農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.4.1(水曜日)終日雨、最高温度13度、最低温度7度

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              庭のしだれ桃に花が咲き始めた

 

今日から4月、春本番というのに、雨がしとしと振り、花寒の季節。

雨が降ろうと、出荷日は、野菜の収穫をしなければならない。カッパを着用して

凍える手で収穫をするのは、いささか辛い。

雨の日にも拘わらず、農園直売所にはちらほらと、固定客が見えてくれている。

水曜日の直売所は、菓子類はあまり無い。むしろ野菜を目当てにして、訪れてくれる

固定客に支えられている。ありがたいことです。

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暖冬の気候に誘われて、葉野菜や蕪類が一斉に莟立ちを始めて、仕方なく、葉野菜の替わりに青梗菜

小松菜・蕪などの花芽を出荷している。

これもいつもの農園の風景。子孫を残そうと、花芽は栄養価を一杯溜め込んで、甘く美味しくなる。

 

2020.3.27 端境期がやってくる

スーパーに行けば、季節とは関係なく様々な野菜が並んでいる。ハウス栽培全盛の時代を象徴している。
さらに、日本列島は南北に長い島国であり、鹿児島から北海道と野菜の出来る時季には幅がある。
当農園は全国の消費者へ草木堆肥により自ら育てた野菜を直送している。他から農法の異なった、あるいは、ハウス栽培などの野菜を仕入れてくることはしていない。
しかしながら、困ったことに露地栽培では、一年のうち、大きく二回の端境期が存在している。
春野菜から夏野菜へ移る時季、夏野菜から秋冬野菜へ移る時季の二回である。
うちの野菜を心待ちにしている消費者に「今は端境期ですから野菜が無いのです」とは言えない。

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今年の1月頃から順次種を蒔いて育苗中の夏野菜達。踏み込み堆肥の熱を利用して根を発育させている。彼らは、戻り寒の後、4月上旬頃から一斉に定植作業に入る。

 

地球が温暖化の方向へ向かっており、夏野菜が長く続く気候環境があり、夏野菜から秋野菜へと切り替わる間に秋野菜を育てることは比較的容易に出来るため、それほど苦労せずとも何とか野菜を繋いで行くことは可能である。
課題となるのは、春野菜から夏野菜へ移り変わる端境期に於いて、野菜を如何にして繋いで行くかと言うことにある。
夏野菜は、暖かいからと言って早めに種を蒔き、露地へ定植しても遅霜や寒の戻りなどで、全滅の可能性が高い。そのため、露地栽培しか行っていない当農園としては、6月前後に出荷できる繋ぎ野菜の植え込みに最も神経を使い、毎年大いに頭を悩ませている。
ハウス栽培を行えば、もっと楽に早く野菜が出来るのに、と思われる方も多いかとは思うが、同じ草木堆肥を使っても、露地栽培ほどの栄養価と美味しさが出せないのです。

キャベツ・ブロッコリー類は3月下旬頃に育苗ハウス内で種を蒔くと、5月末頃から6月に掛けて、出荷が見込めるが、蒸れや長雨に弱く、腐れや破球を起こす。ほうれん草はかろうじて生き残れる。
蕪類は線虫の餌食となり易く、割れが発生するし、莟立ちも起し易い。
そのため、晩春野菜(5~6月の初夏野菜)はリスクの塊となる。
唯、これらの春野菜が無いと、他では穴埋めの野菜の種類が足りない。
そのため、当農園では、リスク覚悟で端境期へ向けてこれらを捨て野菜として種を蒔く。捨て野菜となるかもしれない野菜達の頑張りに期待するしかないのです。

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育苗中のキャベツなど、彼らは5月下旬頃から出荷予定としている捨て野菜です。

この以前に圃場には、5月出荷予定にしている5~6百本ほどのキャベツブロッコリーが植えられている。

 

兎にも角にも、露地栽培農園からの直野菜を農園の仲間達(お客様)に届け続けることは、如何に端境期を作らないかに掛かって来る。他の農家からは、そんなの無理だ、とよく言われている。
今日も数年来むかし野菜を慈しんで頂いている関東のお客様から電話が入る。
コロナウィルスを脅威に感じておられ、うちの野菜に助けられているとのこと。「頑張って下さい!」のエールを頂いた。
話は止まらず、国民軽視の時の政権や政策の危うさや、時代の風潮に逆らって筋を通した生き方や健全な食の追求をし続けている姿勢のことまでに話が及び、遠い地にいるにも拘わらず、考え方や生き方が共有出来ていることの喜びが伝わってきた。
むかし野菜の邑は、良いお客様というか仲間に囲まれていることに、いつもながら思い知らされる。

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大人達の葛藤や思いは別にして、屈託のない子供達の笑顔には、救いがある。

 

この時期、堆肥作りに欠かせない草が手に入り難く、その後、日が暮れるまで、畑の除草作業に勤しむ。
除草し終えた草は集めて軽トラックで堆肥場まで運んで一日が終わった。
草も少し溜ってきた明日は堆肥作りが出来る。夏野菜を定植するまで残り二週間を切っていた。

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.3.25(水曜日)晴れ、最高温度16度、最低温度4度

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               育苗中の夏野菜達

 

4.10日頃に定植予定の夏野菜達。ビニールハウス(育苗用)内に草木堆肥を重ね、踏み込み堆肥ベットを作り、その微生物達の発酵熱を利用して根を発育させている。

これは第一陣の夏野菜達(トマト・茄子・ピーマン・万願寺トウガラシなど)であり、

第二陣が胡瓜・南瓜・ズッキーニ・瓜などであり、やはり温室内で育苗中。

 

2020.3.21 微生物の話し

この所、毎日、子供達の声が農園に響いている。コロナウィルスによる学校閉鎖のためである。農園唯一の畳の部屋に押し込められてはいるが、流石にじっと我慢などはしておれない。
農作業の合間に、子供達の相手をしてやらねば時間が潰せない。
うちの孫達は幸せだ。他のご家庭では、預けられるところも無く、親御さん達にも子供さんにもストレスが溜まっている筈。

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今日、子供達は朝から大活躍。午前中は、ハウス内で育苗トレイの中に春・夏野菜の種蒔き、ポット揚げなどを行い、午後からは漬け物用の芥子菜の収穫、3番の畑の除草作業、夕方6時頃無事終了。お疲れ様でした。子供達の手にはしっかりとバイト代が握られている。雑菌の中で育つ子供は逞しいのです。


農園の取引先である飲食店も閉店したり、閑古鳥が鳴き、毎週お送りしている野菜の量を半減させて、急場を凌いでいる。
日本でも、徐々に感染リスクは拡がり、感染経路が判明しない感染者が増えている。
症状の出ていない保菌者は、陽性反応を受けている方の10倍以上はいるはずであり、このままでは、個々の生活も保てなくなってしまうため、感染を恐れていつまでも、経済活動をストップしているわけにも行かなくなるだろう。

当農園は、開園以来、微生物達と真っ向から向き合ってきた。と言うより、草木堆肥作りと共に共存してきた。うちの農産物があるのもかれら微生物達のお陰である。


そこで微生物を改めて調べてみた。
やや専門的な事で申し訳ないが、微生物は菌類・細菌類・ウィルスなどの総称である。
その中にこの微生物の存在が無ければ、この世界は死骸だらけになっている。微生物は概ね、有機物を餌として増殖している。
菌類(キノコ・カビ・酵母など)は胞子で増えており、人類はこの菌のおかげで生きられている。
パン・チーズ・味噌・醤油・酒・酢・漬物など様々な加工品となって、我々はその恩恵をも受け続けている。
細菌類は、(ウィルスも含めて)良性・悪性と様々な微生物が存在している。
忘れてならないのは、腸内細菌である。人の免疫細胞(病原菌などと闘ってくれる)を守ってくれているのもこの腸内細菌である。
一種類の細菌が増殖し始めると、自然界では、この増殖現象を抑える作用が様々な種類の細菌類によって行われようとする自然循環の仕組みがある。正しく自然の(神の領域)淘汰若しくは浄化機能と考えざるを得ない。広義では「人」もその微生物の仲間の一つに過ぎない。
自然界の野山と同じというわけにはいかないが、人の腸内も様々な細菌類により自然淘汰の機能を果たし、命を守ってくれている。そのため、当農園はむかしながらの発酵食品である漬物・味噌作りに力を入れている。

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              高菜の本漬け作業中

漬物は無限大の微生物・菌類の集まりです。漬け込んでいる中で、発酵していき、悪性菌を排除していく作用が働く。そのために、古来より農家において様々な工夫が為されている。乳酸菌と塩とのバランスや手間を掛けることによって、オー157もサルモネラ菌も繁殖できない。正しく小宇宙の微生物達のドラマがある。

 

我々人は生きているのでは無く、自然界の仕組みによって生かされているのです。

残念ながら科学はその神秘の仕組みを未だ捉え切れていない。

 

ウィルスや癌などは、人にとって異物です。その異物が体内に入ってくると、免疫細胞が動き出し、抗体を作ります。抗体には二種類あり、「異物を認識して結合して排除する」ものと、「免疫細胞を活性化させ異物を排除する」ものがあります。
コロナウィルスが体内に入ってきても、発症しない人は、おそらくは、免疫力が強く、抗体が正常に機能して、発症を抑えるのではないかと思われます。


元来が人は自然治癒能力を持っている。その自ら治癒させる能力は、健全な食生活と、健全な農産物から来るのではないかと考えられます。
その意味では、ミネラル分・糖質・ビタミンに富んだ農産物を常日頃から食している人は強い免疫力を持っていることになります。
微生物や菌を排除することではなく、腸内環境を常に健全にする食べ物(乳酸菌などの発酵食品など)もより多く摂取し、体内の自然浄化機能を強くして行くことが重要ではないでしょうか。

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農業は現在の政権によって、大きく損なわれている。それでも農業に掛けていこうとする若者達も居る。彼らにはいつもこう言っている。やがて見ておれ!の反骨精神と熱意、そして学ぼうとする謙虚さが必要だと・・・何処やらの首相達や官僚達にその謙虚さが少しでもあれば、もっと国民は幸せになれる。

 

物事の上っ面しか見ようとしない、あるいは、自己のことしか気に掛けない風潮、悪いことは悪いと言えない、見て見ぬ振りをする忖度がはびこるこの時代、人はごまかせても、自然界は決して容赦してはくれない。
亡くなった方や苦しまれておられる方々には申し訳ないが、これら突然に現れるウィルスなどは、自然界からの警告なのかもしれない。

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.3.18(水曜日)晴れ、最高温度15度、最低温度2度

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初春の農園は、うららかな天候に恵まれ、農作業も順調に進み、やや余裕が生まれている。唯、小松菜・青梗菜・蕪などのアブラナ科の野菜達は、一斉に花芽を持ち始め、

出荷を断念せざるを得なくなっている。農園はこれから花盛りとなる。

 

2020.3.11 突然の電話

農園は、今、菜の花・エンドウ豆・空豆などの花が春の風に揺られ、長閑な時間が流れている。
天気は目まぐるしく替わり、雨の合間に畝作りを行い、キャベツ・ブロッコリー・白菜などを定植したり・葉野菜・ほうれん草・蕪・人参などの種蒔きを行っている。
気温は暖冬の中でも、ようやく平年の気温に戻りつつあり、例年通り4月初旬の花冷えがいつもの通り訪れてくると予想したが、夏野菜の第三陣の種蒔き(胡瓜・ズッキーニ・南瓜)を迷った末に、いつもの季節よりやや早めに行った。(4月10日頃、寒の戻りがあり、暖かいからといって夏野菜を定植していると遅霜でやられてしまうことが多いのです)

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宮崎のKさんから久しぶりの電話が入った。Kさんは今から7年前、医者から悪性リンパの癌宣告を告げられ、ネットで探し、藁にも縋る思いで、当農園へ野菜の申し込みをしてこられた。
その際は、かなり深刻な状況で、こちらも当農園の野菜の特性(高ミネラル・ビタミン糖質などの栄養価に富んでいること)や野菜の調理の仕方(温野菜や油を絡めて食することなど)などの御助言を行った。
癌の進行を止めるには、健全で美味しい野菜を食べることによって自らの治癒能力を引き上げ、正常細胞の再生を促し、異常細胞を抑えることに賭けてみますかと申し上げた。
その後、お便りは無かったので、良い方向へ進んでいると農園主も喜んでいたのだが、もしや?との不安が頭をよぎる。
電話の内容は、今回のお願いは、急性の腸閉塞を患い入院をしなければならなくなり、しばらく野菜を止めて欲しいとのお話であり、悪性リンパ腫瘍も今では消えておりますとのこと。
思わず、良かったですねと言ってしまった。しまった!と思い、緊急手術を要する内容であり、「お大事に!」と言葉を掛けた。何という間の悪さか・・・
それでも、Kさんから、「今生きているのも農園の野菜のお陰です」と言う言葉に、そうですね!私達も含めてこの野菜達に感謝しなければいけませんですね、とお答えした。
このようなお客様も私の知る限りでは少なくともKさんを含めて4人居られる。
未だにご継続して野菜を取って頂いていると言うことは、この自然栽培の野菜の力によって命を支えられているのだろうと思っている。

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後藤君の畑(9番)に全員で畝作りを行っている処。

里芋・金時生姜の植え込み、露地ニラの株分けと植え替え作業を行っている。

一人農業では中々に作業が捗らないし、途中で心が折れてしまう。むかし野菜の邑では、月~金までは全員で農作業を行う。自分の畑でも無いのに、皆、黙々と相互に手伝い作業を行う「結いの仕組み」が出来ている。

 

近時、世界を席巻している通販会社アマゾンやゾゾタウンなどの所謂プラットフォームビジネスが曲がり角に来ているとの記事を読んだ。
その取扱商品に模造品がかなりな数混じり始めているとのこと、また、商品力と言うかブランド力のある会社から撤退を始めつつあると言った内容であった。(ナイキ・オンワードミキハウス等々)

ブランドとは、「品質」のことであり、変じて消費者からの「信用」を得ていると言う意味でもある。
中小メーカーは例え品質が優れていても知名度が無く、消費者からの信用を得ることは容易ではない。
アマゾンなどのプラットフォームを利用していかねば消費者とのコンタクトは難しい。
しかしながら、生産者が商品の品質を守り維持していくには、たゆまざる努力と研究開発が必要である。
そのためには、インセンティブや中間手数料を払うより、その分の手間やコストを品質の改善に力を注ぎたい筈である。
ナイキ・オンワードなど、販売の拡大より、商品の充実・品質の保持に重きを置いたと言う事であり、その行動を支持する消費者の支えがあることになる。このブランド力は生産者だけでは、到底作りえないし、維持継続も難しいのです。

当農園も開園以来、直接販売を行ってきた。「品質」には自信を持ってはいるが、お客様の信用を得るには、まだまだ長い時間が必要なのかもしれない。
そんな時、全面的に信頼をしていると言う宮崎のKさんのお電話は嬉しかった。
健全で美味しい商品作りに向けて改めて身の引き締まるものを感じた。

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.3.11(水曜日)晴れ、最高温度14度、最低温度5度

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              農園は、今、花盛り

4年前に植えた李(すもも)の木にびっしりと白い花が咲き始めた。

今年は、甘い李が皆様に届けられればと願っている。只、李の実が成る頃は梅雨時期に重なり、溶けてしまうこともある。天候次第となります。

 

2020.3.3  農園は託児所となった

この所、農園には子供達の声が充ち満ちている。親達は農作業や加工品作り、出荷作業に忙しく、構っては居られない。農園に設けた乳幼児待機室に孫達が集合させられ、

ほとんど丸一日を過ごしている。コロナウィルス対応による学童の休校によるものだ。
ジージ、暇」と言って相手をしてくれとせがむ孫達。農作業の合間に軽トラックの荷台に乗せ、畑を一周したり、タイヤショベルカーに乗せたりと、この処、ジージは中々に忙しい。

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暇をもてあましており、それならと、漬物用の大根を引き、年長さん達で丸洗いしている。

ところが後がいけない。「ジージ、バイト代は?」と、最近の子供達はちゃっかりとしている。それでも、

労働の喜びとその対価は、子供達の大事な教育なのか・・・

 

コロナウィルス対策は国難と言って良いほどの拡がりを見せている。
保菌者がどれだけいるか分からないし、新型肺炎の発症者や保菌者にすら手が回らない現状では、このウィルスを封じ込めることはさらに難しい。
その検査対策に頭が追いついて行っていない政治や行政があり、日本の政治や役所仕事のお粗末さが露呈している。
その対策の厳しさは分かるが、役所仕事の決まり規則・法律に縛られ、事勿れ主義・前例主義体質の染みついたこの国の体質が、より不透明さや不確実性を高めているように見える。
コロナウィルス対応の終熄は未だ見えていない。まだこの危機は始まったばかりと言えそうだ。
経済の損失は、数兆円にまで昇り、蓄積の少ない中小企業や国民の生活を直撃していくであろう。経済的弱者の痛みが増幅しないことを祈るしか無い。

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エンドウ豆の花。こうしてみると、野菜の花は素朴で実に愛らしい。今年は、約半月早く、花が咲き始めた。

とは言っても、農園の日々の仕事を欠かすことは出来ない。
農園では間もなく、春野菜と夏野菜の谷間の端境期を迎えようとしている。
そのため、この時期は春野菜の種蒔き・定植作業と夏野菜の育苗作業を同時に行っている。
夏野菜の育苗は、三段階に分かれ、先ず一段階は、トマト・茄子・ピーマン系の種を蒔き、ある程度育てば、ポットに揚げ、さらに温床ベット(踏み込み堆肥の発熱を利用)の上で育て、4月初旬頃、定植する。
第二段階は、南瓜・ズッキーニ・胡瓜などを3月中旬頃から種をポットに蒔き、温室で4週間程育て、4月中旬頃畑に定植する。
第三段階では、インゲン豆・枝豆などの直播きとポット蒔きを併用し、遅霜のリスクが無くなる4月中旬頃、発芽させたり、定植作業を行う。

課題となるのは、この時季、草木堆肥の原料となる草が少ないことである。
あちこちで除草したり刈り取った草を軽トラックで集め回り、多目の破砕屑や葉っぱを使って、細々と草木堆肥を作ることになる。
4月上旬頃から一斉に夏野菜の定植作業が待っており、膨大な草木堆肥が必要となるため、毎年草集めに苦労させられている。

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こちらは、空豆の花。かなり大げさな花模様であり、良く観察すると、蝶々のようにもあり、これは昆虫を引き寄せるための自然の造形美かもしれない。

唯、浸透性農薬(食べた虫が死ぬ)などの普及でミツバチなどが居なくなっていることのほうが心配である。

 

このコロナウィルスは、保菌者であっても、発症しない人が居ると言う事は、免疫力や抵抗力を有している健康体の体には、菌が増殖しないと言う事かもしれない。素人考えで申し訳ないが、人の体の抗体が増殖する悪性菌を撃退しようとする。この時、体は発熱していくことになる。
小麦アレルギーなどの現象も抗体と異物(高タンパク=ハイグルテン)のせめぎ合いで起こる現象であり、もしかしてそれと似通っているのかもしれないと思うのです。
ウィルスや微生物などの実態や影響は未だ明確な科学的解明が為されていない。

ちなみにうちの孫達は、常に雑菌の中で育っている。自然の対応力と言うか抵抗力と言おうか、実に逞しい。

これからしばらくは、「ジージ、暇」に付き合って行かねばならなくなりそうだ。

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.3.4(水曜日)曇り、最高温度13度、最低温度5度

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「なんでも有機の時代が来ている」

 

玉葱の除草作業も無事終了し、春野菜の植え込み・種蒔きも一段落し、春じゃがの植え込みも終わった。
剪定枝の破砕作業の後、除草した草と混ぜ、懸案の夏野菜用の草木堆肥を作り終えた。
気候が季節外れの暖かさのせいか、野菜の成長が良く農作業も順調に推移し、突然に「ポカン」と時間が空いた。
農園ですから、やる事は山のごとくあるが、ひと段落したため、スタッフ達も疲れが溜まってきており、農園始まって以来の平日休暇を取ることになった。
スタッフ一同に、「木曜日はお休みにするぞ!」と伝えると、一瞬の間があり、みな、「ポカン」とした顔をしていた。
今日、突然に電話が入る。東京のMですが、今大分に来ております。今から農園におじゃましてもよろしいですか?野菜が欲しいのでと。
今日は農作業デイでしたが、収穫体験を兼ねて、一緒に畑を回った。食べるだけでは無く、収穫もする事でかなりリフレッシュされたようだ。雑談の中で、彼女たちはこう言った。
「今、東京では有機無農薬野菜が駅の構内も含めて至るところで売られている」
やはりそうか、と思った。
日本では、今、何でも有機と称する時代となっているようだ。レストランでも有機野菜を使っておりますの表示が目立っている。日本ほど、自称有機野菜に溢れている国は無い。有機野菜の生産量は野菜全体の0.2%しか無いと言うのに・・・
以前、大阪に赴いた際に、大分県の数人で居酒屋に行った。なんのさかなが良いかなとメニュー表を見ていると、「関アジ関サバ」の表示があった。面白そうなので、店員さんにこう告げた。「我々は大分から来たのだが、安い関アジがあるそうですね」と問うと、店員さん、急に真顔で「お客さん!止めたほうが良いですよ」と。

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一次発酵段階の草木堆肥。びっしりと白い放線菌が有機物に付き、分解している。

柔らかい有機物は微生物が、リグニン・セルロースなどの方有機物は放線菌が、分解してくれている。この世に微生物や放線菌(黴)がなければ、世界中は死骸だらけになっている筈。何かと世の中を騒がせているコロナウィルスもその菌の一種です。

有用な菌も居るわけですから全てを悪者扱いしないでやって欲しい。

 

「畜糞を使ったら有機野菜」となるのも有機JAS法や日本の有機農業に対する曖昧さといい加減さがもたらせた結果である。アメリカ産の配合飼料の影響で抗生物質・薬品まみれとなってしまった畜糞を使う有機農業は、畑をむしろ汚していると言う悲しい現実がある。
だからこそ、世界基準のオーガニック野菜の認定から日本の有機JAS野菜は外されている現実を消費者は知らない。本物の有機野菜や無農薬野菜とは一体何なのだろうかと考えざるを得ない。
消費者はもっと有機野菜の現場の苦労や現実を知らなければならない。真摯に土作りを行っている有機農業者のしていることを知れば、そんなに安い有機野菜があろうはずもない。

私達が、無化学肥料・脱除草剤・草木堆肥による土作りに力を入れ、少しでも健全な農産物作りを行っていても、他方では世界一食品添加物を認めている日本の食品の現実を知れば、やや空しさを感じてしまう。消費者の無関心がそれに拍車を掛ける。
安全安心にはコストが掛かる。健全な農産物を求めるのであれば、消費者も相応の負担をしなければならない。自分の健康は国が守ってもくれないし、消費者自身がもっと賢明な消費者とならなくてはいけないと思うのですが・・・

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2020.2.26(水曜日)晴れ、最高温度14度、最低温度6度

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              剪定枝の破砕作業

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           小枝と葉っぱを選り分けている処

当農園では、化学肥料や畜糞を肥料として圃場に撒く代わりに、草木堆肥を撒いている。その堆肥を作る作業に膨大な労力を要する。

写真は造園会社が持ち込んでくる剪定枝を大枝は破砕し、小枝は葉っぱと選り分けて

いる作業風景です。葉っぱと破砕屑が堆肥の原料となる。

木には、計測不能なほどの微生物と放線菌が棲んでいる。草と繁殖牛の牛糞と混ぜ合わせ、2メートルの高さに積み上げる。

2日ほど経過すると、微生物と放線菌が有機物を餌として増殖してくる。これが発酵と言う現象です。高速で分裂増殖するために、発酵熱が出る。

この堆肥作り作業を一ヶ月に2回ほど行っている。

他の農家と比べると余計な作業が必要となるが、その分、野菜は健全で美味しくなるのです。

 

2020.2.23 健全な食を求めて!

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農園では草木堆肥を作るにあたって繁殖牛の牛糞を発酵促進剤として20%ほど草や葉っぱ・剪定屑に混ぜて堆肥を作っている。肥えてしまえば、子供を産まなくなってしまうため繁殖牛の主たる飼料は、配合飼料では無く草を食べさせている。
それに対して、肥育牛はアメリカ産の配合飼料を餌として与えている。それは養鶏・養豚でも同じです。
その配合飼料には、遺伝子組み換えの穀類(除草剤を吸い込んでも枯れない遺伝子が組み込まれている)が主原料となっており、さらに、病気や菌の増殖を抑えるために抗生物質が大量に入っている。抗生物質は皆様ご存じのように菌類を殺すことがその役割です。
本来、有機栽培(自然栽培も同じ)は土壌に微生物や放線菌を(有機物を餌として)増殖させて土を育てて行くものです。→自然循環農業
この除草剤と抗生物質の含まれた畜糞を畑に施肥すると、当然に微生物や放線菌は圃場では生きていくことが出来ません。故に、当農園では、繁殖(放牧)牛の牛糞しか使わないのです。
しかも、草木と一緒に発酵させておりますから、発酵途上に土着菌によって、多少混じり込んだ化学合成物質は分解されます。野菜を植え込む度に、計測不能な種類の微生物・放線菌が草木と一緒に圃場に補給され続けられるために、土壌は自然の浄化機能(自然循環)を保ち続けております。
そのため、当農園の圃場の土は微生物・放線菌が棲み付き、ほかほかとしております。気温が上がり、雨が降ったりすると、キノコ類が顔を出します。むかしの農家では、畑にキノコ類が生えてくる土が最高と言われてきました。

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さらに怖いのは、肥育ホルモン剤の使用です。
週刊誌である女性セブンにこの肥育ホルモン剤のことが掲載された。(2020.2.27号)
近年日本の農業にも成長ホルモンが使われております。真っ直ぐな胡瓜・丸々と大きくなった梨などなど、成長ホルモン剤が使われている可能性が高い。
かって、肥大したスイカが大きな問題になったことがありました。
アメリカでは牛肉の消費量が半減しているそうです。その理由はアメリカでは育牛に肥育ホルモン剤を使用しているからです。子供さんのお乳が急に発育しだしたり、女児の生理が早くなったりと明らかに異常な影響が出ているようです。アメリカの知識人達は肥育ホルモン剤投与の牛肉は決してそれを食べないし、欧州ではアメリカ産の牛肉は発がん性物質等の理由にて輸入禁止となっております。
アメリカとの農産物関税の撤廃が進んでいる中、アメリカで消費が少なくなった牛肉が大挙して日本の消費者に回されているのです。
肥育ホルモン剤の使用は日本では認めていないにも拘わらず、それを使いたい放題に使用しているアメリカ産の牛肉は解禁している。アメリカ大統領トランプの圧力に屈した結果としか言い様がない。
ちなみに、肥育ホルモン剤の禁止成分の表示が為されていない国は世界でも日本しか無いのです。

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日本の消費者の方は、もっと「食の安全性」に関心を持つ必要があるのではないでしょうか?
自らの健康は自分で守るしか無い時代に入っていることをもっと認識しておいたほうが良いと思います。
食の安全性は、日本の男社会では「忖度」社会となっており、余り語られることもありません。家族の健康を守っている女性が厳しい目を向けるべきだと思います。
日本の政治はそのようなことも全てクローズしており、又、現在の日本の報道は自粛されておりますから、消費者へは真実が伝わりにくくなっております。日本は今では世界の中でも食の安全性劣等国になっております。日本人は世界のモルモットになっているのです。念のために・・・

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.2.19(水曜日)晴れ、最高温度13度、最低温度-1度

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2月の気候は、三寒四温。太陽は次第に上に回り、日照時間も増えてきている。

この時季、露地栽培の農作物の管理には、神経を使う。朝は突然に氷点下に下がったり

日中は15度を上回る暖かさとなりやすい。

作物によっては、凍結したら溶けていくものもあれば、ビニールトンネル内の気温が上がり過ぎると、腐れが発生するものなど、皆その性質が異なる。

そのため、ものによって、トンネルを開けたり、閉めたりの繰り返しの作業が当分の間、続くことになる。この当たりになると、露地栽培の経験が物を言う。

これを覚えるには、10年ほどの経験を要することになる。自然栽培・露地栽培・年間百種類の野菜作りには実に長い時間が掛かるため、人育てが難しいのです。

そう言う農園主も未だに試行錯誤の繰り返しではある。

 

2020.2.19  カット野菜・冷凍野菜の増加

数ヶ月前、農園へ一人の青年が訪れてきた。
彼は佐伯市で農業をしてきた。その後、大分市東部の自宅で農家から野菜を集め、ご夫婦で野菜の販売をしているが、むかし野菜を扱ってみたいとの申し出がなされた。
当農園では、直販が基本であり、「流通=小売」との取引はしていなかったが、熱意もあり、取引を行う事にした。
その時、農園ではネット宅配の他に、農園直売も行い始めた時期であったが、野菜中心の八百屋さんと言う商いの難しさを感じていた。
彼には大分市の東西地区でお互いに頑張ろうと、励ました。
その後、奥様も当農園を訪れるようになり、八百屋さんの難しさを訴えていた。
彼女はこう言った。
「うちは、若い主婦層が多いのです。野菜を売る前に、料理の仕方から始めねばなりません。さらには、野菜の切り方まで教えねばなりません。こう聞かれるのですよ。一口サイズとはどの程度なのですか?」
ついには、農園から仕入れた野菜をカットして届けるようになったそうだ。

都市圏では、八百屋さんが立ちゆかなくなってきていると言う情報が伝わってくる。
一時は、テレビにまで紹介されていた新進気鋭の八百屋さんが、今では生鮮野菜の販売の比率を極端に落としており、店先に並ぶ商品群の多くが弁当や惣菜・加工品に移っている。
また、東京の青山(高級住宅地)にあるファーマーズマーケットに行ってみたら、有機野菜のコーナーは激減しており、雑貨店やお菓子屋さんのテントが立ち並び、一体ここは何だったのだろうと思われる状況に変わってしまっている。

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30年前頃、バブル崩壊前夜の時期、「安・近・短」と言う言葉が流行った時代があった。
安くて、易くて、安楽と言ったような意味である。健全性・本物志向とは真逆な価値観であり、節約志向とも異なる。
カット・冷凍野菜は、手軽・簡単・便利が「売り」であり、楽な食を求めるのであれば、当然に支出(費用)は増えることになる。さらには、安全性や健全性とは遠く距離を置く事にもなる。
家族に美味しく安全な食を!と言う賢明さが命を預かる主婦から失われつつあることに憂慮している。

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これは農園のチーズケーキ。古代麦ブレンドの小麦の粉(半粒粉)を使用。そのため、味香りが高く、存在感がある一品となっている。写真は試食の風景ですが、偶々、作りたてを食べた時、熱々のチーズケーキとなり、それがまた、実に美味しいのです。

 

当農園の直売所では、水曜日は野菜中心に売れているが、日曜日は惣菜・お菓子類が中心となっている。
これは水曜日のお客様の年代層が高く熟年層が多く、日曜日は比較的若い層が多く見えられているせいだと思われる。ここでも料理に手間を惜しむ「安・近・短」の傾向が見え隠れする。
明らかに消費者のマインドがバブル全盛時代のような方向へ変化し始めているのを感じている。
自然栽培の農産物を広めるために、次世代を担う若いスタッフ達(後継者達)は毎週団地に赴き、ビラ配りを行っている。徐々に固定客も付き始めているが、その拡がり方は鈍い。
彼らは店頭に並んだ野菜を前にして、逐一野菜の説明を行っている。唯、その説明が精一杯で、そもそも自然栽培とは何か?化学物質に塗れ始めている食の安全性は?何故今自然栽培なのか?健全な農産物はどのようなものか?どのように労力をかけどのような農法で栽培しているのか?などなどの説明をする時間が取れず、苦労している。

若い後継者はこう言う。
「何故我々が手間を掛けてこのような自然循環農法を行っているのか?現在の農産物や加工食品の安全性に危惧があること、などの詳細を理解してもらえる機会を作ったほうが良いです」と・・・
唯、農園主が感じたことは、健康は自分で守らねばとか、現在の食は危ないとか、健全な食生活とは?などと話しかけても、それに関心を抱いている消費者は、年々減少していっていると言う事です。
例えば、自然循環農法を若い方に理解してもらいたくて、農園体験会を開催すると、

200人を越える家族が参加してくれる。
処が、それによって、むかし野菜の購入にも、食の健全への興味関心にも繋がっていかない。只、子供さん達を遊ばせるために参加しているに過ぎないのかもしれない。

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約4反(1,200坪)の5・6番の圃場。ここには20種類以上の野菜が育っている。

 

欧州では、有機野菜のシェアーが15%を越えている。日本では、わずか0.5%以下である。
欧州では有機野菜生産活動が環境への負荷を減らし、自然を守っているとの認識が消費者に強く、それが有機野菜を支えている。それに比べて、日本では、自らの周りしか見ておらず、自然を守るのは自分達の責任であるとの認識が消費者に乏しい。
私が気に掛かるのは、日本の大人達が子供達の未来は考えていないことにある。
古き良き時代の日本人は、もっと寛容性があり、社会的責任を分かっていたように思うのだが・・