその瞬間を見極めています。

つまりは、完熟野菜となるのを待って収穫を行います。

唯、理解して頂きたいことは、命を終えようとする完熟野菜ですから、

傷みやすいことも、また事実なのです。

皆様はそのリスクを生産者と共に負っていることになります

美味しさと栄養価がその代償です。

むかし野菜の定期購入者は、価値観を共有する仲間と言う事になります。

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草木堆肥を施肥している土壌には、放線菌が棲み着いており、雨が降った後には

このようにキノコが生えてきます。 この状態がむかしの人達が言っている良い土の証です。

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.8(水)雨後曇り、最高温度28度、最低温度23度

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              茄子の剪定誘引作業

 

昨夜からの集中豪雨は朝方、止み、ぬかるみの中で収穫作業を行う。

畝下には、土が流れ落ち、根は酸欠状態になっている。

数時間バケツをひっくり返したような雨が降り続き、この地域でも避難中の

車が流され行方不明者が出たり、家ごと、川に流されたり、大きな被害が

出ている。

圃場は高台に位置しており、冠水する事は無かったが、野菜達は、ずぶずぶに

水を含んだ土の中で、根が呼吸困難に陥っている。

また今晩から梅雨前線が北上してきており、同じような線状降水帯ができる

ようだ。野菜達が頑張ってくれることを祈るしか無い。

 

2020.7.2 梅雨の末期

 

今週の(7.3)金曜日から梅雨前線が西日本に停滞し、雨が降り続くとのこと。

梅雨の末期となると、毎年、雷が鳴り、集中豪雨が日本全体を襲う。

農園主はその天気を読み、その前に、種蒔き・定植・支柱立て・剪定誘引作業、

そして、除草作業を7.2(木曜日)迄に済まそうと、スタッフ全員で夕方

(最早夜でしたが)遅くまで、追い込みを掛けた。全員くたくたになっては

いたが、頑張り通した。

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   除草・支柱立て・剪定誘引作業が豪雨の前に、何とか終えることができた5番の圃場

農業者には労働基準法など無い。最低賃金なども無い。

朝、日が昇ったら畑へ出て、日が暮れたら家に帰る。

畑を耕し、堆肥を撒き、種を蒔き、植え込んだ野菜の成長を見守り、

必要な時、手を出し、野菜達がして欲しいことをしてやる。

子供を育てるかのように・・・

そして、野菜達と会話が出来るようになって初めて農業者になれる。

 

それでも自然は理不尽さに満ちており、いきなり集中豪雨がやってきたり、

台風に見舞われることもあり、野菜達が潰されていくのを、唯、見守ること

しか出来ない時もある。

それでも野菜達は農業者が手を入れれば入れるほどに応えてくれる。

決して裏切らない。

農人は農産物を育てていると、野菜達から癒やされ、やさしさをもらう。

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               蔓紫・青紫蘇
 

ご近所のおばあちゃんが毎日畑に出てくる。もう90歳を越しているのでは

ないだろうか。息子達から、いい加減に畑を止めなさい!野菜は買ってくれば

良いのだからと言われる。

おばあちゃんは、「野菜達が待っているから!」と今日も畑へ出向く・・・

このおばあちゃんにとって、野菜は、畑は、生活の一部であり、生きること

そのものなのです。

 

昨日、北九州からあるご家族が農園を訪れた。

長女が極度のアレルギーに見舞われ、生死の境を行ったり来たりの重篤な状態

であったとのこと。

数軒のお医者さんに連れて行き、様々な治療をしてもらったが、その度にさら

に悪化していったそうだ。

見るに見かねて、薬品投与を一切断り、家に連れて帰った。

その後、食べることに細心の注意を払い、あちこちの農園を訪ね歩いた。

有機野菜の実態と生産者の本音を聞いて愕然としたとのこと。

その日も長女を連れての来訪であったが、農園のコロッケを食べてもらった。

パン粉は農園のブレンド粉で焼いたパンであり、一切交配をしていない古代麦

と、除草剤を廃し草木堆肥を5年以上施肥して育てた低窒素栽培のブレンド

小麦粉である。

「食べてみるかい」と言って食べさせると、その娘さん、「美味しい」

と言って、微笑んだ。

翌日、そのご家族から電話が入り、買って帰った野菜を全部食べた。

ブレンド粉でかりんとうを作った。みな、何の問題も無く美味しく頂いて

おりますと、感謝の電話であった。

 

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この農産物を食べてくれるのは、全国2百数十名の飲食店及び個人の定期配送

のお客様と、農園マルシェに訪れる数十人のお客様しか、今はいない。

近い将来、むかし野菜のスタッフ一同、胸を張って生きていける職業を、

そして農産物作りを、選んだことが誇りに思える日が来ることを願う。

 

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.1(水)曇り、最高温度28度、最低温度18度

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        びっしりとトマトが成っている

 

今年トマトは70mの長さの畝が10列分植わっている。

明けても暮れても、農園主はトマトの除草・剪定誘引作業に

追われている。時折、茄子の剪定誘引作業を行う毎日。

 

トマトはちょっとの期間、放って置くと、葉は生い茂り、脇芽

は伸び、あらぬ方向に暴れ始める。

すると、密集してしまい、風や日光は入らず、虫が大量に発生

する。当然にトマトは腐ったり、虫食いだらけになり、商品

とはならない。

今年は、突然に訪れてきた別府在住の奥様が加わってきたため、

ちなみにトマト・茄子などの剪定誘引作業を、現在、特訓中。

畑仕事が新鮮で楽しいそうだ。

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2020.6.30 「ミツバチが飛ばない」

 

農業は、近代になって飛躍的に生産量を上げてきたと言われて

いる。18世紀頃から硫安と言う窒素肥料の発明、その後も

化学肥料と並行して農薬の普及がそれを可能にした。
その当時、日本の農業は、草・葉っぱ・人糞による草木堆肥や

厩肥などで行われていた。
20世紀になって、特に戦後から、日本でも食糧増産政策が

採られ、機械化と共に、近代農業へと大きく梶を切っていった。
国と地域農協、そして全国農協組織を挙げてアメリカ方式の

農業の近代化が進められた。
その結果として、日本の農業現場から、草木堆肥を使った自然

循環農業は徐々に姿を消し、日本独自の有機農業=自然栽培

農業は、その痕跡すら消え去っていった。

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           破砕作業の風景


欧州では、化学肥料&農薬を使った近代農業に大きな問題が

発生し始めていた。
それは窒素過多となった土壌汚染の問題であり、地下水脈が

繋がっている欧州では、土壌に蓄積し続けた窒素分が硝酸態

窒素(毒素)に姿を変え、地下水を汚染し始め、ブルーべー

ビー(血液が青い)が誕生した。
これは当時社会問題となり、第二次世界大戦後、化学肥料を

抑えた農業を模索し始めた。
そこで彼らが目を付けたのが、戦前から行われていた日本の

自然循環農業であり、日本からその農法を学び、欧州版のオー

ガニック農法(草堆肥)が一部の人達に取り入れられ始めた。

日本では、進み過ぎた近代農業に危惧を抱き、食の安全性を

唱える極く一部の農業者や消費者達がグループを組み、日本

独自の有機農業を復活させようとした。
その取組がほぼ30年ほど続き、国が有機農業に対して

法規制を加え、誕生したのが、欧州オーガニック農法を

真似た「有機JAS法規」であった。

その名目は消費者の安全を守るためと言う事にあった。

農薬・化学肥料・除草剤・ホルモン剤の使用は制限が無く、

何故に有機野菜だけ規制が加わるのか誠に可笑しな話しである。
その結果、折角復興しかかった日本独自の有機農業=自然循環

農業はその段階で、有機野菜を名乗ることを禁じられ(違法と

見なされ)日本古来の自然栽培農業は形を変えさせられ、国の
認定を受けた有機JAS野菜へと変わっていった。


有機物なら何でも良いと言う事で、結果として畜糞主体の

高窒素肥料となる。日本古来からの農業は草木主体の低窒素

・高ミネラル堆肥であった。


その当時の有機野菜生産者は、激しく憤ったが、何分にも

高齢化が進み、継続を断念した。
この段階で、日本から、あるいは、世界から日本古来の自然

栽培=自然循環農業は一端消滅したことになる。
ちなみに、日本の有機JAS農産物は、欧州のオーガニック農産

物の認定を受けられない。
その実態から評価され、「怪しい」と取られたのだろう。

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他方、農薬はその後、より人体に危険性が少なく、散布量を

減らせ、より持続性の高い農薬に改良される過程の中で、

ネオニコチノイドを代表とした浸透性農薬へと変化していった。
さらには、除草の手間を掛けさせないようにと、除草剤の改良も

進み、現在では、ほとんどの農業者が使用するようになってきた。
さらに、野菜を立派(大きく)にするために、成長ホルモン剤

開発され、野菜に限らず果物にも使用されるようになってきた。

その結果、さらなる大きな問題が発生し始めた。
その一つが現代病と言われるアトピー・アレルギー・神経疾患

などである。
ホルモン剤を使用した野菜及び果実を食べている女児などの

胸が急に膨らんできたことも大きな問題とされ始めている。
何より、看過できないのは、自然破壊の問題です。
浸透性農薬の普及により、土中の虫を殺し、同時に微生物・

菌類なども殺してしまい、土壌は深刻な汚染状態に陥り、

農家にとって野菜果物の受粉を行ってくれていたミツバチが

死滅し始めたことです。

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国の支援を受けている農学者は、一定量であれば人体及び環境

に深刻な影響は出ない、としている。
一つの作物にその一定量であれば、問題はないと言うなら、

毎日数種類の野菜や果物を摂り続けるとどうなるのですか?

と敢えて問いたくなる。
それは増幅し続けている数限りない食品添加物とよく似ている。

ホルモン剤にしても、除草剤にしても、浸透性農薬にしても、

継続して使用していれば、人体だけではなく、自然を破壊し続

ける事になる筈。

ホルモン剤を投与し続けているアメリカ産の牛肉はその本場

でも心ある知識階層の消費者は食べなくなっており、欧米では

すでにネオニコチノイドなどの浸透性農薬を使用を禁止、
あるいは、大きく制限するようになっている。

それをしていない先進国は、唯一、日本と言う国なのです。
私達はモルモットでは無い。

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